2019年1月31日木曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉓

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉓



前回までのあらすじ―。

準備2か月で出場した全日本トライアスロン皆生大会は、バイク→ランのトランジットで、アンクルバンドを外したまま置き忘れ、途中失格となった・・・。


スタート地点でアンクルバンドを発見した。

この計測器をつけてさえいればゴールできたはず。テーピングをまいたときに外していなかったらこんなことにはならなかった・・・。

たらればばかりが頭の中で繰り返される。それでも現実は途中失格。

トライアスロンにかかわらず仕事もそうだけれど、結果がすべて。どんな言い訳をしても、結果を出さなければ成果も得られない。きっとこの日は、たとえアンクルバンドを付け忘れていなかったとしても、何かしらの理由でゴールできなかったんだろう。

そう、自分に言い聞かせ、荷物をまとめた。


トランジッションバッグ3つを抱え、離れた駐車場に向う。バイクにまたがってみるとびっくりするくらいお尻が痛い。走っているうちはアドレナリンが出まくっていたのか全く感じなかったけれど、お尻も限界だったんだろう。

車に荷物を積み込み、一度宿に帰る。シャワーを浴びた後、アンクルバンドを返しにゴール地点の競技場に行った。

午後8時を過ぎ、日は落ちた。そんな中、ゴールの陸上競技場はライトアップされて輝いている。特にゴール地点はまぶしいくらいだ。

このまぶしさは、ライトの明かりによるまぶしさか、ゴールできる選手たちへの羨望からくるまぶしさか・・・。

本部に行き、事情を説明してアンクルバンドを渡すと、「お疲れ様でした!」と軽~く受け取られた。そうですよね~。ここに来る人たちは皆明るい表情をしてますもんね。真っ暗に沈んでいるのは僕の心だけであって、運営の方々も含め、今日一日をやり切ったという充実感があふれていた。

せっかくなので、ゴールした選手たちの写真を撮る。来年かはわからないけれど、必ずここにリベンジに来たい。そう心に刻みつけた。


ゴールできなかったとはいえ、せっかくだから運営サイドが準備したしつらえを楽しんで帰りたい。

競技場の外の何店も連なっている屋台をみていると、ラーメン店の前に「選手は無料」の文字が。貧乏性が全面に出て、早速1杯もらう。タイミングが良かったようで、並ぶことなく食べることができた。

一日動いていたので胃が受け付けなくなっているかも・・・と思ったが、まったくそんなことはなくおいしくいただけた。普段は飲まないスープも(血圧が高めなので)全部飲んで完食。本当はもう一杯いきたかったけれどさすがに遠慮しました。

ゴール後に受け取るはずだったバスタオルとビール1缶は残念ながらもらえず。きっと話をすればもらえたんだろうけれど、言い出せずに競技場を後にした(なお、バスタオルは後日送られてきた)。

宿に帰って、自宅に電話をする。ゴールはできなかったけれど、無事に一日を終えたことを報告。その後、せっかくだからとコンビニでビールと鶏肉の弁当を買いにいく。それで一人、ホテルの部屋で反省会を行った。

しかし、不思議なことに全く酔わない。しかも全くおいしくない。

普通、これだけ動いて汗をかいた後のビールは至極の一杯になるんだけれど、何だか味を感じなかった。500mlのビールを1缶あけるのにも苦労した。

そして、翌日、1000kmを1日で帰らなければならないことを考え、早めに床についた。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月30日水曜日

薪ストーブのメリットとデメリット7 薪の調達の仕方

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第6弾。

今回のお題は、薪ストーブユーザーならだれもが悩む薪の調達方法です。

1.薪を買う
2.原木を買う
3.薪を作る
4.支障木の処理


1.薪を買う

最も手軽で、最も簡単で、そして場合によっては薪棚に積むことさえしなくてもいい方法がこの薪を買うというやり方です。関東や関西の大都市圏の事情は詳しくはわかりませんが、たぶん、全国ほとんどの場所で薪の販売業者がいて(もしくは配達圏に入っていて)、購入することができると思います。

