薪ストーブのメリットとデメリットについて語るシリーズ③
薪ストーブ歴10年以上の筆者が、薪ストーブのメリットとデメリットについて赤裸々に語るシリーズ。3回目の今回は、薪ストーブで暖めた部屋は冷えにくいか?です。
結論から言います。ズバリ、「冷えにくい」です。
なぜかー。
薪ストーブがどのように部屋を暖めるかは、様々な本や雑誌で書かれているので詳しくご存じの方も多いと思いますが、第一の特徴は高温になったストーブ本体からの「輻射熱」で温める点。
第二がその輻射熱で暖められた空気が循環すること―つまり「対流」です。こちらは、暖かい空気が上に上がり、冷たい空気が下に下がることから自然に発生しますが、シーリングファンやサーキュレーターなどを使って人工的に起こすこともします。
エアコン暖房や石油ファンヒーターなどは、この対流によってのみ部屋を暖めます。エアコンは本体の中で作った暖かい空気をファンで送りだすことで、ファンヒーターは、灯油を燃やした熱で暖めた空気をファンで送り出すことで部屋を暖めます。
反射式の石油ストーブや、昔ながらのダルマストーブは、薪ストーブと同じように輻射熱で部屋を暖めますので、原理としては同じです。でもこれらのストーブと薪ストーブでは大きな違いがあります。
それは、「火力」です。
我が家を10年に渡り温め続けているストーブは、モルソーの1620クリーンバーンです。こちらは、大型、中型、小型の3種類に分けた場合、大型の中で一番小さいくらいのサイズですが、それでも、石油ファンヒーター4台~5台分くらいの火力があります。
薪ストーブ1台で家中が暖まるというのは、別に薪ストーブが石油ストーブに比べて高性能だからではなく、純粋に薪を燃やすことによって生まれる熱量が段違いに大きいことが理由です。
それでは、薪ストーブで暖められた部屋はなぜ冷えにくいのでしょうか?
その秘密は、薪ストーブから発せられる輻射熱です。
輻射熱・・・と言われても「何だかよくわからない」という方も多いと思います。簡単に言いますと、炎の近くに手をかざすと暖かいですよね。近すぎるとあちち!ってなりますよね。それです。
火が(火に限らず物体が)直接出す熱が、何かを媒介することなく伝わる熱のことを輻射熱といいます。科学的には赤外線と呼ばれるものです。
よく遠赤外線という言葉が使われますが、これは正確な科学用語とは違った意味で使われているようですが、イメージとしてはその遠赤外線です。
この赤外線は、熱源との間に空気があろうがなかろうが伝わってきます。太陽の熱が地球を暖めているのは、まさにこの輻射熱が届いているからです。
薪ストーブは、ストーブの中で薪が燃えた際に生まれる熱がストーブを暖め、高温になったストーブから発せられる輻射熱が部屋を暖めます。
しかし、薪ストーブが暖めているのは空気だけではありません。空気のほかに、部屋の壁や天井、柱など、家の構造材自体も温めているのです。ストーブの近くの床は、床暖房を入れているかのようにあたたかくなり、はだしでも気持ちいいくらいです。
「ストーブと距離が離れているのに暖まるの?」という疑問もあるかと思います。私自身も科学的に証明するほどの知識はありませんが・・・実感としては確実に暖まります。ストーブ近くの壁や柱は熱くなりますし、リビングの反対側にある壁も冷たさを感じません。
これが、石油ストーブやエアコン暖房との大きな違いです。
もちろん、エアコン暖房で温められた部屋でも、暖かくなった部屋の空気に触れることで壁や柱も暖まるのですが、それはあくまで表面が暖まっているだけです。表面的には暖まっても、芯の部分は冷たいままです。
これが、暖房を消した際に室温が下がる原因になります。冷たい壁や天井、柱で囲まれた部屋の中の空気を無理やり温めているので、熱源となるエアコンや石油ストーブが消えると冷えてしまうのです。
一方、薪ストーブで温められた部屋は、部屋の空気と一緒に壁や天井も一緒に暖まっています。このため、室温が下がりにくいのです。
ここまでお読みいただいた方は、「やっぱり薪ストーブユーザーだから薪ストーブのいいことしか書かないんじゃないか」と思われたかもしれません。
確かに部屋が冷えにくいというのも薪ストーブの大きな魅力の一つですが、薪ストーブは決して万能ではありません。石油ストーブやエアコンと比べて大きく劣っているところがあります。
その一つが「部屋が暖まるまで時間がかかる」ことです。
一度暖まってしまえば冷えにくいのですが、例えば年末年始に帰省して3日ほど家をあけて帰宅した時。冷え切った部屋を薪ストーブだけで暖めるのには、とんでもなく時間がかかります。
次回はそのあたり、部屋を暖めるのに必要な時間についてお伝えします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
人生、曇り時々晴れがいい。
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