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2019年2月11日月曜日

薪ストーブのメリットとデメリット9 薪棚について

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第9弾。


今回のお題は「薪棚」についてです。
こちらも、薪ストーブライフには絶対に必要です。市販されているもの、DIYで自作するもの、大工さんに作ってもらうものなど、様々な種類があります。限られたスペースにどれだけの薪を置いておくことができるかを考えておかないと、後々大変なことになります。

1.薪棚の種類
2.薪棚を作る予算
3.見栄えも大事です
4.どのくらいの薪を置くのか


1.薪棚の種類

薪棚には、いくつか種類がありますが、最も簡単に手に入れることができる方法が、市販の薪棚を購入するというやり方です。

薪ストーブを導入する際にお世話になる地元のストーブ業者さんでは、必ずと言っていいほど扱っていますし、ネットでも安く販売されています。

これは、非常にお気軽でいいですし、薪が入っていなければ簡単に持ち運べるので、家の周りの薪棚のレイアウトを変えることもできるので便利です。

一方で、結構壊れるという話を聞きます。基本的には凹のカタチをしていますから、左右の端を井桁のカタチに積まないと、上の部分がだんだんと開いてきてしまいます。最後には扇のように上部が伸びた状態になってしまいますので、注意が必要です。

そのため、頑丈に作ろうと思った際には、単管パイプで作る方法があります。

これも、数多くのブログで作り方が掲載されていますので、詳しくはそちらの記事を参考にしてみてください。通気性もよく、非常に頑丈に作ることができるので、薪の積み方を気にしなくても大丈夫な点がうれしいところ。

一方で、これは好みが分かれるのですが、結構武骨な仕上がりになります。これを良しとする人なら、絶対に単管パイプがいいですが、そうでないなら次に紹介する木の薪棚をおススメします。

木の薪棚は、上手に作ればそれだけで庭の景色になりますし、きれいに積み上げられた薪と共に、インスタ映え間違いなしです。こちらも、DIYの方法が数多くネットに出ています。


2.薪棚の値段

では、それぞれどのくらいの費用が必要なのでしょうか。

まず、市販の薪棚は、60束用で9000円くらい。1棚(幅180cm、高さ150cm)用で1万5000円ほどで売られています。
自宅の薪棚が1棚か2棚で十分という人は、市販のものを使われるといいでしょう。

一方で、6棚とか10棚分の薪を確保しておきたい・・・となった場合、10棚=9万円~15万円とかなり高額になります。また、高さがそれほど取れないので、スペースも必要になります。

次に、単管パイプの薪棚ですが、こちらは1棚分の大きさで作る人はいないと思います。幅180cm、高さ200cm、前後に二列積むサイズを作る場合、3万円前後で完成します。

このサイズだと2.5棚分の薪を置くことができる計算になりますので、逆に割安になるかもしれません。

次に、木で作った薪棚です。これは本当にピンキリで、最も手軽に2×4材で作ったケースですと、単管パイプと同じサイズで2万円しないくらいで完成します。

しかし、防腐塗料やペンキも合わせて購入して塗る(数年に一度は塗り直しが必要)ことを考えると、ほぼ同じくらいのコストになります。

ちなみに、上記のコストはすべて自分で作った場合のものです。大工さんなど業者さんにお願いすると、大体上記金額の2倍はかかります。


3.見栄えも大事です。

薪棚は、その名の通り薪を乾燥させながら保存しておくものですが、この薪棚にキレイに薪が積んであるのとないのとでは、見栄えが全然違ってきます。

乱雑に薪が置かれた家の場合は、せっかく薪ストーブが設置されたこだわりの家なのに、なんとなく汚い感じがしてしまいます。

一方で、きれいに薪を積み上げ、さらには薪棚アートなんかをしている家は、とってもおしゃれに見えます。

特に薪棚の色が家の外壁に合わせて塗装された場合など、それだけで家の景色が一段上がる感じがします。

せっかく作る薪棚ですから、おしゃれにかっこよく作りたいですし、積み上げる薪もきれいにそろえて置いておきたいですね。


4.どのくらいの薪を置くか

さて、この項目が薪ストーブライフでの悩ましい問題の一つです。

薪ストーブは当然、薪が無ければ役に立ちません。しかも、その薪は乾燥していなければ上手に燃えてくれません。

そのため、薪棚に薪を積み上げて乾燥と保管をするわけなのですが、家の敷地には限りがあります。そこで悩むのが、家にどのくらいの薪棚を準備するか・・・です。

だいたいの計算ですが、2棚の薪棚を設置するのに、1坪の土地が必要になります。

2棚の薪は幅180cm、前後の奥行きが90cm、高さ150cmあれば大丈夫なので、薪棚自体が占める面積は1畳分なのですが、薪棚の前を人が通って薪の積み下ろしをするので、スペースとしては1坪かかる計算になります。

そうすると、4棚の薪を置くのには2坪。10棚の薪を収容する薪棚は5坪の土地が必要になります。5坪と言えば、幅は10m近くなります。

これだけのスペースを余裕で取ることができる家でしたらいいのですが、なかなかそうはいかないと思います。そうすると、何棚分の薪棚を準備するか考えなければなりません。

筆者の家は1冬に10棚以上使うのですが、例えば10棚の薪を一冬で使うとして、2棚分しか薪棚がなかったとします。その場合、5回に渡って薪を購入しなければなりません。

自分で薪を割って積んでおこうにも、そのスペースが無い以上購入に頼るしかなく、そうすると非常に割高になってしまいます。

逆に5棚分の薪棚があれば、その5棚分を自分で作り、無くなったら5棚を追加で購入すればいいので、かなり薪の費用を抑えられます。

なお、この計算は、推奨されている「薪は2年乾かせ」ということを無視した考えです。2年乾かした極上の薪を使おうと考えたら、そういう薪を購入するか、20棚分の薪棚を準備するしかありません。かなりハードルが高いです。

この点が、薪ストーブの抱える大きなデメリットです。エアコンや石油ストーブの場合、ここまでスペースについて頭を悩ませる必要はありませんよね。

薪ストーブを導入するにあたって最も重要なことは、良質の薪を安定して確保し続けられるかです。良質の薪とは、このブログではきちんと乾燥された薪を指します。

きちんと乾燥するには、それ相応の「時間」が必要です。夏に割った薪なら、使うのは翌年の秋以降にしたいところです。

しかし、そのためには多くの薪を保管しておく薪棚が必須ですが、薪ストーブを特集した雑誌や、ストーブの施工業者でその点を指摘していることが少ないと感じています。

乾燥が不十分な薪を燃やすと、煙道火災の危険性が高まったり、近所の方から臭いにクレームが来たり・・・と、いいことがありません。

薪ストーブ導入を検討されている方は、ぜひ薪棚についてもしっかりと検討されることをお勧めします。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年2月6日水曜日

薪ストーブのメリットとデメリット8 焚きつけ

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第8弾。


今回のお題は「焚きつけ」についてです。
薪ストーブライフには絶対に必要なのに、ネットでもストーブ業者さんからもほとんど見聞きすることのない「焚きつけ」を深掘りします。


1.焚きつけって何?
2.どこで売ってるの?
3.どうやって調達するの?
4.焚きつけの賢い集め方


1.焚きつけって何?

