薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第5弾。
今回は、上手な薪の燃やし方についてです。
目次。
1.案外きちんと薪が燃えていない家が多い。
2.薪の燃焼について知ろう。
3.空気の通り道を意識しよう。
4.効率的な燃焼がトラブルを未然に防ぐ。
1.案外きちんと薪が燃えていない家が多い。
上手な薪の燃やし方を知る前に、まずは、自宅の薪の燃やし方が良いか悪いかを知りましょう。筆者はこれまで薪ストーブを使用しているお宅を数多く見てきましたが、薪ストーブ歴20年とかいう超ベテランの方でも、きちんと薪が燃えていない家は結構あってびっくりします。
今現在も薪ストーブを使っているという方はもちろん、薪ストーブを導入したいと考えていて、現在検討中の方も是非薪の上手な燃やし方を一緒に学んでいきましょう。
さて、現在薪ストーブを使っている方で、薪の燃やし方が上手なのか下手なのかを知る方法は簡単です。
ガラスが全くなく、全方位鋳物でできている30年以上前の古い薪ストーブならいざ知らず、現代の薪ストーブには炎を見るための耐熱ガラスがついています。きちんとしたメーカーの純正品(10万円以上の薪ストーブ)はもちろん、ホームセンターで1万~3万円くらいで売っている、二次燃焼機能がついていないストーブでもついています。
このガラスが真っ黒になっていて、炎がなかなか見えないという方、アウトです。さらに、1日使っただけでガラスが真っ黒になるという方は、煙突から出る可燃性ガスの臭いで近所の方とトラブルになる可能性が非常に高くなりますし、煙道火災の危険性も極めて高くなりますので、ぜひ注意してください。
2.薪の燃焼について知ろう。
では、どのように燃やしたら、薪はきちんと燃えてくれるのでしょうか。それをマスターするためには、まず薪が燃える仕組み、薪の燃焼について知る必要があります。
前回と一部重複しますが、薪は熱が加わるとまず薪の中の水分が蒸発します。乾燥が十分でない薪は、この時点でシューシューと音がします。さらに熱が加えられると、薪の中から可燃性ガスが噴出してきます。大量の煙が出るのはこの段階です。
新しい薪を入れた後、5分くらいした時に薪をよく見てください。薪の断面からガスバーナーのように、炎が噴き出しているところが見つけられるはずです。
この可燃性ガスは、非常に臭いです。山形弁?で「いぶ臭い」とも言いますが、何とも言えない臭いがします。キャンプファイヤーの炎を水をかけて消した後の臭いとか、火事の現場でよく嗅ぐ臭いです。
その後、水分や可燃性ガスが抜けたあとの薪は次第に燠になっていきます。いわゆる炭の状態ですね。この段階になると煙突からほとんど煙は出ません。最も効率よく燃えているのがこの状態です。
3.空気の通り道を意識しよう。
では、どのようにして燃やせばうまく燠ができて効率よく燃焼できるのでしょうか。下記に我が家の着火~安定燃焼までの流れを記します。
まず、着火ですが、我が家はベスタ―という着火剤を使っています。新聞紙を使っていた時代もあったのですが、こちらの方が灰が煙突から飛ぶこともないですし、何より安価です。これを2~3センチにちぎってケチケチと使っています。
この上に木端を置きます。よく使うのは薪を割った時に出る木端です。さらにその上に剪定した枝を長さをそろえて切っておいたものを5本~10本ほど並べます。この本数は、次に置く薪の太さが細ければ少なく、太ければ多くです。
その上に置く薪はバッテンで置くのが重要なポイントです。直角にクロスさせて置きます。それも手前側にハの字のすそ広がりが来るようにして、奥の方4分の1の長さのあたりで薪がクロスするように置きます。さらに、それぞれにクロスするように、ストーブの中が薪でいっぱいになってもう置けない・・・というまでひたすら薪を詰め込みます。
最初に組み上げる段階で、ここまでたくさん薪を入れない人がたくさんいます。太薪を2本くらいしか入れないとか。この場合、最初の太薪がきちんと燃焼してくれません。なぜか。それは、炉内の温度が上がらないからです。たくさんの薪を入れると、早い段階から炉内の温度が高温になります。そうすると、可燃性ガスにきちんと火が付きます。ボーボー燃えている状態ですね。可燃性ガスは、可燃性とか言うくせに温度が低いと全然燃えてくれません。一定以上の温度が必要となります。
燃えないガスはどうなるかというと、煙突から外に逃げてしまいます。せっかく薪を燃料に炎という形で熱を取り出そうとしているのに、温度が低いせいで逃がすのは勿体ないです。さらに、このガスは臭いので、うまく燃えないまま煙突から出し続けると、ご近所さんの心象に非常に悪くなります。外で洗濯物乾かしていたら、洗濯物に確実に臭いが移りますしね。
さて、薪をクロスさせて置いていくのは、空気の通り道を作るためです。火は酸素が足りないと燃えてくれません。同じ向きに薪を並べてしまうと、薪と薪の間を空気が通らなくなってしまうので、うまく燃えません。そのためにクロスにして空気の通り道を確保してあげます。
4.効率的な燃焼がトラブルを未然に防ぐ。
最初に炉内にたくさんの薪を置くこと、それもそれぞれをクロスさせるように並べることが、効率的な燃焼の第一のポイントです。着火直後は必ず煙が出ます。煙には可燃性ガスが含まれるので臭いがします。
メーカー品の薪ストーブについている二次燃焼機能や触媒は、この煙を二次燃焼によって再度燃焼させて効率よく熱を生み出すと共に、煙を出さないことを目的につけられています。
しかし、そうした機能は「炉内が高温」にならないと本来の性能を発揮できません。炉内が高温になるには、最初にたくさんの薪を燃やす必要があります。
こうした燃やし方をすることで、正面のガラスはいつもきれいなままに保たれますし、ご近所さんとのトラブルも未然に防げます。
ちなみに、我が家のガラスは1シーズン一度も拭かなくても大丈夫です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
人生、曇り時々晴れがいい。
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