2019年2月1日金曜日

薪ストーブのメリットとデメリット7 薪の種類

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第7弾。

今回は薪の種類についてです。

灯油を使う石油ストーブや、電気を使うエアコンは基本的に品質に差がありませんが、薪は木の種類によって大きく異なります。針葉樹は燃やしてはいけない、ナラの木が薪として最高・・・など、様々な情報がありますが、本当のところはどうなのか?をお伝えします。

1.広葉樹と針葉樹
2.売っている薪はどっち?
3.針葉樹を燃やしても大丈夫?
4.これだけはやめましょう


1.広葉樹と針葉樹

薪の種類の前に、木の種類について。大きな分け方としては広葉樹と針葉樹の二つがあります。

広葉樹とは読んで字のごとく、葉っぱが広い木です。針葉樹は葉っぱが針のような木です。なんのこと?と言われるかもしれませんが、葉っぱが広い木の代表は桜やナラ、ブナ、ケヤキなどで、春に新しい葉っぱができて、秋に紅葉し、その後落葉します(落ち葉になります)。街路樹や公園の木に使われることが多いです。

針葉樹の代表的なものには、マツやスギがあります。針のようにとがった葉っぱをしていて、一年中葉っぱがあります。冬でも葉っぱがついている木が簡単にいうと針葉樹です。
街路樹というより、主に建材として使われることがあります。杉板の壁とか、米松の床とか聞いたことがあるかもしれません。

この針葉樹と広葉樹、木としては別にどちらかが優れているわけではありませんが、薪としては明確な差があります。

結論から言うと、多くの人がご存知の通り広葉樹は薪に適していて、針葉樹は薪に向きません。


2.売っている薪はどっち?

うちの薪はどっちなんだろう?と思われた方、もし自宅の薪が業者から買ったものなら、その薪は100%広葉樹です。安心してください。まあ、お金をもらっているのに、針葉樹の薪なんか置いていった日にはクレームきますしね。

逆に、原木を玉切りして自分で薪を作った場合はこの限りではありません。木肌を見ただけで木の種類がわかる方なら問題ありませんが、何の木かわからないけれど薪にしているというケースもあると思います。

そんな時は薪を持ってみると大体わかります。もし、二の腕くらいの太さの薪を持った際に、ずっしりきたら広葉樹。軽くて2、3本持てるようなら針葉樹です。

また、建築会社にお知り合いがいて、建材の端材を貰えることもあると思います。こうした端材はほとんどが針葉樹になります。

あ、山形の人の場合、芋煮用の薪として秋に店頭に並んでいるのは、全て針葉樹です。

このように、針葉樹は色々なところで手に入るので重宝するのですが、ネットの記事や薪ストーブの本を読んでいると、「針葉樹は燃やしてはいけない」みたいなことが多く書かれています。また、薪ストーブの専門店でも「薪は広葉樹を燃やしましょう」などと指導されることが多くあります。


3.針葉樹を燃やしても大丈夫?

では、針葉樹は燃やしていけないのでしょうか?

いいえ、大丈夫です。

針葉樹を燃やすことには意見があるので、筆者の言うことが100%正解とは言いませんが、少なくとも10年以上、針葉樹の薪も気にすることなくガンガン燃やしていますが、うちの薪ストーブには一切不具合はありません。

ではなぜ、針葉樹は薪ストーブに適していないと言われるのでしょうか?

それは、広葉樹に比べて針葉樹は成長が早く、木の中の密度が低いので燃えやすく、ストーブの中が高温になりすぎることがあるためです。高温になりすぎると、薪ストーブ内部の部材に不具合が出ることがあります。

クリーンバーン方式のストーブの場合はバッフル板というのがあるのですが、これが歪んでしまったり、内部の耐火煉瓦が痛んだり。

また、針葉樹はタールが出やすい(煤が出やすい)傾向にあるので、煙突が詰まったり、それが燃えて煙道火災が起きたりする可能性があります。

こうしたことから、針葉樹は使わないようにしましょうという指導というかアドバイスが多いです。

あ、あと薪の火持ちも悪いです。

でも、燃やし方が悪ければ広葉樹だけを燃やしても煙突は詰まります。先日、筆者の知人で薪ストーブを使っている人が、バーモントキャスティングのアンコールというストーブを使っているのに1シーズンに1,2回は煙突掃除をしていると聞いてびっくりしました。通常、こうした数十万円するストーブの場合、煙突も内部の直径が18センチ以上あり、適切に使用していたら煙突が詰まることはありません。筆者の家は2年に1回の煙突掃除でも十分です。

また、内部が高温になりすぎるという点も対策は色々あります。簡単なのは、広葉樹と混ぜて使うことです。スターターとして火をつけた際に最初に針葉樹を使うことで早く炉内を暖めることができますので、その後広葉樹の薪に移行すれば部屋を暖めるのは早くなります。

他にも、針葉樹は灰が少ないので、灰の掃除をあまりやらなくて済むというメリットもあります。


4.これだけはやめましょう

針葉樹と広葉樹、筆者はどちらを燃やしても大丈夫と考えていますが、これだけはやめた方がいいということがあります。

それは、集成材を燃やすことです。

集成材とは、複数の木を接着剤を使って圧着させることで、強度と太さを出している木で、建材として多く使われています。公民館など公共の施設で、内部に30センチを超えるような太い柱があった場合はほとんどが集成材です。

こうした木を燃やすと、本来なら燃やしてはいけない接着剤も燃やすことになります。焼却施設で高温で処理するならいざ知らず、家庭の薪ストーブで燃焼するくらいの温度では、有害な物質が煙突から出てしまう危険性もあります。

同様にペンキなどで表面に色が塗られているような木もやめましょう。


今回は、針葉樹と広葉樹の違いについて書いてきましたが、ここまで読んだ方で「面倒くさい」と感じた人も多いと思います。薪ストーブの導入を検討している人で、こうした面倒くさを「面白い」と感じるなら薪ストーブを使っても大丈夫ですが、面倒と感じるならエアコンや石油ストーブを使った方がいいかもしれません。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

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