そもそも、焚きつけって何でしょう?
なんとなく、火を大きくするのに使うもの・・・というようなイメージが湧くと思いますが、明確にイメージできる人は少ないと思います。

焚きつけとは、「薪ストーブで火を起こすときに最初に燃やす小枝や木端」のことです。

太い薪はいきなりは燃えてくれません。新聞紙や着火剤→太薪の直行便はありません。
必ず、着火剤→焚きつけ→細薪→太薪の順に燃えていきます。

そのため、薪ストーブを使う朝一番には必ず使うものですし、これが無いと火を起こすことはとても大変になります。


2.どこで売っているの?

そんな大切な焚きつけ、どこで売っているの?という疑問が湧くと思います。
薪は薪屋さんや薪ストーブ業者ならば売ってくれますが、「焚きつけ下さい」とお店に行って、「はいよっ」て出してくれるところは少ないです。

ネットは?っていうことで調べました。
ネット通販では焚きつけとして使える護摩木や、もみ殻などが売られていました。さすが現代社会!

ただ、いいお値段しました。人が抱えられるくらいの段ボール1箱が3000円~4000円くらい。一回火を起こすのに、一掴みくらいは使うので、たぶん1箱で2週間~3週間くらいの量になります。

筆者の住んでいる山形の場合、10月下旬から4月下旬までの半年くらいは薪ストーブに火を入れるので、1箱で3週間もったとしても26÷3で大体9箱は使う計算です。

3000円×9で2万7000円!いや~。結構しますね~~。

しかも、ネットで販売されている焚きつけは結構太いので、新聞紙からでは難しく、着火剤も買わないといけないかもしれません。

薪代がかかるのはわかっていたけれど、さらに焚きつけとか着火剤とか地味~に費用がかさむ。

これが薪ストーブライフの真実であり、デメリットの一つです。石油ストーブで灯油のほかにオイルが必要だ・・・なんてありませんし、エアコンなら燃料を調達するどころか、スイッチ一つでついちゃいますからね。

こういうことをきちんと説明せず、薪ストーブのいいところばかりを説明するサイトやブログが多いのではないでしょうか。


3.どうやって調達するの?

では、続いてどうやって焚きつけを調達するかです。

前述のように、お金を出せばネットで買えます。でも、できることならなるべくお金を賭けずに集めたいですよね。

自宅の庭に木がある場合に一番簡単なのは、造園業者さんに剪定してもらった時に出る枝を集めておくことです。これだとお金がかかりません。

いやいや、家に木植えるほどの広さがあったら苦労しないよ・・・という人は、友人知人にそういう家持っている人いませんでしょうか?そういう家からもらうのも一つの手です。

ただ、この場合は1回ならいいでしょうが、2回、3回と続くと、なかなか頼みづらくもなるでしょうし、迷惑がられるかもしれませんよね。

また、公園や河川敷に落ちている小枝を拾ってくるという方法もありますが、厳密には、落ちている小枝もそこを管理している市町村の持ち物なので、勝手に持って帰ってはいけません。

ここまでお読みいただいた方、気づきました?

実は焚きつけを集めるのって難しいんです。


4.焚きつけの賢い集め方

そこで、筆者の提案する賢い焚きつけの集め方です。

もし、あなたが都会に住んでいないならば、車で移動できる範囲に果樹園や果樹農家さんがいると思います。こうした果樹農家さんは、毎年冬になると枝の剪定を行います。

この時は枝を切り落とすだけで、雪が解けた春先になって初めて、地面に落ちた枝を処理します。

処理とは、具体的には産廃業者に持って行くか、畑の一角に集めての野焼き(厳密にはダメですが)です。

中には、自宅の薪ストーブ用に焚きつけを作ることもあると思いますが、ほとんどは処分の対象になります。

このため、そうした果樹農家さんに申し出て、春先の剪定枝を片付けているときに、譲り受けるという手があります。ついでに片付けを手伝えば、農家さんも喜んでくれると思いますし、自分としても申し訳ない気持ちを持たずにもらうことができます。

うまく仲良しになれれば、旬の野菜などをもらえる関係になるかもしれません。


いや、でもうちは都会だから。周りに果樹農家さんなんていないし、そもそも車持っていないから、譲り受けたところで運べないし・・・という方。

そういう方に提案したいのが、薪から焚きつけを作る方法です。

用意するのは、「のこぎり」と「なた」です。安いものならどちらもホームセンターで2000円~3000円で売っています(高いものは本当に高いですが)。

買ってある薪(長さ3センチと想定)の真ん中をのこぎりで切ると、長さ15センチの薪が2つできますよね。これをなたを使って縦に割っていくんです。

最初は怖いかもしれませんが、慣れてくれば簡単です。私は薪割りの時に出た端材をなたで割って焚きつけを作りますが、半日で半年分を作れます。

これなら、自宅の玄関先とかでもできますし、誰にも迷惑をかけません。何より、人にお願いする気苦労もなくて済みます。

一度トライしてみてはいかがでしょうか?


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。




2019年2月1日金曜日

薪ストーブのメリットとデメリット7 薪の種類

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第7弾。

今回は薪の種類についてです。

灯油を使う石油ストーブや、電気を使うエアコンは基本的に品質に差がありませんが、薪は木の種類によって大きく異なります。針葉樹は燃やしてはいけない、ナラの木が薪として最高・・・など、様々な情報がありますが、本当のところはどうなのか?をお伝えします。

1.広葉樹と針葉樹
2.売っている薪はどっち?
3.針葉樹を燃やしても大丈夫?
4.これだけはやめましょう


1.広葉樹と針葉樹

薪の種類の前に、木の種類について。大きな分け方としては広葉樹と針葉樹の二つがあります。

広葉樹とは読んで字のごとく、葉っぱが広い木です。針葉樹は葉っぱが針のような木です。なんのこと?と言われるかもしれませんが、葉っぱが広い木の代表は桜やナラ、ブナ、ケヤキなどで、春に新しい葉っぱができて、秋に紅葉し、その後落葉します(落ち葉になります)。街路樹や公園の木に使われることが多いです。

針葉樹の代表的なものには、マツやスギがあります。針のようにとがった葉っぱをしていて、一年中葉っぱがあります。冬でも葉っぱがついている木が簡単にいうと針葉樹です。
街路樹というより、主に建材として使われることがあります。杉板の壁とか、米松の床とか聞いたことがあるかもしれません。

この針葉樹と広葉樹、木としては別にどちらかが優れているわけではありませんが、薪としては明確な差があります。

結論から言うと、多くの人がご存知の通り広葉樹は薪に適していて、針葉樹は薪に向きません。


2.売っている薪はどっち?