しかも、業者さんによっては、薪棚に積んでくれますので、頼んでさえおけば自分では薪の準備を何もしなくてもいいです。

しかし、前回もお話した通り、薪の値段は年々上がっていて、現在は1棚1万9000円が相場と考えていいと思います(2019年現在。薪の長さ30センチ×幅1.8m×高さ1.5mと計算)。正直、結構高いです。

とはいえ、関東など太平洋側の場合ですと、冬晴れの日が続きますので(うらやましい)、1シーズンに使う薪の量もそれほどではありません。1シーズンで3棚~4棚しか使わないのであれば、十分検討に値すると思います。


2.原木を買う

薪を買うよりも安価に済ませたい場合に行う方法が、この原木を買うという方法です。この場合、原木とは、薪になっていない切り倒された木のことを言います。

造園業者の方ですと、行政の依頼で街路樹を切り倒したり、公園や学校の木を切り倒す依頼を受けていることがあります。それ以外にも民家の邪魔になった木を切り倒すこともあります。こうした時に出る原木は、通常は産廃業者のところに運んで処理料を支払って燃やしてもらうことになります。

こうした原木を買う場合、造園業者さんにとってもメリットがありますので(ただし、行政の依頼で切り倒した木は、行政の財産になりますので勝手に売買してはいけません。あくまで民間から頼まれた場合のみ売買してください)、売ってもらえるかもしれません。

費用は薪を買う場合に比べて半分以下~4分の1にまで抑えることができます。

ちなみに、原木は買わなくてもタダで貰えることもあります。筆者はこのパターンですが、自宅の庭の手入れをお願いしている造園業者さんから毎シーズン、かなりの量の原木をもらっています。業者さんにとっても、我が家でもらう量の原木を産廃業者で燃やすと数万円の費用がかかるので、ウィンウィンの関係になっています。


3.薪を作る

ただ、この場合ですと、薪を自分で作らなければなりません。原木を玉切りして、それを割って乾燥させ、そして薪にする・・・。手間と時間がかかります。

さらに、薪を作るには少なくともチェーンソーと薪割り用の斧を買わないといけません。人によっては薪割り機を購入することもあるでしょう。初期費用は1シーズンで買う薪の価格の数倍に及ぶケースもあります。

とはいえ、これも薪ストーブライフの醍醐味でもあります。薪を自分で作る薪ストーブユーザーは3回暖まるとも言われます。それは、薪を作るときに汗をかくほど暖まるのが1回、運ぶ時に暖まるのが2回、そして、冬に薪を焚いて3回。

なんといっても自分で割った薪は、それぞれに割った時の思い出もあるので(これ、結構覚えているものですよ。特になかなか割れなかった薪の場合は)、より深い満足感を得られます。

もし、こうした作業をするスペースがあり、薪割りをする気力体力があるようでしたら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。


4.支障木の処理

最後に、これはどこでもできるわけではありませんが、支障木の処理という方法があります。

これは、川が増水したときに水の流れを妨げるおそれがあるとして、河川敷に生えている木を切り倒すものです。

筆者の住んでいる山形県の場合、県や国交省がこうした支障木の処理を業者に頼んで行っていて、それをタダで貰うことができる場合があります。量が限られていたり、手間がかかったりしますが、タダに勝るものはありません(笑)。

さらに一歩進んで、この支障木を自分で切り倒してくれる人を募集している場合もあります。先日、地元の新聞で山形県は業者ではなく一般市民が支障木を処理している面積が全国で1位という記事を読みました。それだけ薪ストーブユーザーが多く、また、作業できる人も多いということだと思います。行政にとってもタダで河川敷の管理ができるのは大きな魅力ですし。

しかし、筆者はこの方法はあまりおススメしません。

理由は、高さ10m以上になったような木を切り倒すことは、素人には危険が大きすぎると考えるからです。

木を切り倒すのは大変です。切り倒す方向、順番など様々なことを勘案しないといけません。木が曲がっていた場合、曲がりのテンションがかかっている方を切ってしまうと、木がはねます。割り箸を折るときにパキッとなって曲がったところが折れますよね。あれです。これが直径30cm級の木で起きてしまうと、簡単に大けがをする危険性があります(これで亡くなっている人もいます)。

