初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑭
前回までのあらすじ―。
ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
バイクパートに移行し、50kmまでは順調な滑り出し。しかし、その後の長い上りに心が折れそうになりながらも登り切った。しかし、距離はまだ半分残っている。
あと200mで下り―。
その声に鼓舞され、力を振り絞る。・・・しかしこれ、今思うと振り絞る力が残っていたということだ。その直前まではいつ足を止めて歩くかを考えていたというのに、現金なもので、間もなく終わりと聞くと頑張れる。要は気持ちの持ちようで頑張れるときとがんばれないときがあるということ。
これは、仕事や人生の色々なところでも出てくることだと思う。終わらない仕事やタスクの数々。毛できないと思ったことでも、何かのきっかけでもっと頑張れるようになる。
別に精神論を言いたいわけではなく、結局のところ、モチベーションを上げる「仕組み」をどう自分の中で作るかということなんだと思う。自分の力で、自分の心でモチベーションを上げていくのは難しい。けれど、例えば友人に「○○○○」をやると宣言することで、「途中で挫折すると恥ずかしい」という状況を作る。これも、一つモチベーションを上げる方法だといえる。こういうことを一つ一つ積み重ねていくことが、様々な壁を乗り越える力になるんだと思う。
この時も、確かに壁を一つ越えたと実感できる瞬間だった。残りの200mを走り切り、下りに入る。それまで、下手をすると時速10kmを下回るようなスピードで走っていたのと違い、40km以上にスピードが上がると、風を受けて気持ちがいい上に、汗が乾き体温が下がる。
そうすると、それまでぼんやりしていた頭がすっきりしてきて、色々なことに目が向けられるようになる。まず、アベレージスピードが上りに入る前は、28kmほどだったのが、22km前後に落ちている。これは下りが続けば回復できるはずだけれど、結構ペースが落ちていた。
また、残りの距離が約半分。70kmほど残っている。補給のリズムがずれているので、次の補給時間から立て直しが必要だ。それと、下りながら回している足に少しずつ力が戻ってきた感じがする。疲れから一気に足が止まった50km過ぎの落ち込みから、脂肪燃焼+補給した糖質の消費エネルギーで体を動かすサイクルがうまく回り始めたことが要因だろう。ここが一つの壁を乗り越えたということだ。
思ったよりも短い下りが終わり、小さいアップダウンが続く。水はボトルに入っていない。水分補給ができないのが痛いが、スピードが出ている分、暑さをあまり感じなくなっていて我慢できる。
そうして走ること15分あまり。ようやく、ようやくエイドステーションが見えてきた。
ここでは、これまでのような軽い補給ではなく、一度しっかりと立て直すことにする。
まず、カラカラに乾いていたのどを潤す。渡されたボトルのふたを開けてまずはコーラを一気飲み。さらにスポーツドリンクを一本飲んだ。
ぷは~~~!生き返る!!
飲んだ瞬間全身から汗が噴き出してくる。もう体中の毛穴という毛穴が開きまくっているので、汗の出方が半端ない。レース中にもらえるボトルを水で満タンにすると、持参してきたボトルには、クエン酸入りのドリンクの粉末を溶かす。これ、本当は1リットルの水に溶かすものなんだけど、600mlのボトルに入れて濃いめのドリンクにする。もう一本の水と一緒に使えばちょうどいいだろう。
また、エイドステーションに置いてあった、レモンに塩をつけてほおばる。これが不思議なもので、いつもならレモンにかじりつくなんて酸っぱくてできないのに、全然酸っぱくない。八朔とか、ちょっと酸っぱい柑橘系の果物を食べているくらいにしか感じない。
やはり、体が必要なものを欲しているということなんだろうか。
最後に頭に氷水を賭けてもらう。全身にかけてもらってもいいんだけど、バイクシューズが濡れると足の裏の皮がふやけてしまい、ランで豆ができるのを避けるために全身は濡らさないように気を付けていた。
補給のジェル、そして会場にあったスイカがうまい。こちらもいくつかほおばり、バナナをほおばったら、お腹がタプタプになった。大丈夫か?
何はともあれ、このエイドステーションでしっかりと補給できた。バイクパート後半、ここから正念場だ。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
人生、曇り時々晴れがいい。
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