うちの薪はどっちなんだろう?と思われた方、もし自宅の薪が業者から買ったものなら、その薪は100%広葉樹です。安心してください。まあ、お金をもらっているのに、針葉樹の薪なんか置いていった日にはクレームきますしね。

逆に、原木を玉切りして自分で薪を作った場合はこの限りではありません。木肌を見ただけで木の種類がわかる方なら問題ありませんが、何の木かわからないけれど薪にしているというケースもあると思います。

そんな時は薪を持ってみると大体わかります。もし、二の腕くらいの太さの薪を持った際に、ずっしりきたら広葉樹。軽くて2、3本持てるようなら針葉樹です。

また、建築会社にお知り合いがいて、建材の端材を貰えることもあると思います。こうした端材はほとんどが針葉樹になります。

あ、山形の人の場合、芋煮用の薪として秋に店頭に並んでいるのは、全て針葉樹です。

このように、針葉樹は色々なところで手に入るので重宝するのですが、ネットの記事や薪ストーブの本を読んでいると、「針葉樹は燃やしてはいけない」みたいなことが多く書かれています。また、薪ストーブの専門店でも「薪は広葉樹を燃やしましょう」などと指導されることが多くあります。


3.針葉樹を燃やしても大丈夫?

では、針葉樹は燃やしていけないのでしょうか?

いいえ、大丈夫です。

針葉樹を燃やすことには意見があるので、筆者の言うことが100%正解とは言いませんが、少なくとも10年以上、針葉樹の薪も気にすることなくガンガン燃やしていますが、うちの薪ストーブには一切不具合はありません。

ではなぜ、針葉樹は薪ストーブに適していないと言われるのでしょうか?

それは、広葉樹に比べて針葉樹は成長が早く、木の中の密度が低いので燃えやすく、ストーブの中が高温になりすぎることがあるためです。高温になりすぎると、薪ストーブ内部の部材に不具合が出ることがあります。

クリーンバーン方式のストーブの場合はバッフル板というのがあるのですが、これが歪んでしまったり、内部の耐火煉瓦が痛んだり。

また、針葉樹はタールが出やすい(煤が出やすい)傾向にあるので、煙突が詰まったり、それが燃えて煙道火災が起きたりする可能性があります。

こうしたことから、針葉樹は使わないようにしましょうという指導というかアドバイスが多いです。

あ、あと薪の火持ちも悪いです。

でも、燃やし方が悪ければ広葉樹だけを燃やしても煙突は詰まります。先日、筆者の知人で薪ストーブを使っている人が、バーモントキャスティングのアンコールというストーブを使っているのに1シーズンに1,2回は煙突掃除をしていると聞いてびっくりしました。通常、こうした数十万円するストーブの場合、煙突も内部の直径が18センチ以上あり、適切に使用していたら煙突が詰まることはありません。筆者の家は2年に1回の煙突掃除でも十分です。

また、内部が高温になりすぎるという点も対策は色々あります。簡単なのは、広葉樹と混ぜて使うことです。スターターとして火をつけた際に最初に針葉樹を使うことで早く炉内を暖めることができますので、その後広葉樹の薪に移行すれば部屋を暖めるのは早くなります。

他にも、針葉樹は灰が少ないので、灰の掃除をあまりやらなくて済むというメリットもあります。


4.これだけはやめましょう

針葉樹と広葉樹、筆者はどちらを燃やしても大丈夫と考えていますが、これだけはやめた方がいいということがあります。

それは、集成材を燃やすことです。

集成材とは、複数の木を接着剤を使って圧着させることで、強度と太さを出している木で、建材として多く使われています。公民館など公共の施設で、内部に30センチを超えるような太い柱があった場合はほとんどが集成材です。

こうした木を燃やすと、本来なら燃やしてはいけない接着剤も燃やすことになります。焼却施設で高温で処理するならいざ知らず、家庭の薪ストーブで燃焼するくらいの温度では、有害な物質が煙突から出てしまう危険性もあります。

同様にペンキなどで表面に色が塗られているような木もやめましょう。


今回は、針葉樹と広葉樹の違いについて書いてきましたが、ここまで読んだ方で「面倒くさい」と感じた人も多いと思います。薪ストーブの導入を検討している人で、こうした面倒くさを「面白い」と感じるなら薪ストーブを使っても大丈夫ですが、面倒と感じるならエアコンや石油ストーブを使った方がいいかもしれません。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月30日水曜日

薪ストーブのメリットとデメリット7 薪の調達の仕方

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第6弾。

今回のお題は、薪ストーブユーザーならだれもが悩む薪の調達方法です。

1.薪を買う
2.原木を買う
3.薪を作る
4.支障木の処理


1.薪を買う

最も手軽で、最も簡単で、そして場合によっては薪棚に積むことさえしなくてもいい方法がこの薪を買うというやり方です。関東や関西の大都市圏の事情は詳しくはわかりませんが、たぶん、全国ほとんどの場所で薪の販売業者がいて(もしくは配達圏に入っていて)、購入することができると思います。

しかも、業者さんによっては、薪棚に積んでくれますので、頼んでさえおけば自分では薪の準備を何もしなくてもいいです。

しかし、前回もお話した通り、薪の値段は年々上がっていて、現在は1棚1万9000円が相場と考えていいと思います(2019年現在。薪の長さ30センチ×幅1.8m×高さ1.5mと計算)。正直、結構高いです。

とはいえ、関東など太平洋側の場合ですと、冬晴れの日が続きますので(うらやましい)、1シーズンに使う薪の量もそれほどではありません。1シーズンで3棚~4棚しか使わないのであれば、十分検討に値すると思います。


2.原木を買う

薪を買うよりも安価に済ませたい場合に行う方法が、この原木を買うという方法です。この場合、原木とは、薪になっていない切り倒された木のことを言います。

造園業者の方ですと、行政の依頼で街路樹を切り倒したり、公園や学校の木を切り倒す依頼を受けていることがあります。それ以外にも民家の邪魔になった木を切り倒すこともあります。こうした時に出る原木は、通常は産廃業者のところに運んで処理料を支払って燃やしてもらうことになります。