また、切り倒した木が隣の木によりかかってしまい切り倒せなかったり、じゃあそのよりかかられた木を切り倒そうとしたら、さらにその隣の木が邪魔になったり・・・とうまくいかない場合も多くあります。

なにより、幹の部分はいい薪になりますが、それだけではなく、きちんと枝も処理しないといけません。

薪ストーブを使うと、メインの太薪に火が回る前に小枝を使って徐々に火を大きくするので、枝は非常に重宝するのですが、いかんせん、処理に時間と手間がかかります。

一度やってみてください。1本の木の枝を処理するだけで、結構うんざりします。しかも、支障木の処理は一定の面積の木をすべて処理しないといけないので、最低でも10本~20本の木を切り倒す必要がありますので、枝の処理だけで10日とかかかるかもしれません。

以上、様々な方法がある薪の調達方法。

あなたは、どの方法で薪を集めますか?


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月29日火曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉒

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉒



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
人生初の熱中症を体験したラン。約1時間をロスしたものの、ようやく回復したが、今度はアンクルバンドが無いことに気づいて・・・。



アンクルバンドが無い―。

これまで、数多くのトライアスロンの大会に出ていて、こんな経験は初めてだ。

何でなくなっていたのか・・・。どこにいったのか・・・。

真っ白になった頭で考える。考える。考える・・・。


・・・あれだ!

バイクからランへのトランジットの時、足首に巻いたキネシオテープ。このテーピングのために、一時アンクルバンドを外した。

たぶんその時、テープの紙と一緒にまとめてトランジッションバッグに入れてしまったんだろう。皆生大会では、トランジットのタイムを測るためのランスタート地点での計測点が無かったことも、走り出した時に気づけなかった理由だ。

しかし、トライアスロンはすべてが自己責任。悪いのは自分だ。

ではどうしよう。

真っ白になった頭で、とりあえず足だけは動かしたまま考える。取りに戻るのはどうか。
いや、すでに10km来ている。これから10km戻ってトランジットまで行き、さらに今走っているところまで再び走りなおすと20km。そこからさらに32km。

残り時間4時間半で?どう考えても無理な相談だ。

となると失格はやむを得ない。悔しいけれど、本当に悔しいけれど、ゴールしてもタイムは出ない。でもこのまま走ってゴールまで行くことはできる。

しかし、大会運営をする人たちにとっては、アンクルバンドは計測器でもあり、下手したらGPSで選手の現在位置を確認しながら、選手の安全を守ろうとしている道具。そうした努力を払って大会を続けている以上、まったく伝えないで走り続けるわけにはいかない。

そのため、次のエイドステーションでマーシャルを探して事情を説明した。さすがにマーシャルの方もびっくり。そんな人見たことないとか・・・。ですよね~。自分でも信じられないもん。

本部に確認を取るということで、しばし待つ。

その後伝えられた返答はその場で失格。その後のレース続行は認めないというもの。やはりというべきか、安全確認ができない状況で走らせるわけにはいかないということか。

このまま、ここで回収のバスを待つように言われるが、この日は最終的に36度の猛暑日になっていた日。DNFの選手が多く、救急車で搬送された人や回収された人が後を絶たず、バスが来るまで2時間くらいかかるという。

2時間も何もしないで待っている気になれず・・・。歩いて戻ってもいいか確認すると、それは大丈夫という話。しかし、レースは終わっているので、ゼッケンは外してほしいと言われた。

当然のことなので、その場でゼッケンを外し、10km先のメイン会場までとぼとぼと歩き始めた。

胸にこみ上げるのは、「何でこんなことになったんだ」という疑問と後悔。あの時、ちゃんとアンクルバンドをつけていれば。きちんと忘れ物チェックをしてから走り出せていていれば。

