2019年1月23日水曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑲

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑲



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
予定の1時間遅れでバイクフィニッシュするも、残り6時間余り。最後のランパートが始まった。


皆生大会のトランジットには、タイム計測のチェックポイントが無い。このため、バイクのタイムは、バイクを終えてトランジットに入ったタイミングで計測。トランジットも含め、ゴールまでの時間がランパートのタイムとなる。

このため、トランジットを抜けてランコースに入る時には、何もチェックされず。ただ、トランジットを抜けたところには、ランコース最初のエイドステーションがあった。

これは助かる!バイクパートの最後をほとんど給水できず、さらに10分以上トランジットでランの準備をしてしまった。30分ほどは水分摂取ができていない時間帯が発生したことになる。

ここではボトルではなく、プラスチックのカップに飲み物が入っている。コーラとスポーツドリンクを一気飲みする。さらに水を頭にかけて、塩をつけたレモンをほおばる。1つ。2つ・・・。

しかし、皆が塩レモンを食べているため、塩が濡れて固まってしまい、ほとんど取れない。それを見かねたボランティアの方が、新たに塩を追加してくれた。これをたっぷりとってレモンと一緒に最後に一つを口に運んだ。

後から考えると、これがいけなかった・・・。

エイドステーションを抜けて走り出す。あれ、体が軽い。

実際には8時間以上経過しているので疲れているんだけれど、思っていたより体が軽い。

通常、バイクパートからランパートに移ると、自分の体じゃないみたいに重く感じるもので、その感覚をなくすためにもクロストレーニングをしているんだけど、本当に軽かった。

たぶん、トランジットに時間がかかっていたので多少なりとも疲れが取れたこと、また、キネシオテープを貼りまくった効果が出ていたんだと思う。

これならいけるんじゃない?すごく前向きな気持ちになりながらも、慎重に慎重にと言い聞かせ、とりあえず最初の1kmはキロ7分で通過。海岸沿いから町場の方に曲がって大通りに向う。2km通過もキロ7分ペース。

特につらくない。これならいけそう。徐々にペースを上げていこうと思ったその時、それは突然来た―。


急に気持ちが悪くなる。吐き気がする。何より喉が渇いた。

なんでだ?ついさっき飲んだばっかりじゃないか。

しかし、心臓の音が急に大きく聞こえるようになる。早鐘のようにバクバクバクバクと言っている。とてもじゃないけど走っていられない。

なんだ?なんだ?なんだ?

急激な体の変化にパニックになる。さっき抜いて行った女性ランナーから抜き返される。
それでも体に力が入らない。

真っ白になった頭で最初に思い浮かんだのが、熱中症。

自分は今まで熱中症になった経験がないので、話に聞いた情報しかないが、どうやら間違いなさそう。とにかく喉が渇いた―。

交差点に立っているボランティアの方に次のエイドはどこにあるかを聞く。
あと1kmほど先だという。

遠い。

今の自分にとっては100m先でも遠いのに、1km。歩いたら10分以上かかる。
どうする?

でもここで座り込んでも何もできない。熱中症ならエイドで体を冷やさないと大変なことになるかもしれない。


仕方ない。とにかく歩く。一歩一歩足を進める。まさか、さっきまであれほど好調に進んでいたのに。ああ、とにかく喉が渇いた。


ひたすら、喉の渇きに耐え、バクバクいう心臓の音に不安を募らせながら歩いた。
今はタイムを気にする時ではない。何とかエイドステーションまでたどり着いて立て直さないといけない。

原因を考える―。考える・・・考える・・・塩だ。

ランパートに入った時に舐めた塩。レモンと一緒に大量に摂取してしまった塩。これが対内の塩分濃度を急激に狂わせたのに違いない。

それまで、バイクパートでは、大量の汗をかいて、その汗が走っているときの風で乾かされることで体温が下がっていた。そのため、36度を超える灼熱のレースでも熱中症にならずにすんでいた。

しかし、ランでは時速10kmも出るか出ないかのペースでしか走れない。そのため、熱の発散がうまくいかなくなった。

さらに、塩をなめすぎたため、体内の塩分濃度が上昇。当然体は均衡を保とうとして、体内の水分量の減少を抑えようとする。つまり、汗をかかなくなる。

良く、塩分の取りすぎはむくみにつながるという話を聞くと思う。これは、高くなった塩分濃度を何とか平準化しようと体が水分を貯めようとするからだ。

汗が出ない。さらに風に当たらない。こうした二つの原因から、体温が急激に上昇―。

その結果の熱中症症状だ。

この分析はほぼ正しいと思う。
レース後、循環器と高血圧を専門にしている医者の友人に、当時の状況と分析を伝えたところ、概ね同じ意見だった。

分析はできたが、対策は取れていない。

喉が乾いているということは、体内の水分量が足りていないということ。何か飲んで塩分濃度を下げ、汗が出るようにする。そして体温を下げる。

とにかく、体温を下げないことには何も始まらない。そのためには、エイドステーションに何とかしてたどり着かないと。

遠くにボランティアの人が何人か集まっているのが見えてきた。あれがエイドステーションか・・・。

見えているのになんだかよく見えない。まっすぐ歩いているはずなのに、進路右側にある家の壁にぶつかりそうになる。

あと200m。あと100m。

まさにふらふらの状態で、何とか何とか、エイドにたどり着いた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

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