こうした原木を買う場合、造園業者さんにとってもメリットがありますので(ただし、行政の依頼で切り倒した木は、行政の財産になりますので勝手に売買してはいけません。あくまで民間から頼まれた場合のみ売買してください)、売ってもらえるかもしれません。

費用は薪を買う場合に比べて半分以下~4分の1にまで抑えることができます。

ちなみに、原木は買わなくてもタダで貰えることもあります。筆者はこのパターンですが、自宅の庭の手入れをお願いしている造園業者さんから毎シーズン、かなりの量の原木をもらっています。業者さんにとっても、我が家でもらう量の原木を産廃業者で燃やすと数万円の費用がかかるので、ウィンウィンの関係になっています。


3.薪を作る

ただ、この場合ですと、薪を自分で作らなければなりません。原木を玉切りして、それを割って乾燥させ、そして薪にする・・・。手間と時間がかかります。

さらに、薪を作るには少なくともチェーンソーと薪割り用の斧を買わないといけません。人によっては薪割り機を購入することもあるでしょう。初期費用は1シーズンで買う薪の価格の数倍に及ぶケースもあります。

とはいえ、これも薪ストーブライフの醍醐味でもあります。薪を自分で作る薪ストーブユーザーは3回暖まるとも言われます。それは、薪を作るときに汗をかくほど暖まるのが1回、運ぶ時に暖まるのが2回、そして、冬に薪を焚いて3回。

なんといっても自分で割った薪は、それぞれに割った時の思い出もあるので(これ、結構覚えているものですよ。特になかなか割れなかった薪の場合は)、より深い満足感を得られます。

もし、こうした作業をするスペースがあり、薪割りをする気力体力があるようでしたら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。


4.支障木の処理

最後に、これはどこでもできるわけではありませんが、支障木の処理という方法があります。

これは、川が増水したときに水の流れを妨げるおそれがあるとして、河川敷に生えている木を切り倒すものです。

筆者の住んでいる山形県の場合、県や国交省がこうした支障木の処理を業者に頼んで行っていて、それをタダで貰うことができる場合があります。量が限られていたり、手間がかかったりしますが、タダに勝るものはありません(笑)。

さらに一歩進んで、この支障木を自分で切り倒してくれる人を募集している場合もあります。先日、地元の新聞で山形県は業者ではなく一般市民が支障木を処理している面積が全国で1位という記事を読みました。それだけ薪ストーブユーザーが多く、また、作業できる人も多いということだと思います。行政にとってもタダで河川敷の管理ができるのは大きな魅力ですし。

しかし、筆者はこの方法はあまりおススメしません。

理由は、高さ10m以上になったような木を切り倒すことは、素人には危険が大きすぎると考えるからです。

木を切り倒すのは大変です。切り倒す方向、順番など様々なことを勘案しないといけません。木が曲がっていた場合、曲がりのテンションがかかっている方を切ってしまうと、木がはねます。割り箸を折るときにパキッとなって曲がったところが折れますよね。あれです。これが直径30cm級の木で起きてしまうと、簡単に大けがをする危険性があります(これで亡くなっている人もいます)。

また、切り倒した木が隣の木によりかかってしまい切り倒せなかったり、じゃあそのよりかかられた木を切り倒そうとしたら、さらにその隣の木が邪魔になったり・・・とうまくいかない場合も多くあります。

なにより、幹の部分はいい薪になりますが、それだけではなく、きちんと枝も処理しないといけません。

薪ストーブを使うと、メインの太薪に火が回る前に小枝を使って徐々に火を大きくするので、枝は非常に重宝するのですが、いかんせん、処理に時間と手間がかかります。

一度やってみてください。1本の木の枝を処理するだけで、結構うんざりします。しかも、支障木の処理は一定の面積の木をすべて処理しないといけないので、最低でも10本~20本の木を切り倒す必要がありますので、枝の処理だけで10日とかかかるかもしれません。

以上、様々な方法がある薪の調達方法。

あなたは、どの方法で薪を集めますか?


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月28日月曜日

薪ストーブのメリットとデメリット6 薪の値段は高い?

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第6弾。

今回のお題は、薪の値段は高いのか?安いのか?です。

目次
1.薪の値段を語る前に
2.薪の単位
3.薪の使用量
4.薪は高いのか安いのか?


1.薪の値段を語る前に

値段が高いか安いか。
これは、薪に限らずどんなものでもそうですが、その感じ方は「人による」としか言いようがありません。

年収1億円の人は安いと感じるかもしれませんし、年収500万の人は高いと感じるかもしれません。年収に関係なく、薪ストーブに価値を見出している人にとっては安いかもしれませんし、年収が10億円あったとしても薪ストーブに興味がない人にとって見れば、高いかもしれません。

なので、ここで言えることは事実のみです。それを高いと感じるか、安いと感じるかは皆さん次第です。


2.薪の単位

さて、薪の値段を言う前に、まず、薪はどのような単位で販売されているかをご説明します。通常、薪の販売で良く使われる単位は「棚」と「束」です。

このほかに、薪10kgとか20kgとか、重さで販売されているところもありますが、こちらはイメージが付きやすいと思いますので、棚と束について説明します。

このうち、束は70cmの針金で縛った薪の量です。針金で作った円の直径は22cmになります。山形をはじめ、秋に芋煮会をする東北地方では、ホームセンターやスーパーで販売している薪の量がちょうど一束くらいです。

薪の長さや業者さんにもよりますが、大体1束で500円前後で販売されています。

一方、棚は各地で量が違うことがあります。一般的なのは幅1.8m、高さ1.5mの空間に並べた薪の量です。薪の長さは色々ですが、30cmから45cmのものが主流です。

こちらは、筆者が薪ストーブを使い始めた10年前は、30cmの薪で1棚1万5000円でした。税別の所もあれば、税込のところもありました。

しかし、年々薪の価格は高騰していまして、現在では、1万8000円~2万円が相場になっています。


3.薪の使用量

価格がわかったといっても、「じゃあ、冬の間どのくらい使うの?」となりますよね。

薪の使用量については、どのくらいの時間使うかや、使用する期間、使っている薪ストーブの大きさ、家の断熱性能、家の大きさによって大きく異なるので、一概には言えません。

ただ、これから薪ストーブを導入しようと考えている方向けに、筆者の自宅の使用量をご説明します。ここを基準にご自身の自宅や生活スタイルから使用量をシミュレーションしてみてください。

筆者の自宅は、10年以上前に新築で建てまして、生活空間の建坪は40坪です。家の断熱性能は、2008年の竣工で断熱材はグラスウール16k。Q値はきちんと計算できていませんが、大体1.9くらいです。