これまで、ゴールを目指して走ってきた道。ランの折り返しを過ぎれば、ゴールへと続くはずだった道。

そこを、スタート地点に向って進む自分がいる。なんだかんだで10万ものお金をかけて、1000kmも車を走らせて、ようやく来た皆生。時間と金をかけ、仕事を調整し、ようやく参加にこぎつけた初ロング。それが何の結果も出せない結果になった・・・。

これだけの無力感と挫折は、しばらく味わっていなかった。

悶々と考えながら進んでいたら、今度は曲がるべきところをまっすぐ行ってしまい、道を間違えた。携帯もないし、当然地図も持っていない。しかも初めての街。

お客様の見送りに出ていたディーラーの販売員の方に道を聞いて、ようやく、ずっとまっすぐに走っていたと思ったコースが、途中で曲がり角があったことを思い出す。それだけ頭が朦朧としていたことだ。

スタート地点が近づくにつれ、続々とゴールを果たして戻ってくる選手たちとすれ違う。
どの選手の表情も晴れやかだ。一日かけて猛暑の中走り抜けた自分に誇りを感じているようないい顔をしている。

本当は自分もそういう顔をしたかった。

次第に日が傾き始めた午後6時半すぎ。ようやくメイン会場のスタート地点にたどり着いた。バッグの中身をひっくり返してみると、出てきた。アンクルバンドだ。これを忘れてしまったために途中失格―。

たった2か月の準備で初めて挑んだロングの大会。準備不足は承知の上で参加した大会は、ゴールに値する努力を払っていなかったという現実を示される大会だった。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月28日月曜日

薪ストーブのメリットとデメリット6 薪の値段は高い?

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第6弾。

今回のお題は、薪の値段は高いのか?安いのか?です。

目次
1.薪の値段を語る前に
2.薪の単位
3.薪の使用量
4.薪は高いのか安いのか?


1.薪の値段を語る前に

値段が高いか安いか。
これは、薪に限らずどんなものでもそうですが、その感じ方は「人による」としか言いようがありません。

年収1億円の人は安いと感じるかもしれませんし、年収500万の人は高いと感じるかもしれません。年収に関係なく、薪ストーブに価値を見出している人にとっては安いかもしれませんし、年収が10億円あったとしても薪ストーブに興味がない人にとって見れば、高いかもしれません。

なので、ここで言えることは事実のみです。それを高いと感じるか、安いと感じるかは皆さん次第です。


2.薪の単位

さて、薪の値段を言う前に、まず、薪はどのような単位で販売されているかをご説明します。通常、薪の販売で良く使われる単位は「棚」と「束」です。

このほかに、薪10kgとか20kgとか、重さで販売されているところもありますが、こちらはイメージが付きやすいと思いますので、棚と束について説明します。

このうち、束は70cmの針金で縛った薪の量です。針金で作った円の直径は22cmになります。山形をはじめ、秋に芋煮会をする東北地方では、ホームセンターやスーパーで販売している薪の量がちょうど一束くらいです。

薪の長さや業者さんにもよりますが、大体1束で500円前後で販売されています。

一方、棚は各地で量が違うことがあります。一般的なのは幅1.8m、高さ1.5mの空間に並べた薪の量です。薪の長さは色々ですが、30cmから45cmのものが主流です。

こちらは、筆者が薪ストーブを使い始めた10年前は、30cmの薪で1棚1万5000円でした。税別の所もあれば、税込のところもありました。

しかし、年々薪の価格は高騰していまして、現在では、1万8000円~2万円が相場になっています。


3.薪の使用量

価格がわかったといっても、「じゃあ、冬の間どのくらい使うの?」となりますよね。

薪の使用量については、どのくらいの時間使うかや、使用する期間、使っている薪ストーブの大きさ、家の断熱性能、家の大きさによって大きく異なるので、一概には言えません。

ただ、これから薪ストーブを導入しようと考えている方向けに、筆者の自宅の使用量をご説明します。ここを基準にご自身の自宅や生活スタイルから使用量をシミュレーションしてみてください。

筆者の自宅は、10年以上前に新築で建てまして、生活空間の建坪は40坪です。家の断熱性能は、2008年の竣工で断熱材はグラスウール16k。Q値はきちんと計算できていませんが、大体1.9くらいです。

