2019年1月25日金曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉑

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉑



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
人生初の熱中症を体験したラン。エイドステーションで20分以上休憩を取り、ようやくレースを再開した。


ようやく再開したラン。

しかし、最初は体がどうなるかわからないので、まずは歩いた。200mほど歩く。そこで少しだけジョギングしてみる。1、2、3、4・・・。歩数を数えながら。100mほど走ったらまた歩く。体がどう反応するのか、心拍に以上はないか。

そうしたペースで10分ほどかけて、1kmを進んだ。この時点では体調に変化はない。よくもならないけど、悪くもならない。

そこで、もう少し走る距離を長くしてみる。200m走って、100m歩くペースに変更。少しだけペースも上がって次の1kmを9分で通過する。

この時点でも特に変化はない。ゆっくりなら走っても大丈夫そうだ。

休んでいたエイドを出てから20分ほどたって、ようやくずっと走り続けることにする。
でも、急激にはペースは上げない。ゆっくり、ゆっくり。走っているといっても、歩いていない程度のペースで進んでいく。次の1kmを8分ほどで通過。

そして、次のエイドに到着した。

スポーツドリンクを飲み、スイカを食べる。レモンはほおばるが塩はつけない。期待はせずに「氷をもらえますか?」と聞いたら、なんとここのエイドには大量にあった。それをビニール袋にもらって、首の後ろを冷やす。強烈に冷たい。

約1分そこで首を冷やした後、その氷を背中に流し込む。アウターの上から補給食を入れたベルトをしているので、氷は背中で止まっている。背中側と言ってもお腹まわりを冷やすのにはためらいがあったが、少しでも氷を体に触れさせたい。

最後に頭に氷水をかけてもらう。これは・・・すごい。一気に目が覚めた気がした。

3分あまり過ごした後、再び走り出す。さっきまでとペースは変えず。1km8分のペース。ゆっくりゆっくり。次の1kmは自然とペースが上がって7分30秒で通過。さらに次の1kmを7分ペースで進んでいたところで、次のエイドに到着した。

まだまだ頭には霞がかかっているような感じがあるが、心臓がバクバクするようなことはない。たぶん、もう大丈夫なんだろう。

エイドでの補給の仕方をルーティン化するべく、スポーツドリンクを一杯一気飲みした後、スイカ、レモンをほおばる。1個だけ塩をつける。そして頭に氷水。

ここでは1分ほどですぐに走り出した。ここからの1kmは7分丁度のペース。これならゴールまで行けるはずだ。

3時半にランをスタートして具合が悪くなったのが3時50分ごろ。4時過ぎにエイドについて20分を浪費。4時半から再び走り始め、次のエイドに着いたのが午後5時。この時点で6kmちょっと。残り36km。次のエイドに着いたのは午後5時20分過ぎ。残り33km。当初よりは厳しくなったが、1km7分のペースを保てば十分ゴールできる。

とにかく1km7分のペースを守ろう。そう思いながら走っていると少しずつ、頭の中の霞が取れてきた。回りが見えるようになってくる。信号待ちがあり、歩道橋を上って降りて、進路右側の歩道を走っていたのが左側の歩道を走ることになり・・・。前からは折り返してきた選手がやってきてすれ違う。ボロボロの自分とは全く違うハイペースだ。来年はこんなペースで走りたいなと思いながら、お互いに「ガンバ!」と声をかける。

特にペースは上げていないが、徐々に回復したおかげで元々の想定ペースに近づいていく。次の1kmを6分40秒で通過。このままいけば、1km6分のペースに戻れるかもしれない。

前向きな気持ちになったこの時、ふと足元を見た。そこで・・・気づいてしまった。

「あるべきものが無い!」

そう、左足につけていたアンクルベルトが見当たらない。これが無いとゴールできない!

頭が真っ白になった・・・。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月24日木曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑳

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑳



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
順調な滑り出しを迎えたラン。しかし、スタートからたった2kmでレース中最大のトラブルが発生する。フラフラになりながら、ようやくエイドにたどり着いたが・・・。


ようやくエイドステーションにたどり着いた。すごいハイテンションのボランティアの女子高校生が、「私苗字一緒なんですよ!遠くから来たんですね!頑張って!」と話しかけてくれる。

どうやら、ゼッケンから選手の名前を調べ、一人ひとりに声をかけているみたい。とっても素敵な対応。そして、今思い出しても心が暖かくなる声だった。

・・・それなのに、その時の僕は同じテンションで返答できる余裕もなく「水、水、ください。それと氷。ごめん、具合悪くてお話できない・・・」とぼそぼそと返すだけだった。今思い出しても心が冷たくなる。

それでも、「はい、どうぞ!」と言ってお水を差しだしてくれ、さらに、「氷だって。みんな、氷どこにある?」とまわりに聞いてくれる。そして、その声を受けたほかの高校生たちも一斉に探してくれる。なんて素敵なボランティア、運営なんだ―。