このうち、ほぼ物置と化している筆者の書斎を除く家中を一台の薪ストーブで暖めています。34坪、68畳分の広さです。さらに、リビングダイニングは勾配天井になっていて、最も高いところは4.6mあります。かなりの大空間です。

このため、真冬日になる日も多い1月下旬から2月にかけては、薪ストーブは常に全力で働いています。

また、使用時間も朝6時に着火、最後に給薪するのは夜の11時~12時ごろです。昔は寝る直前にも朝暖かいようにと薪を入れてから寝ていたのですが、さすがに使用量が半端ないので最近は自粛しています。

使用する期間は、10月中旬から4月下旬まで。約6か月間です。

室温はストーブの置いてあるリビングで大体24度。リビングから最も遠い寝室で18度くらいです。これが、朝起きたときにはリビングで16度~18度、寝室で10度から12度くらいになっています。

こうした条件で朝から晩まで薪ストーブを使用していて、最初の頃は1シーズンに15棚くらい使っていました。それがだんだん薪の効率的な燃やし方や、一度暖めた部屋の温度を保つ方法などを学んできて、現在は12棚くらいです。

なお、我が家で使用している薪は35cmです。

今年から、妻が日中働きに出るようになったので(午前中のみのパート)、午前中燃やさなかった場合の量については、今シーズン終わってからご報告します。



4.薪は高いのか安いのか?

1シーズンに使用している薪の価格は、例えば12棚で現在の相場の平均1万9000円で計算すると、22万8000円です。
6か月間使うので、月の平均を出すと月3万8000円になります。

とはいえ、筆者は薪のほとんどを自分で作っているので、ほとんど出費はありません。


この価格、高いでしょうか?安いでしょうか?
たぶん、1日18時間エアコンで全館暖房した場合、電気代はもっとかかかもしれません。また、石油ストーブを使用して家中を同じ条件で暖めた場合、灯油の使用量は1シーズン2000Lくらいでしょうか。今の灯油の価格なら薪の方が高いかもしれません。

また、筆者は薪ストーブだけを使用していますが、薪ストーブと石油ストーブの併用、エアコンとの併用で薪の使用量を減らすことは十分に可能です。

平均的なサラリーマンである筆者の給料では、1シーズンに使う薪をすべて買ったとすると、薪は高いです。自分で作っているから何とかやれていますが・・・。ただ、他の暖房と比べて「割高ではない」と感じています。

皆さんはどう感じるでしょうか。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月21日月曜日

薪ストーブのメリットとデメリット5

薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第5弾。

今回は、上手な薪の燃やし方についてです。

目次。
1.案外きちんと薪が燃えていない家が多い。
2.薪の燃焼について知ろう。
3.空気の通り道を意識しよう。
4.効率的な燃焼がトラブルを未然に防ぐ。


1.案外きちんと薪が燃えていない家が多い。

上手な薪の燃やし方を知る前に、まずは、自宅の薪の燃やし方が良いか悪いかを知りましょう。筆者はこれまで薪ストーブを使用しているお宅を数多く見てきましたが、薪ストーブ歴20年とかいう超ベテランの方でも、きちんと薪が燃えていない家は結構あってびっくりします。

今現在も薪ストーブを使っているという方はもちろん、薪ストーブを導入したいと考えていて、現在検討中の方も是非薪の上手な燃やし方を一緒に学んでいきましょう。

さて、現在薪ストーブを使っている方で、薪の燃やし方が上手なのか下手なのかを知る方法は簡単です。

ガラスが全くなく、全方位鋳物でできている30年以上前の古い薪ストーブならいざ知らず、現代の薪ストーブには炎を見るための耐熱ガラスがついています。きちんとしたメーカーの純正品(10万円以上の薪ストーブ)はもちろん、ホームセンターで1万~3万円くらいで売っている、二次燃焼機能がついていないストーブでもついています。

このガラスが真っ黒になっていて、炎がなかなか見えないという方、アウトです。さらに、1日使っただけでガラスが真っ黒になるという方は、煙突から出る可燃性ガスの臭いで近所の方とトラブルになる可能性が非常に高くなりますし、煙道火災の危険性も極めて高くなりますので、ぜひ注意してください。



2.薪の燃焼について知ろう。

では、どのように燃やしたら、薪はきちんと燃えてくれるのでしょうか。それをマスターするためには、まず薪が燃える仕組み、薪の燃焼について知る必要があります。

前回と一部重複しますが、薪は熱が加わるとまず薪の中の水分が蒸発します。乾燥が十分でない薪は、この時点でシューシューと音がします。さらに熱が加えられると、薪の中から可燃性ガスが噴出してきます。大量の煙が出るのはこの段階です。

新しい薪を入れた後、5分くらいした時に薪をよく見てください。薪の断面からガスバーナーのように、炎が噴き出しているところが見つけられるはずです。

この可燃性ガスは、非常に臭いです。山形弁?で「いぶ臭い」とも言いますが、何とも言えない臭いがします。キャンプファイヤーの炎を水をかけて消した後の臭いとか、火事の現場でよく嗅ぐ臭いです。

その後、水分や可燃性ガスが抜けたあとの薪は次第に燠になっていきます。いわゆる炭の状態ですね。この段階になると煙突からほとんど煙は出ません。最も効率よく燃えているのがこの状態です。


3.空気の通り道を意識しよう。

では、どのようにして燃やせばうまく燠ができて効率よく燃焼できるのでしょうか。下記に我が家の着火~安定燃焼までの流れを記します。

まず、着火ですが、我が家はベスタ―という着火剤を使っています。新聞紙を使っていた時代もあったのですが、こちらの方が灰が煙突から飛ぶこともないですし、何より安価です。これを2~3センチにちぎってケチケチと使っています。

この上に木端を置きます。よく使うのは薪を割った時に出る木端です。さらにその上に剪定した枝を長さをそろえて切っておいたものを5本~10本ほど並べます。この本数は、次に置く薪の太さが細ければ少なく、太ければ多くです。

その上に置く薪はバッテンで置くのが重要なポイントです。直角にクロスさせて置きます。それも手前側にハの字のすそ広がりが来るようにして、奥の方4分の1の長さのあたりで薪がクロスするように置きます。さらに、それぞれにクロスするように、ストーブの中が薪でいっぱいになってもう置けない・・・というまでひたすら薪を詰め込みます。

最初に組み上げる段階で、ここまでたくさん薪を入れない人がたくさんいます。太薪を2本くらいしか入れないとか。この場合、最初の太薪がきちんと燃焼してくれません。なぜか。それは、炉内の温度が上がらないからです。たくさんの薪を入れると、早い段階から炉内の温度が高温になります。そうすると、可燃性ガスにきちんと火が付きます。ボーボー燃えている状態ですね。可燃性ガスは、可燃性とか言うくせに温度が低いと全然燃えてくれません。一定以上の温度が必要となります。