このうち、ほぼ物置と化している筆者の書斎を除く家中を一台の薪ストーブで暖めています。34坪、68畳分の広さです。さらに、リビングダイニングは勾配天井になっていて、最も高いところは4.6mあります。かなりの大空間です。

このため、真冬日になる日も多い1月下旬から2月にかけては、薪ストーブは常に全力で働いています。

また、使用時間も朝6時に着火、最後に給薪するのは夜の11時~12時ごろです。昔は寝る直前にも朝暖かいようにと薪を入れてから寝ていたのですが、さすがに使用量が半端ないので最近は自粛しています。

使用する期間は、10月中旬から4月下旬まで。約6か月間です。

室温はストーブの置いてあるリビングで大体24度。リビングから最も遠い寝室で18度くらいです。これが、朝起きたときにはリビングで16度~18度、寝室で10度から12度くらいになっています。

こうした条件で朝から晩まで薪ストーブを使用していて、最初の頃は1シーズンに15棚くらい使っていました。それがだんだん薪の効率的な燃やし方や、一度暖めた部屋の温度を保つ方法などを学んできて、現在は12棚くらいです。

なお、我が家で使用している薪は35cmです。

今年から、妻が日中働きに出るようになったので(午前中のみのパート)、午前中燃やさなかった場合の量については、今シーズン終わってからご報告します。



4.薪は高いのか安いのか?

1シーズンに使用している薪の価格は、例えば12棚で現在の相場の平均1万9000円で計算すると、22万8000円です。
6か月間使うので、月の平均を出すと月3万8000円になります。

とはいえ、筆者は薪のほとんどを自分で作っているので、ほとんど出費はありません。


この価格、高いでしょうか?安いでしょうか?
たぶん、1日18時間エアコンで全館暖房した場合、電気代はもっとかかかもしれません。また、石油ストーブを使用して家中を同じ条件で暖めた場合、灯油の使用量は1シーズン2000Lくらいでしょうか。今の灯油の価格なら薪の方が高いかもしれません。

また、筆者は薪ストーブだけを使用していますが、薪ストーブと石油ストーブの併用、エアコンとの併用で薪の使用量を減らすことは十分に可能です。

平均的なサラリーマンである筆者の給料では、1シーズンに使う薪をすべて買ったとすると、薪は高いです。自分で作っているから何とかやれていますが・・・。ただ、他の暖房と比べて「割高ではない」と感じています。

皆さんはどう感じるでしょうか。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月25日金曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉑

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉑



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
人生初の熱中症を体験したラン。エイドステーションで20分以上休憩を取り、ようやくレースを再開した。


ようやく再開したラン。

しかし、最初は体がどうなるかわからないので、まずは歩いた。200mほど歩く。そこで少しだけジョギングしてみる。1、2、3、4・・・。歩数を数えながら。100mほど走ったらまた歩く。体がどう反応するのか、心拍に以上はないか。

そうしたペースで10分ほどかけて、1kmを進んだ。この時点では体調に変化はない。よくもならないけど、悪くもならない。

そこで、もう少し走る距離を長くしてみる。200m走って、100m歩くペースに変更。少しだけペースも上がって次の1kmを9分で通過する。

この時点でも特に変化はない。ゆっくりなら走っても大丈夫そうだ。

休んでいたエイドを出てから20分ほどたって、ようやくずっと走り続けることにする。
でも、急激にはペースは上げない。ゆっくり、ゆっくり。走っているといっても、歩いていない程度のペースで進んでいく。次の1kmを8分ほどで通過。

そして、次のエイドに到着した。

スポーツドリンクを飲み、スイカを食べる。レモンはほおばるが塩はつけない。期待はせずに「氷をもらえますか?」と聞いたら、なんとここのエイドには大量にあった。それをビニール袋にもらって、首の後ろを冷やす。強烈に冷たい。

