初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑯
前回までのあらすじ―。
ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
バイクパートでは、長い上りに心が折れそうになりながらもコース中の最高到達点をクリア。バイクの残りは40kmだ―。
ラスト40km。
ただ、この時点で想定していたタイムより、かなり遅れている。当初の予定では、スイム3kmを1時間半で上がる(これはクリア)。
バイクをアベレージスピードで25kmでクリア。計算上は5時間半くらい。なので、バイクパート終了時点で、7時間の想定。午前7時のスタートに対し、午後2時にはランに移っているはずだった。
それが、残り40kmの時点で4時間45分経過。このままだと、想定より1時間くらい遅くなってしまう。
午後2時にランに移行できていれば、ハーフを2時間くらいなので、サブ4は無理にしても5時間あればゴールできるかな・・・と思っていた。どんなに遅くても6時間あればゴールはできるはず。そうすると、午後8時ごろに余裕をもってゴールしている計算だ。それが今のペースでは6時間かかった場合は午後9時。猶予は30分しかない。
結構やばい。やばいけど、残り40kmは天国と聞いていた。きっと下り基調になるはずだ。確かにスタートから20km位はほぼ平地だったし、そうすると残りアップダウンが多いのは残り20km。ここもそれほどではないはず・・・。
色々と頭の中はタイムの計算というか、妄想というかが繰り広げられる。これ以上のペースの遅れは許されないかもしれない。いや実際にはこれでも余裕があるはずなのだから、そこまで心配しなくてもいいはず。とはいえ、最後のランは人生初のフルマラソン。本当に5時間で走り切れるのか―?
このころの気温は36度。天気は業界用語でいうところのピーカン。雲がほとんどない快晴―というと聞こえがいいけれど、要は典型的な猛暑日だ。
文部科学省(でしたっけ?)が「屋外での運動を原則禁止すべき」として、外で行う部活動などが規制される気温になっている。
けれど、不思議と暑さを感じていない。いや、正確に言うと暑さに慣れてしまって、苦しいとかがなくなってしまっている。
実はかなり危険な状態だったのかもしれないけれど、そういう感覚しかなかった。
これは、その頃になるとエイドステーションでの補給、30分毎の補給、さらにエイドステーションまでの時間を逆算してボトルの水を肩や首筋にかけての体温調整など、諸々の作業が完全にルーティン化したためだと思う。
エイドステーションでは、コーラのボトルを一気飲み。さらにスイカを2切れ、レモンに塩をつけたものを2切れ口にする。バナナなどの固形物は胃の負担を考え避ける。そして持ってきたボトルにはスポーツドリンクを補給(約600ml)。大会のボトルには水を入れ(約450ml)、こちらは口直しと体にかける用。あれば氷も入れてもらう。
30分毎の補給は、お腹の状態などは完全に無視して時間になったら機械的に行う。前日に買っておいた補給食はすべて使用。さらにもらった粉飴の小分け袋を飲み下す。
これがまずい。本当にまずい!なんでこんな味をしているんだと思うくらいまずい。
いや、粉飴を使うのが初めてで、なおかつきちんと使い方を呼んでいなかったのが悪いだけで、メーカーさんには何の落ち度もないんですけどね。大会終了後、ちゃんと説明書きを読んだら、これはボトルに入れて水に溶いて飲むものだったのね。それをジェル状の原液のまま飲んだら、そりゃまずいはず。
そうしたことを繰り返しながら、終盤のコースを走っていく。
しかし―。
最後の折り返しを過ぎても、天国は訪れなかった。
そう。それまでのアップダウンと同じく、ひたすら上り下りが続く。上りは前半から中盤ほどの力を出せず、時速10km前後のスピードに。それでも何人も選手を抜いていける。下りは時速50km位まで上がるが、60kmに届かない。その前に次の上りが来てしまう。
さらに、一時停止と赤信号がうまいタイミングで現れる。そんなに回数が多いわけではなく、実際には3回とか4回くらいしか止められていないんだけど、とにかくペースが乱されるのがつらい。そしてペースは依然上がらない。
100km時点でのアベレージは時速22.5km。それがようやく時速23kmを超えるくらいまでしか回復しない。25kmとはいかないまでも24km位になってもらわないと・・・と思うが、またも目の前に上りが来る。
もうこれが最後の上りのはず・・・。と思って上り切り、下りを走っているけれど次に平地は訪れずまたも上り。そして不思議なことに上りで前の選手を抜いていける。正直上りはかなり苦手意識があって(体重75kmなので・・・)、逆に下りが早いはずなのに、自分より10kg以上軽そうな人たちを次々と抜ける。
良く見ると上りで左右にフラフラしている。ペダルを踏むたびに体が右に左に揺れている。一方、自分の方はそういうことはなく、どっしりと淡々とペダルを回している。この違いが上りで抜ける理由かもしれない。
皆さん、上りはフォームの良しあしが最終的には大きな差になるかもしれません。
そんなことを考えながら、約1時間ひたすら上り下りを繰り返すと、ようやく人家というか建物が遠くに見えてきた。ようやくアップダウン区間が終わったのだ。
残り15km。今は山沿いにいてトランジットは海岸。もう下りしかない(はず)。最後に少しでもペースを上げてランにつなげたい。ボトルに補給を終え、ダンシングしながら最終のエイドステーションを後にした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
人生、曇り時々晴れがいい。
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