燃えないガスはどうなるかというと、煙突から外に逃げてしまいます。せっかく薪を燃料に炎という形で熱を取り出そうとしているのに、温度が低いせいで逃がすのは勿体ないです。さらに、このガスは臭いので、うまく燃えないまま煙突から出し続けると、ご近所さんの心象に非常に悪くなります。外で洗濯物乾かしていたら、洗濯物に確実に臭いが移りますしね。

さて、薪をクロスさせて置いていくのは、空気の通り道を作るためです。火は酸素が足りないと燃えてくれません。同じ向きに薪を並べてしまうと、薪と薪の間を空気が通らなくなってしまうので、うまく燃えません。そのためにクロスにして空気の通り道を確保してあげます。


4.効率的な燃焼がトラブルを未然に防ぐ。

最初に炉内にたくさんの薪を置くこと、それもそれぞれをクロスさせるように並べることが、効率的な燃焼の第一のポイントです。着火直後は必ず煙が出ます。煙には可燃性ガスが含まれるので臭いがします。

メーカー品の薪ストーブについている二次燃焼機能や触媒は、この煙を二次燃焼によって再度燃焼させて効率よく熱を生み出すと共に、煙を出さないことを目的につけられています。

しかし、そうした機能は「炉内が高温」にならないと本来の性能を発揮できません。炉内が高温になるには、最初にたくさんの薪を燃やす必要があります。

こうした燃やし方をすることで、正面のガラスはいつもきれいなままに保たれますし、ご近所さんとのトラブルも未然に防げます。

ちなみに、我が家のガラスは1シーズン一度も拭かなくても大丈夫です。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月19日土曜日

薪ストーブのメリットデメリット(4)薪の燃焼について

薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第4弾。

今回は、薪の乾燥についてです。


目次
1.良い薪とは
2.薪の乾燥具合とは
2.なぜ薪が乾燥していないといけないの?
4.まとめ

1.良い薪とは

薪ストーブの燃料は言わずと知れた薪です。薪が燃えることで発生する熱を使って部屋を暖めます。ただし、薪には良い薪と悪い薪があります。ここが、石油ストーブやエアコン暖房との大きな違いです。だって、石油ストーブで使う灯油や、電力会社から送られてくる電気に、品質がいいとか悪いとかあります?

そりゃ、厳密には灯油には精製の具合であったり、電気も電圧が安定するしない・・・といった違いがあるかもしれませんが、基本的に今の日本で暮らしている限り、その品質のブレは考えなくておいいいものです。全国どこに行っても同じ品質のものが買えますし、それを前提に僕たちの生活は成り立っています。

しかし、薪には明らかな品質の違いがあります。この違いには、①木の種類による違いと②乾燥による違いがあります。

①の木の種類による違いについて詳細に説明すると、本が一冊書けるくらいかかるので、別の機会にご説明するとして、今回は薪の乾燥具合による品質の違いについてです。


2.薪の乾燥具合とは

一般に、含水率が20%を切る薪が良い薪とされています。
含水率とは、読んで字のごとし、薪の中に含まれている水分の量のことです。

含水率は、正確に測るならば、含水率計という機械を使う必要があります。金属の針を薪に軽く刺して薪の水分を測る機械なのですが、これも品質はピンキリで、3000円台のものから数万円するものもあります。

筆者は、3000円台の含水率計を持っていますが、あまり役に立っていません。
だって、いちいち測るの面倒なんだもん。

含水率計を持っていない、もしくは筆者と同じで測るのが面倒という人も、心配しなくて大丈夫です。含水率20%を切るような良質の薪かどうか、簡単な見分け方がありますから。

それは、給薪の時に確認できます。

ストーブの中で燠ができて、そろそろ次の薪を足さないといけないな・・・というタイミングで、薪をストーブの中に入れ、10秒以内に薪に火が付いたらその薪はOKです。
きっと含水率も20%を切っているでしょう。

20秒かかったら何とかギリギリ合格点です。本来なら来シーズン使った方がいい薪ですが、なかなかそんなに大量の薪を準備できないですよね。このくらい乾燥していれば、まずは快適な薪ストーブライフが送れると思います。

40秒以上かからないと火がつかない。もしくは、窓を薄く開けて強烈に中に空気を入れないと火がつかない薪。これはダメな薪です。薪ストーブで燃やすには乾燥が足りていません。この段階の薪だと、割ってから2か月とか3か月くらいだと思います。もし、薪業者から買った薪が火がつくまで2分以上かかるようなら、文句を言っていいレベルです。

部屋が暖かくならないだけでなく、煙突にタールが付着する、煙がくさい等、様々な不具合が発生します。


3.なぜ薪が乾燥していないといけないの?

では、なぜ薪は乾燥していないといけないのでしょうか。

薪の燃焼の仕組みについては次回以降に詳しく説明しますが、まず、わかりやすいのは、
薪が燃えるには薪の中にある水分が蒸発する必要があるということです。

濡れた紙にはそのままでは火がつかないですよね。紙が乾いてから火が付きます。薪も一緒です。薪の中にある水分がなくなってから初めて火が付きます。

このため、薪の中の水分が多い(含水率が高い)薪の場合、薪に火がつくまで多くの時間と熱エネルギーを薪の水分を蒸発させるのに使われます。液体→気体の状態変化には多くの熱エネルギーが消費されますので、その分、薪が燃えて部屋を暖めるはずだったエネルギーが無駄に使われてしまうことになります。

合わせて、薪が燃えると煙が出ますが、きちんと燃焼しないとこの煙の中に、燃焼しきれなかった可燃性ガスやタール分などが入ってしまいます。可燃性ガスは、いぶくさい臭いがしますし、タールは煙突の中に付着して煙道火災の原因になります。

煙道火災は、軽いものなら煙突の中が燃えるだけですが、ひどくなると本当の火事につながります。何より、消防に通報されたら(もしくは自分で119番通報したら)、多くの消防車が来て大騒ぎになりますから、次から薪ストーブを使うことは世間体的に厳しくなりますよね。絶対にやらないように注意しないといけません。


4.まとめ

快適な薪ストーブライフを送るためには、一にも二にも乾燥した薪を使う必要があります。木の種類による差はそれに比べたら小さい話です。

含水率20%を切るような乾燥した薪を作るには、2年は乾燥させないといけないと一般的には言われています。

でも、毎年薪は業者から買っている人や、薪棚に限りがあるので、2年分の薪を確保しておくのは難しいケースも多いと思います。

さらには、いい薪を使っているのに、うまく燃やすことができずにいる家庭も少なくありません。

このため、次回は上手な薪の燃やし方について解説します。


ここまでお読みいただきありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月17日木曜日

薪ストーブのメリットデメリット(3)薪ストーブで部屋を暖めるのは時間がかかる?

薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第3弾。

今回は、薪ストーブで部屋を暖めるのは時間がかかるか?です。

結論から言いますと、めちゃくちゃ時間がかかります。


目次

1.薪ストーブで部屋を暖める仕組み
2.部屋を暖め始めるまでの時間
3.対流が生まれて部屋の空気が暖まる
4.まとめ:どういう使い方がいいか


1.薪ストーブで部屋を暖める仕組み

初めに薪ストーブで部屋を暖める仕組みについて述べてみます。

薪ストーブは、その名の通り、薪を燃やした熱を使って部屋を暖めます。なので、まずは何よりも先に薪に火をつける必要があります。

しかし、部屋を暖めるのに十分な太さの薪というのは、最初からすぐには火がつきません。最初は、木っ端と呼ばれる細い枝や割りばし等に火をつけて、その火が少し太い枝に燃え移り、さらに太薪に燃え移って・・・と段階を踏む必要があります。

そのため、まずは火をつける前に、炉内(薪ストーブの中)にキャンプファイヤーで使う櫓のように、火が燃え移っていくように木をくみ上げなければなりません。

慣れてくれば2、3分でできるのですが、この作業、特に初心者は時間がかかりますし、うまくいくとも限りません。

5分くらいかかって組み上げたところに火をつけてみたものの、2分後には消えてしまう。その後、もう一度やり直してみたけれどまたつかなくて・・・なんて経験をした方は、私だけではないはずです。

また、小さな炎がだんだんと育っていって、太薪に燃え移っていったとしても、その段階ではまだ部屋は全く暖まりません。

我が家は、勾配天井で最高点の高さが4.6mあるリビング16畳、ダイニング6畳、キッチン6畳の計28畳が最低単位になるのですが(普段はこのほかに、隣接する和室6畳と子供部屋×2の計12畳、さらに廊下、8畳、階段など計60畳ほどを一台の薪ストーブで暖めています)、この時点では、部屋の中の温度計はピクリともしません。。


2.部屋を暖め始めるまでの時間

太薪に火が付き、天板(ストーブの上の部分をこう言います)の温度が300度くらいになって初めてるのに部屋の中が少しずつ暖まり始めます。ストーブがいわゆる巡航運転に入ったタイミングです。ここまで早くて15分、通常なら20分、調子が悪いと30分かかります。最初に枝や薪をくみ上げる時間を考慮に入れれば、最短でも20分くらいはかかる計算です。

ストーブが部屋を暖め始めるまでに、最低20分―。
部屋が暖まるまでではありませんよ。部屋を暖め始めるまでにかかる時間が最低20分です。

これがエアコンや石油ストーブだと、スイッチを入れて2分くらいで最高出力で部屋を暖めてくれますよね。巡航スピードに至るまで30分かかかるなんてことはありません。筆者が学生の頃に住んでいた六畳のアパートの部屋は、20分もあればある程度暖かくなっていました。この点が薪ストーブの大きく不便なところです。

薪ストーブ愛好者にとっては、この不便さこそが魅力の一つでもあるのですが・・・。

とはいえ、年末年始の帰省から帰ってきた我が家の室温はたいてい5度~6度くらいです。火をつけて1時間たってもそれが7度~8度にしかならないので、さすがにその時は、薪ストーブだけではやっていられず、最初の1時間くらいはエアコン暖房を全力でかけています(汗)。


3.対流が生まれて部屋の空気が暖まる

さて、何度も言いますが、上記の時間は部屋の中が暖まり始めるまでの時間です。

このころから、ストーブの近くの空気が暖められて部屋の中に対流が生まれます。暖められた空気は上に行くので、最初はリビングの天井付近が暖まります。筆者の家では天井の一番高いところが4m以上あるので、床付近は全く暖まりません。

このために活躍するのがシーリングファンです。吹き抜けのある家によく見かけるシーリングファン。使い方のセオリーは、夏は下向きにして冬は上向きにするというものですが、筆者の家では真逆の使い方をしています。

リビングの天井付近にたまった暖かい空気を強制的に下に降ろして、床付近の冷たい空気と混ぜ合わせないと、とてもじゃないけれど部屋の中が暖まらないからです。

こうして対流が生まれた空気が徐々に部屋を暖め始めます。

帰省から帰って5度だった室温は、薪ストーブだけで暖めた場合、1時間を経過すると大体8度くらいにはなってくれます(泣)。まだまだ寒いです。


4.まとめ:どういう使い方がいいか

結局、室温が一般的な18度まで暖まるのにどのくらいかかるのか―。

我が家の場合ですと大体4時間くらいはかかります。もちろん、天井の高さや部屋の広さにもよりますが、4時間が1時間になることはありません。

一度暖まれば冷えにくい薪ストーブ。それは逆を言えば、「一度冷えると暖まりにくい」ことでもあります。

このため、薪ストーブを一人暮らしの方の家で、メインの暖房として使うのはおススメしません。エアコンや石油ストーブとの併用をお勧めします。
忙しくてほとんど家にいない―というご家庭も同様です。週末の楽しみにするのがいいかもしれません。

逆に、一日のうち、半分くらいの時間、家族の誰かが家にいる―という家の場合は、薪ストーブが大活躍します。1日24時間のうち、火を焚いている時間が長ければ長いほど、
薪ストーブのメリットが生かせますし、短ければ短いほど、短所が際立ってきます。


でも、一日中焚いているんだけど、薪ストーブで部屋暖かくならないよ―というお話をよく耳にします。

次回はそのあたり、薪の上手な燃焼方法についてお伝えします。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月13日日曜日

薪ストーブのメリットデメリット(2)薪ストーブって一日どのくらい使うと暖かいの?