約1分そこで首を冷やした後、その氷を背中に流し込む。アウターの上から補給食を入れたベルトをしているので、氷は背中で止まっている。背中側と言ってもお腹まわりを冷やすのにはためらいがあったが、少しでも氷を体に触れさせたい。

最後に頭に氷水をかけてもらう。これは・・・すごい。一気に目が覚めた気がした。

3分あまり過ごした後、再び走り出す。さっきまでとペースは変えず。1km8分のペース。ゆっくりゆっくり。次の1kmは自然とペースが上がって7分30秒で通過。さらに次の1kmを7分ペースで進んでいたところで、次のエイドに到着した。

まだまだ頭には霞がかかっているような感じがあるが、心臓がバクバクするようなことはない。たぶん、もう大丈夫なんだろう。

エイドでの補給の仕方をルーティン化するべく、スポーツドリンクを一杯一気飲みした後、スイカ、レモンをほおばる。1個だけ塩をつける。そして頭に氷水。

ここでは1分ほどですぐに走り出した。ここからの1kmは7分丁度のペース。これならゴールまで行けるはずだ。

3時半にランをスタートして具合が悪くなったのが3時50分ごろ。4時過ぎにエイドについて20分を浪費。4時半から再び走り始め、次のエイドに着いたのが午後5時。この時点で6kmちょっと。残り36km。次のエイドに着いたのは午後5時20分過ぎ。残り33km。当初よりは厳しくなったが、1km7分のペースを保てば十分ゴールできる。

とにかく1km7分のペースを守ろう。そう思いながら走っていると少しずつ、頭の中の霞が取れてきた。回りが見えるようになってくる。信号待ちがあり、歩道橋を上って降りて、進路右側の歩道を走っていたのが左側の歩道を走ることになり・・・。前からは折り返してきた選手がやってきてすれ違う。ボロボロの自分とは全く違うハイペースだ。来年はこんなペースで走りたいなと思いながら、お互いに「ガンバ!」と声をかける。

特にペースは上げていないが、徐々に回復したおかげで元々の想定ペースに近づいていく。次の1kmを6分40秒で通過。このままいけば、1km6分のペースに戻れるかもしれない。

前向きな気持ちになったこの時、ふと足元を見た。そこで・・・気づいてしまった。

「あるべきものが無い!」

そう、左足につけていたアンクルベルトが見当たらない。これが無いとゴールできない!

頭が真っ白になった・・・。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月24日木曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑳

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑳



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
順調な滑り出しを迎えたラン。しかし、スタートからたった2kmでレース中最大のトラブルが発生する。フラフラになりながら、ようやくエイドにたどり着いたが・・・。


ようやくエイドステーションにたどり着いた。すごいハイテンションのボランティアの女子高校生が、「私苗字一緒なんですよ!遠くから来たんですね!頑張って!」と話しかけてくれる。

どうやら、ゼッケンから選手の名前を調べ、一人ひとりに声をかけているみたい。とっても素敵な対応。そして、今思い出しても心が暖かくなる声だった。

・・・それなのに、その時の僕は同じテンションで返答できる余裕もなく「水、水、ください。それと氷。ごめん、具合悪くてお話できない・・・」とぼそぼそと返すだけだった。今思い出しても心が冷たくなる。

それでも、「はい、どうぞ!」と言ってお水を差しだしてくれ、さらに、「氷だって。みんな、氷どこにある?」とまわりに聞いてくれる。そして、その声を受けたほかの高校生たちも一斉に探してくれる。なんて素敵なボランティア、運営なんだ―。

しかし、残念なお知らせが。これまで訪れた多くの選手に配ったため、氷はもうないという。板氷で冷やしていた水もすでに氷が解けて若干冷たい程度だった。

仕方がないが、とりあえずできることをする。電解質の多いスポーツドリンクをプラスチックカップ2杯ほど一気飲み。これがいいかはわからないが、体は水分を求めていた。

そしてビニール袋に一番冷たい水を入れてもらい、エイドステーションの奥の日陰に。ここで座り込み、首の後ろにビニールに入った水を置いて体を冷やす。ついでにその水をいくつか垂らして体にかけた。

