2019年1月18日金曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑰

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑰



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
残り40kmは天国だと聞いていたバイクパート。しかし、いつまでたってもアップダウンが終わらない。しかしそれも残り15km。いよいよゴールが見えてきた―。



ついに市街地が見えるところまできた。ここからは本当にアップダウンがなくなる。だって、バイクパートのゴールは海だもの。しかも若干とはいえ下り基調なはず。ここまで時速23kmちょっとでしかないアベレージスピードを少しでも上げていきたい。

そう思って進んだのだけれど、ここで思わぬ敵が待っていた。「ホント、マジかよ!」って思わず叫んでしまったくらいの敵。それは・・・向かい風。

ロードバイクに乗っている人ならわかる、自転車の最大の敵。向かい風。アゲインストとか色々言い方はあるけれど、とにかく進もうとする正面からくる風。

これがあると無いとではスピードが全く違う。

たぶんこの時吹いていたのは、秒速1~2mくらいの弱い向かい風のはず。それでも、炎天下を125km走ってきた身には非常に応える。スピードは平地にも関わらず、そして結構頑張っているにも関わらず、時速25km~26km。

バイクの序盤、何だかペースが速いと思っていた原因が分かった。これだったんだ。行きは気づかないくらいの追い風。そのため、時速25km位で走っているイメージなのに時速28km位のアベレージスピードになっていた。その時恩恵を受けた分をここで支払う形か。

ここでようやく諦めた。

皆生のバイクパートで天国は来ない。劇的にペースが上がるようなおいしいところもない。

当たり前と言えば当たり前のこと。とにかく自分の力、それも、その一瞬頑張って絞り出すような火事場の馬鹿力ではなく、アベレージとしてその時に出すことができる最大の力が試される場所―。それが皆生なんだ。それが、ロングというレースなんだ。

それを、スタートから約7時間かかったこのタイミングでようやく悟ることができた。たぶんこの後のランも、決して楽になることや望外にうまくいくことなんかないんだ。

そう思って気持ちを立て直した。現時刻は午後3時ちょっと前。残る距離は10km。そうすると、3時20分ごろにバイクアップの計算。ランを6時間で行けば何とかゴールには行けるはず。

そのためには、これ以上無駄に踏ん張ってバイクで足を使いすぎないよう、時速25km出てれば良しとしてペースを維持。とにかくアベレージでエネルギーを消費していくようにする。

気温は相変わらず下がらない。さっきバケツの水を思いっきりかけられたけど、10分も立たないうちにバイクジャージは乾いてしまった。汗が滴ることもない。暑いことは暑いけれど、補給とのバランスは保てているので十分このままいける。

そう思って、最後にもらった大会のボトルから水を一口飲む。その時、何を思ったのか、歯で吸い口を咥えてキャップを開けて中身を見てしまった。なぜこんなことをしたのかわからないが、見たら、中に黒い斑点がたくさんある・・・。

なんだこれ!・・・・・・カビか???

大会運営の方ごめんなさい。たぶん大会用のボトルは1万本は用意されていて、中には若干古いものもあったんだと思います。その中の一つがうまいこと洗われていなかっただけだと思います。皆さんのあの献身的な大会運営にケチをつけるつもりは全くありませんが、確かにこのボトルの中には黒い斑点がたくさんありました。

それが何かを突き詰めることはありませんでしたが、このボトルの水はもう飲めなくなってしまいました・・・。

残る5km。水分補給をできるところはもうない。でもゴールまで10分くらい。もう一本の自分が持ってきた方のボトルは先に空になっていた。しょうがない。10分くらいは水を飲まなくても行けるだろうと諦める。

そしたら、突然左足の太ももに痙攣が来た。

別に何があったわけでもない。でもビクビクっと動いた。電解質が足りていないのか?急ぎ、塩飴を一つほおばり、ガリガリっと噛み砕いて飲み下す。

うわ、一気にのどが渇いた。

でも飲めないから我慢。後少しだ。

川沿いの道を過ぎ、市街地に入る。選手の誘導の為道路はけっこう渋滞。橋を渡り、最後の住宅街に。狭い道路。直角コーナーが続く。

そしてようやく。・・・ようやくバイクゴールにたどり着いた。

この時点で3時20分。

大丈夫、あと6時間ある―。絶対ゴールできるはず!!




ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

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