薪ストーブのメリットとデメリットについて語るシリーズ②


雪深い山形で薪ストーブを使い始め、11シーズン目に突入したcloudです。

前回は薪ストーブの暖かさについて、暖かいことを忘れる暖かさと表現しました。
ただし、その暖かさを享受できるのは、一日最低10時間はストーブを焚いている場合と書きました。

今回の記事では、では、日中仕事に出ていて家にいない家庭で、果たして薪ストーブにメリットがあるかどうかについて、僕なりの考えを述べていきたいと思います。


最初に、一日どのくらいの時間、薪ストーブを使っているか。それをシミュレーションしたいと思います。
薪ストーブを入れたいから家をリフォームするとか、新築を考える小中高、学生はいないと思いますので、まずは、大人の方を対象にします。

一人暮らしの方もいると思いますが、夫婦と子どもなどご家族で使用するケースが多いと思いますので(一人暮らしの生活パターンはこちらに含まれると想定)、最も家に人がいない夫婦共働きのケースを想定します。

なお、専業主婦(主夫)の方が家にいる場合は、日中在宅しているので、前回述べた薪ストーブの暖かさは100%享受できます。今回は、朝と夜しか家に人がいない家庭をモデルケースとします。


前置きが長くなりました。
家で薪ストーブを使う時間がどのくらいあるかは、どのくらい自宅の中で活動しているか、その総時間数によって変動します。

これは想定でしかないのですが、夫婦どちらかが朝起きて、子どもがいれば子どもを学校に送りだし、いなければ夫婦二人が出社するまで、1時間~2時間が平均だと思います。

次に、夜帰宅して寝るまで、家の中で活動する時間は、おおよそ5時間~6時間はあるのではないでしょうか。夕方5時に帰宅し、夕食~入浴~団らん~就寝が夜11時として6時間。少し遅く、7時くらいに帰宅して11時就寝とすると4時間。

上記のケースですと、①最少が朝1時間、夜4時間の計5時間。
②最長が朝2時間の夜6時間で計8時間。

私のこれまでの10年を超える経験から言えば、①のケースですと薪ストーブだけで過ごすのは厳しいです。エアコン暖房や、石油ストーブとの併用をお勧めします。

一方、②のケースでは、多くの場合、薪ストーブ1台だけで冬を過ごすことは十分可能だと思います。


では、なぜ②の場合は薪ストーブ1台で暖かいのか―。それを検証します。

朝起きて、薪ストーブユーザーは最初にストーブに火を入れます。準備に約5分かかります。この5分を捻出できない方は、最初から薪ストーブはあきらめてください。エアコンならスイッチを押す1秒で暖かい風が出てきますから。薪ストーブは不便です。でもその不便さこそが魅力なのです。

火が付いたら朝食の準備など、朝の活動が始まるわけですが、大体最初の30分~1時間以内に追加の薪をくべます。そして、火をつけてから2時間後、家を出るときにもう2本くらい薪を追加して家を出ます。この薪が燃え尽きるまで、約2時間かかります。
そうすると、朝の時点で4時間薪ストーブを使っていた計算になります。

夕方、5時に帰宅すると、家の中はほんのり暖かいはずです。過去17年以内に建てられた家なら、真冬の山形でも室温が12度を下回ることは、ほぼないはずです。

その状況で夕方薪ストーブに再度点火します。これは夜寝るまで使うわけですが、6時間も使っていれば、当初12度だった室温は22度以上になっていると思います(我が家は時々26度以上になっています)。そして、寝る前に最後に薪をくべて寝れば、燃え尽きるまでに夜は8時間薪ストーブを使っている計算になります。朝と合わせれば12時間です。

こうした使い方をしていれば、朝起きたときの外気温がたとえ氷点下5度を下回っていたとしても、室温は12度以上をキープしていると思いますし(控えめに書いているだけで我が家では朝の室温が15度を下回ることは年に1、2回しかありません)、そうすると夜帰宅した時も暖かい状況からスタートできます。

特に冬の間、日中暖かい日差しが降り注ぐ関東や東北でも太平洋側なら、夕方までほとんど室温が下がらないと思います。


ここまで書いてきましたが、薪ストーブではなく、エアコン暖房や石油ストーブを使ってきた方ですと、朝家を出るときにたとえ20度以上あっても、夕方には10度以下に室温が下がってるよー。と言いたい方もたくさんいらっしゃると思います。
私も、アパート暮しだった独身時代、夜家に帰ってファンヒーターのスイッチを押すと室温が5度とか6度になっていることがザラでした。冷蔵庫の中の方が暖かいんじゃないかと思ったことも何度もあります。

なので、次回はこのあたり、何で薪ストーブを使っている家の室温は下がらないのか。
その点について書いていきたいと思います。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月8日火曜日

薪ストーブのメリットデメリット(1)薪ストーブって暖かいの?

薪ストーブ。


ゆらめく炎とエアコンとは質の違う暖かさ。

家を新築するとき、または、リフォームするときに自宅に薪ストーブを導入したいと考える方が多いと思います。

一方で、薪の調達方法はどうする?本当に暖かいの?費用はどのくらいかかるの?外出するときに火がついたままで危なくないの?などと疑問や不安に思い、色々と調べている方もたくさんいるのではないでしょうか。

このブログでは、薪ストーブ歴11年の筆者が、これまでの薪ストーブライフを元に、薪ストーブ導入のメリット、デメリット、苦労や楽しさについて赤裸々に語っていきます。

これから薪ストーブを導入しようという人、また、設置したけれど上手に使えていない人にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

記念すべき第一回目の今回は、薪ストーブは本当に暖かいの?です。


結論から言いますと薪ストーブは暖かいです。

よくエアコンや石油ヒーターとは違う暖かさがあると言われていますが、どういうこと?と思われている方も多いと思います。どういう暖かさか?

それは、暖かいことに気づかない暖かさ。言い換えれば、外が寒いことを忘れる暖かさです。

何だかそれこそどういうこと?と言われてしまいそうですが、実際薪ストーブユーザーなら共感できるのではないでしょうか。

我が家では、夜寝る前の室温は大体24度くらいになっています。これは、山形だと5月半ば、もしくは9月下旬の最高気温と同じです。上着を脱いでYシャツ一枚でちょうどいい気温。

この季節に外にいて、皆さん、暖かいって実感していますか?
何かの暖房器具で暖められている・・・この場合は太陽に暖めらえているとか感じますか?意識していないですよね。

そういう気温だから、そういう季節だから、自然とそういう服装になりますよね。
それは、どこに行ってもその気温だからです。

我が家では、冬になると家の中の扉という扉はすべて開け放ちます。家中を1台の薪ストーブで暖めています。家中が暖かいので、外に出るときにびっくりします。あれ、きょうってこんなに寒かったんだって。

エアコンや石油ヒーターは、部屋を暖めているな・・・って感じる暖かさですが、薪ストーブは薪ストーブで部屋を暖めているとは感じない。それくらい家の「空気」だけでなく、「床」や「壁」、「天井」、すべてが暖かくなる。そういう暖かさがあります。

ただ、こうした暖かさを享受するには、一つ、大きな条件があります。

それは、一日中薪ストーブを焚いていること。

少なくとも10時間くらいは薪ストーブを連続して使っていないと、こういう暖かさにはなりません。

いやいや、日中は仕事に出てるからそんなに長い間連続して薪ストーブ使っていられないよ・・・。という方も多いですよね。

次回は、そのあたり、生活リズムに合った薪ストーブの使い方をした場合に、どのくらい暖かいのか―について書いていきます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


人生、曇り時々晴れがいい。