こんなくらいではまだ全然だが、今度は大人のボランティアの方が話しかけてくれた。症状を伝えるとやはり熱中症と判断したのか、同じように冷たい水をビニールに入れたものを二つ作ってくれた。これを両脇の下に挟んでしばらくじっとする。

まだまだ心臓のバクバクが止まらない。併せてこのままではゴールできないんじゃないかとの不安が大きくなる。どうしよう。どうしよう。体は動かないが内心はいてもたってもいられなかった。

そうしているうちに、男性のボランティアが氷を見つけたと言って持ってきてくれた。どこかの容器の底に少しだけ残っていたらしい。探してくれた気持ちがありがたい。

早速その氷をビニールに入れて両脇に挟む。先ほどまでの水とは全く違って冷たい。すごく冷たい。当たり前だけど・・・。

そうしてしばらく動かずにいた。5分ほどは何もできずにじっとする。すると少しだけ話ができるようには回復してきた。ボランティアの方と話をする。リタイアするか聞かれるが、もう少し回復させて何とか先に進みたいと告げる。

ボランティアの男性からは、残り2時間の段階で折り返しポイントを通過できないと回収されると伝えられる。今の時間は午後4時20分。午後7時までに17km先の折り返しポイントに行かないといけない。しかもその後はハーフのベストに近いペースで走らないとゴールにたどり着けない計算だ。

さすがにそれは無理なので、何とかもっと早く行けるか考える。まず思いつくのは、準備のために着込みすぎていたこと。上半身はインナー+腰サポーター+アウターを着ている。これでは放熱がうまくいかない。そのため、インナーは脱いで捨てることにした。

さらに5分氷をあててじっとする。

すると、またもう少し回復してきた。

着替えくらいはできる元気が出てきたので、インナーを脱いで走りだす準備をする。汗と水で濡れたおっさんの下着なんて汚くてごめんなさいと謝りながら、ごみ用のビニール袋に捨てさせてもらった。

1枚脱ぐとやはり涼しい。ここでさらに氷が追加された。またどこかから探してもらったみたい。本当に、本当にありがたい。

この氷を首の後ろに置いてさらに5分・・・。

ようやく、歩くことくらいならできるんじゃないかというくらいに回復してきたみたいだ。エイドステーションに来てから約20分が経過した。本当はもっと回復するまで休むべきなんだろうが、ゴールできないことが不安なので先に進むことにする。

途中で倒れることだけはできないので、自分の体の具合を確かめながら、決して無理をしないことに意識を集中させないといけない。

先ほどもらった氷は首の後ろに置いたまま、最後にスポーツドリンクを一杯飲み、さらに水を頭にかけてもらい、エイドステーションから一歩踏み出した。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月23日水曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑲

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑲



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
予定の1時間遅れでバイクフィニッシュするも、残り6時間余り。最後のランパートが始まった。


皆生大会のトランジットには、タイム計測のチェックポイントが無い。このため、バイクのタイムは、バイクを終えてトランジットに入ったタイミングで計測。トランジットも含め、ゴールまでの時間がランパートのタイムとなる。

このため、トランジットを抜けてランコースに入る時には、何もチェックされず。ただ、トランジットを抜けたところには、ランコース最初のエイドステーションがあった。

これは助かる!バイクパートの最後をほとんど給水できず、さらに10分以上トランジットでランの準備をしてしまった。30分ほどは水分摂取ができていない時間帯が発生したことになる。

ここではボトルではなく、プラスチックのカップに飲み物が入っている。コーラとスポーツドリンクを一気飲みする。さらに水を頭にかけて、塩をつけたレモンをほおばる。1つ。2つ・・・。

しかし、皆が塩レモンを食べているため、塩が濡れて固まってしまい、ほとんど取れない。それを見かねたボランティアの方が、新たに塩を追加してくれた。これをたっぷりとってレモンと一緒に最後に一つを口に運んだ。

