【2度目のロング挑戦で完走!皆生大会完走記④】
スタートに合わせて一斉に水しぶきが上がる――のは先頭集団の話。元々SWIMが苦手な上、バトルに巻き込まれるのを避けたい自分は、後方からゆっくり水に入る。
とはいえ、出来ることなら前の人の流れに乗って少しでもスピードアップしたい――。そんな甘い期待はあっという間に打ち砕かれた。
ほとんど練習をしていなかったSWIM。当然、去年のようなスピードが出るわけもなく、最初のブイを回って直線に出るころには周りにはほとんど人がいなくなっていた。
唯一の好材料は、今年、ここだけ練習してきたヘッドアップ。プールでやるとなかなか大変だったヘッドアップだが、ウェットスーツを着た状態の海ではびっくりするくらい簡単。去年はほとんどヘッドアップをしないで泳いでいたら、200mくらいあるコースの右端まで行った後、左端まで戻るという、とっても無駄な動きをしていた。
それが今年は50mおきに1回くらいの割合でしっかりと前を確認。ジグザグに泳ぐことなくまっすぐにコースを進むことができた。でも、その分、置いて行かれてしまっている状況も一目瞭然。ホントに回りに人がいない。
しかし、それは来る前から想定できていたこと。何より今日は暑くないのでBIKEで挽回できるはず。なるべく体力を使わないようにゆったり、ゆったりと泳ぐことを心掛けて、折り返し地点に到着した。タイムはちょうど45分。去年と同じかちょっと遅いくらい。水を一杯飲みほして後半のコースに入った。
去年同様、後半は右手にコースロープが見える。右側でしか息継ぎができない自分としては、息継ぎの度にコースロープが確認できる後半の方がタイムが出やすい。ひとかき、ひとかきで進む距離も伸びているように思う。何より、右手に見える景色が少しずつだけど変わっていくのが良い。
時々、同じくらいのスピードの選手と触れ合う。お互いSWIMが苦手なのだろう。ちょっと体が触れそうになるとすぐに距離を取ろうとするのが、いかにも邪魔し合いたくないという感じ。そうですよね~。ここまで来て意図しないバトルとか絶対嫌ですもんね~。と心の中で同意しつつ泳ぐ。
そしてようやく、最後の大きなブイを右に回り込んだ。最後の直線200m。ここはすぐに到着しそうに見えて、実は結構時間がかかる。海底が見えてきて、足がつきそうと思っても、実は全然深い。去年はこれで一度立ち止まってしまいロスをした。今年は、手が海底の砂をつかむまではペースを変えずに泳ぐことに集中する。
いい加減、いつつくのか苛立ち始めた時、右手の指先が砂にこすった。着いた!着いた!憂鬱なSWIMがやっと終わる。顔を上げて足をつく。波打ち際まで5mほど。そこから立ち上がり、ゴーグルを外す。平衡感覚が狂ってふらふらするが、よたよたと進んだ。まずは水を飲もう。
時計を見るとタイムは1時間27分。去年と同じくらいだ。後半けっこう巻き返したらしい。ミストのかかる中、トランジッションエリアに向けて走る――。気持ちだけでも。
トランジッションエリアは、当たり前だけどがらんとしている。置いてあるバイクは片手で数えられるんじゃないかというくらい少ない。ウェットスーツを脱いでBIKEウェアをもって着替え用のテントに入る。BIKEウェアに着替え、サングラスをかける。ウェットスーツは袋に突っ込んで、かわりに胃薬を3瓶持った。去年は大丈夫だったが、途中で胃がやられる可能性がある。ドリンクタイプの方が効きが良いように思っているので、少々重たいけれど利用することにした。後ほど、この判断に助けられることになる。
トランジットで費やした時間は5分余り。スイムのタイムは1時間33分28秒。923位じゃあ、そりゃ誰もいないよ。
そんな順位の自分にも、いっぱいの笑顔で応援してくれるボランティア、スタッフの励ましに手を振ってこたえながら、BIKEパートがスタートした。