2019年1月29日火曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉒

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉒



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
人生初の熱中症を体験したラン。約1時間をロスしたものの、ようやく回復したが、今度はアンクルバンドが無いことに気づいて・・・。



アンクルバンドが無い―。

これまで、数多くのトライアスロンの大会に出ていて、こんな経験は初めてだ。

何でなくなっていたのか・・・。どこにいったのか・・・。

真っ白になった頭で考える。考える。考える・・・。


・・・あれだ!

バイクからランへのトランジットの時、足首に巻いたキネシオテープ。このテーピングのために、一時アンクルバンドを外した。

たぶんその時、テープの紙と一緒にまとめてトランジッションバッグに入れてしまったんだろう。皆生大会では、トランジットのタイムを測るためのランスタート地点での計測点が無かったことも、走り出した時に気づけなかった理由だ。

しかし、トライアスロンはすべてが自己責任。悪いのは自分だ。

ではどうしよう。

真っ白になった頭で、とりあえず足だけは動かしたまま考える。取りに戻るのはどうか。
いや、すでに10km来ている。これから10km戻ってトランジットまで行き、さらに今走っているところまで再び走りなおすと20km。そこからさらに32km。

残り時間4時間半で?どう考えても無理な相談だ。

となると失格はやむを得ない。悔しいけれど、本当に悔しいけれど、ゴールしてもタイムは出ない。でもこのまま走ってゴールまで行くことはできる。

しかし、大会運営をする人たちにとっては、アンクルバンドは計測器でもあり、下手したらGPSで選手の現在位置を確認しながら、選手の安全を守ろうとしている道具。そうした努力を払って大会を続けている以上、まったく伝えないで走り続けるわけにはいかない。

そのため、次のエイドステーションでマーシャルを探して事情を説明した。さすがにマーシャルの方もびっくり。そんな人見たことないとか・・・。ですよね~。自分でも信じられないもん。

本部に確認を取るということで、しばし待つ。

その後伝えられた返答はその場で失格。その後のレース続行は認めないというもの。やはりというべきか、安全確認ができない状況で走らせるわけにはいかないということか。

このまま、ここで回収のバスを待つように言われるが、この日は最終的に36度の猛暑日になっていた日。DNFの選手が多く、救急車で搬送された人や回収された人が後を絶たず、バスが来るまで2時間くらいかかるという。

2時間も何もしないで待っている気になれず・・・。歩いて戻ってもいいか確認すると、それは大丈夫という話。しかし、レースは終わっているので、ゼッケンは外してほしいと言われた。

当然のことなので、その場でゼッケンを外し、10km先のメイン会場までとぼとぼと歩き始めた。

胸にこみ上げるのは、「何でこんなことになったんだ」という疑問と後悔。あの時、ちゃんとアンクルバンドをつけていれば。きちんと忘れ物チェックをしてから走り出せていていれば。

これまで、ゴールを目指して走ってきた道。ランの折り返しを過ぎれば、ゴールへと続くはずだった道。

そこを、スタート地点に向って進む自分がいる。なんだかんだで10万ものお金をかけて、1000kmも車を走らせて、ようやく来た皆生。時間と金をかけ、仕事を調整し、ようやく参加にこぎつけた初ロング。それが何の結果も出せない結果になった・・・。

これだけの無力感と挫折は、しばらく味わっていなかった。

悶々と考えながら進んでいたら、今度は曲がるべきところをまっすぐ行ってしまい、道を間違えた。携帯もないし、当然地図も持っていない。しかも初めての街。

お客様の見送りに出ていたディーラーの販売員の方に道を聞いて、ようやく、ずっとまっすぐに走っていたと思ったコースが、途中で曲がり角があったことを思い出す。それだけ頭が朦朧としていたことだ。

スタート地点が近づくにつれ、続々とゴールを果たして戻ってくる選手たちとすれ違う。
どの選手の表情も晴れやかだ。一日かけて猛暑の中走り抜けた自分に誇りを感じているようないい顔をしている。

本当は自分もそういう顔をしたかった。

次第に日が傾き始めた午後6時半すぎ。ようやくメイン会場のスタート地点にたどり着いた。バッグの中身をひっくり返してみると、出てきた。アンクルバンドだ。これを忘れてしまったために途中失格―。

たった2か月の準備で初めて挑んだロングの大会。準備不足は承知の上で参加した大会は、ゴールに値する努力を払っていなかったという現実を示される大会だった。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

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