後から考えると、これがいけなかった・・・。

エイドステーションを抜けて走り出す。あれ、体が軽い。

実際には8時間以上経過しているので疲れているんだけれど、思っていたより体が軽い。

通常、バイクパートからランパートに移ると、自分の体じゃないみたいに重く感じるもので、その感覚をなくすためにもクロストレーニングをしているんだけど、本当に軽かった。

たぶん、トランジットに時間がかかっていたので多少なりとも疲れが取れたこと、また、キネシオテープを貼りまくった効果が出ていたんだと思う。

これならいけるんじゃない?すごく前向きな気持ちになりながらも、慎重に慎重にと言い聞かせ、とりあえず最初の1kmはキロ7分で通過。海岸沿いから町場の方に曲がって大通りに向う。2km通過もキロ7分ペース。

特につらくない。これならいけそう。徐々にペースを上げていこうと思ったその時、それは突然来た―。


急に気持ちが悪くなる。吐き気がする。何より喉が渇いた。

なんでだ?ついさっき飲んだばっかりじゃないか。

しかし、心臓の音が急に大きく聞こえるようになる。早鐘のようにバクバクバクバクと言っている。とてもじゃないけど走っていられない。

なんだ?なんだ?なんだ?

急激な体の変化にパニックになる。さっき抜いて行った女性ランナーから抜き返される。
それでも体に力が入らない。

真っ白になった頭で最初に思い浮かんだのが、熱中症。

自分は今まで熱中症になった経験がないので、話に聞いた情報しかないが、どうやら間違いなさそう。とにかく喉が渇いた―。

交差点に立っているボランティアの方に次のエイドはどこにあるかを聞く。
あと1kmほど先だという。

遠い。

今の自分にとっては100m先でも遠いのに、1km。歩いたら10分以上かかる。
どうする?

でもここで座り込んでも何もできない。熱中症ならエイドで体を冷やさないと大変なことになるかもしれない。


仕方ない。とにかく歩く。一歩一歩足を進める。まさか、さっきまであれほど好調に進んでいたのに。ああ、とにかく喉が渇いた。


ひたすら、喉の渇きに耐え、バクバクいう心臓の音に不安を募らせながら歩いた。
今はタイムを気にする時ではない。何とかエイドステーションまでたどり着いて立て直さないといけない。

原因を考える―。考える・・・考える・・・塩だ。

ランパートに入った時に舐めた塩。レモンと一緒に大量に摂取してしまった塩。これが対内の塩分濃度を急激に狂わせたのに違いない。

それまで、バイクパートでは、大量の汗をかいて、その汗が走っているときの風で乾かされることで体温が下がっていた。そのため、36度を超える灼熱のレースでも熱中症にならずにすんでいた。

しかし、ランでは時速10kmも出るか出ないかのペースでしか走れない。そのため、熱の発散がうまくいかなくなった。

さらに、塩をなめすぎたため、体内の塩分濃度が上昇。当然体は均衡を保とうとして、体内の水分量の減少を抑えようとする。つまり、汗をかかなくなる。

良く、塩分の取りすぎはむくみにつながるという話を聞くと思う。これは、高くなった塩分濃度を何とか平準化しようと体が水分を貯めようとするからだ。

汗が出ない。さらに風に当たらない。こうした二つの原因から、体温が急激に上昇―。

その結果の熱中症症状だ。

この分析はほぼ正しいと思う。
レース後、循環器と高血圧を専門にしている医者の友人に、当時の状況と分析を伝えたところ、概ね同じ意見だった。

分析はできたが、対策は取れていない。

喉が乾いているということは、体内の水分量が足りていないということ。何か飲んで塩分濃度を下げ、汗が出るようにする。そして体温を下げる。

とにかく、体温を下げないことには何も始まらない。そのためには、エイドステーションに何とかしてたどり着かないと。

遠くにボランティアの人が何人か集まっているのが見えてきた。あれがエイドステーションか・・・。

見えているのになんだかよく見えない。まっすぐ歩いているはずなのに、進路右側にある家の壁にぶつかりそうになる。

あと200m。あと100m。

まさにふらふらの状態で、何とか何とか、エイドにたどり着いた。


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人生、曇り時々晴れがいい。