2019年1月3日木曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑩

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑩


午前7時。
スイムスタートの時間。

スタート地点には900人の選手たちが並ぶ。これまで出てきたオリンピックディスタンスのレースでは、多くても400人程度だったので、これだけの人数が一斉に泳ぎ出すのは初めての経験。

正直、壮観だった。主催者のコールに合わせて皆が一斉に鬨の声を上げる。主催者からは現在の気温が28度。この日は35度以上に上がる予報なので、熱中症に気を付けるようにと言われるが、あとで気象庁の記録を見たらアメダス観測点での気温は26.8度だった。どうやら、会場は観測地点より2度ほど高い模様。

レースでは、前の方はバトルがきついと聞いていたのでで、後方に待機する。だが、この作戦は良い面も悪い面もあった。

元々、オリンピックディスタンスの1500mですら40分くらいかかる泳力しかない。50mを1分20秒(25mを40秒)で泳ぐペースだ。実はひそかにスイムでの足切りを恐れていたくらい。そして、このレベルの泳力で大会に出る人はほとんどいなかった。

後方からスタートすると、最初の5分ほどは若干のバトルがあるものの、すぐに誰とも接触しなくなった。おかしい、900人が泳いでいるはずなのに、何があった?
ヘッドアップして回りを見回すと、周りには選手がほとんどいなかった。

おいて行かれたのだ。

そもそも、回りとバトルできるほどの泳力が無かったのだ。バトルは回りと同じくらいの泳力があって初めてできる・・・というか起きてしまうもの。泳力が低い人が後ろからスタートすれば、だれともバトることなく一人ぼっちになるに決まっている。

それは、自分のペースで泳ぐことができる反面、前の選手について行って、スリップストリームに乗ることができないことを意味する。
多くの人が泳ぐことでできる流れに乗れれば、自分の力以上のペースで泳ぐことができる。それを狙っていたのに。

結局、3kmのスイムの間中、自分一人の力だけで泳ぐことになった。

皆生大会に限らず、ロングの大会に出ようと考えている方、スイムで他の選手とバトルする(=流れに乗ってスピードアップする)には、50mを1分10秒(25mを35秒以内)の泳力が最低でも必要だったみたい。

上記ペースの僕ですら、プールで200m×5本とか練習すると、50mを1分5秒くらいでは泳いでいる(200mを4分20秒くらい)。ということは、プールでは50m1分以内で200m以上泳ぎ続ける泳力が必要になるようだ。50mを1分だと、1500mは30分。プールで30分前後で1500mを泳げる人以上の人たちしかいないのがロングの大会なのか―。

なんてことを考えながら泳いでいたら、右側にコースロープが見えてきた。おかしい。
皆生大会のコースは、最初の200mほどを沖に向かって泳いだ後は、左に転回。そのまま中間地点で一度上がるまで、砂浜に平行に泳ぐ。折り返した後は、コースロープの外側を戻ってくるカタチだ。


コースロープは、砂浜側の進路左側と、復路との境となる進路右側の二本が平行に張られていて、コースの幅は100m近くある。本来、左側のコースロープ近くを泳ぐのが最短距離を行くセオリー。右側を行くということは、陸上のトラックでいえばオープンレーンで8レーンばかり走っているのと同じ、距離のロスがあるということだ。

実は、泳力のほかにもう一つ、僕には弱点がある。それは、ヘッドアップが苦手ということだ。これ、皆さん練習してますよね。きっと。僕も練習はしているのですが、どうしても苦手で、うまくできない。というかペースが崩れるのでやりたくない。さらに言うと、息継ぎが右側でしかできない―。

ちーん。というSE(サウンドエフェクト)が聞こえてきそうなほど、詰んでいる状態。ホント、良くこれでロングに出ようなんて思ったもので・・・。

オリンピックディスタンスのレースだと、コース幅がそこまで広くなく、また、内側のコースロープが右側にあることが多いので(そういうコースのレースばかり出ていたということもある)、早々にコースロープに張り付き、コースロープに沿って最短距離を泳いでいた。多少のバトルがあっても、そこまで人が多いわけではないので致命的なことにもならなかった。

だが、今回はコース幅がかなり広い。また、往路で右側のコースロープ付近を泳ごうとすると、ショートカットを警戒してなのか、マーシャルの方から注意され、内側を泳ぐように促される。そのたびに、進路左側に泳いでいくが、今度は左側のコースロープまで斜めに泳いでしまい、今度は右に進路を切って・・・。

結局ジグザグに泳いでしまい、本来の距離より何百メートルか長く泳いでようやく、ようやく中間地点にまでたどり着いた。

一度砂浜に上がった時点で7時47分。気温は上がり、水温も高い。このペースならば足切り前にスイムアップは可能だが、後ろを見ると3、4人しか泳いでいなかった。

しかし、後半はコースロープが進路右側に来る。しかも、それが最短距離だ。後半はヘッドアップを一度もしなくてもゴールまで行ける。ペースアップもできるだろう。

レース冒頭からいきなりきつい状況になったが、希望が無いわけじゃない。何より今日の目標はゴールまでたどり着くこと。どんなにかっこ悪くても、どんなに無様でもいいからこの体をゴールまで持っていく。

希望を持ってスイム後半に挑んだのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。



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