しかし、残念なお知らせが。これまで訪れた多くの選手に配ったため、氷はもうないという。板氷で冷やしていた水もすでに氷が解けて若干冷たい程度だった。

仕方がないが、とりあえずできることをする。電解質の多いスポーツドリンクをプラスチックカップ2杯ほど一気飲み。これがいいかはわからないが、体は水分を求めていた。

そしてビニール袋に一番冷たい水を入れてもらい、エイドステーションの奥の日陰に。ここで座り込み、首の後ろにビニールに入った水を置いて体を冷やす。ついでにその水をいくつか垂らして体にかけた。

こんなくらいではまだ全然だが、今度は大人のボランティアの方が話しかけてくれた。症状を伝えるとやはり熱中症と判断したのか、同じように冷たい水をビニールに入れたものを二つ作ってくれた。これを両脇の下に挟んでしばらくじっとする。

まだまだ心臓のバクバクが止まらない。併せてこのままではゴールできないんじゃないかとの不安が大きくなる。どうしよう。どうしよう。体は動かないが内心はいてもたってもいられなかった。

そうしているうちに、男性のボランティアが氷を見つけたと言って持ってきてくれた。どこかの容器の底に少しだけ残っていたらしい。探してくれた気持ちがありがたい。

早速その氷をビニールに入れて両脇に挟む。先ほどまでの水とは全く違って冷たい。すごく冷たい。当たり前だけど・・・。

そうしてしばらく動かずにいた。5分ほどは何もできずにじっとする。すると少しだけ話ができるようには回復してきた。ボランティアの方と話をする。リタイアするか聞かれるが、もう少し回復させて何とか先に進みたいと告げる。

ボランティアの男性からは、残り2時間の段階で折り返しポイントを通過できないと回収されると伝えられる。今の時間は午後4時20分。午後7時までに17km先の折り返しポイントに行かないといけない。しかもその後はハーフのベストに近いペースで走らないとゴールにたどり着けない計算だ。

さすがにそれは無理なので、何とかもっと早く行けるか考える。まず思いつくのは、準備のために着込みすぎていたこと。上半身はインナー+腰サポーター+アウターを着ている。これでは放熱がうまくいかない。そのため、インナーは脱いで捨てることにした。

さらに5分氷をあててじっとする。

すると、またもう少し回復してきた。

着替えくらいはできる元気が出てきたので、インナーを脱いで走りだす準備をする。汗と水で濡れたおっさんの下着なんて汚くてごめんなさいと謝りながら、ごみ用のビニール袋に捨てさせてもらった。

1枚脱ぐとやはり涼しい。ここでさらに氷が追加された。またどこかから探してもらったみたい。本当に、本当にありがたい。

この氷を首の後ろに置いてさらに5分・・・。

ようやく、歩くことくらいならできるんじゃないかというくらいに回復してきたみたいだ。エイドステーションに来てから約20分が経過した。本当はもっと回復するまで休むべきなんだろうが、ゴールできないことが不安なので先に進むことにする。

途中で倒れることだけはできないので、自分の体の具合を確かめながら、決して無理をしないことに意識を集中させないといけない。

先ほどもらった氷は首の後ろに置いたまま、最後にスポーツドリンクを一杯飲み、さらに水を頭にかけてもらい、エイドステーションから一歩踏み出した。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月23日水曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑲

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑲



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
予定の1時間遅れでバイクフィニッシュするも、残り6時間余り。最後のランパートが始まった。


皆生大会のトランジットには、タイム計測のチェックポイントが無い。このため、バイクのタイムは、バイクを終えてトランジットに入ったタイミングで計測。トランジットも含め、ゴールまでの時間がランパートのタイムとなる。

このため、トランジットを抜けてランコースに入る時には、何もチェックされず。ただ、トランジットを抜けたところには、ランコース最初のエイドステーションがあった。

これは助かる!バイクパートの最後をほとんど給水できず、さらに10分以上トランジットでランの準備をしてしまった。30分ほどは水分摂取ができていない時間帯が発生したことになる。

ここではボトルではなく、プラスチックのカップに飲み物が入っている。コーラとスポーツドリンクを一気飲みする。さらに水を頭にかけて、塩をつけたレモンをほおばる。1つ。2つ・・・。

しかし、皆が塩レモンを食べているため、塩が濡れて固まってしまい、ほとんど取れない。それを見かねたボランティアの方が、新たに塩を追加してくれた。これをたっぷりとってレモンと一緒に最後に一つを口に運んだ。

後から考えると、これがいけなかった・・・。

エイドステーションを抜けて走り出す。あれ、体が軽い。

実際には8時間以上経過しているので疲れているんだけれど、思っていたより体が軽い。

通常、バイクパートからランパートに移ると、自分の体じゃないみたいに重く感じるもので、その感覚をなくすためにもクロストレーニングをしているんだけど、本当に軽かった。

たぶん、トランジットに時間がかかっていたので多少なりとも疲れが取れたこと、また、キネシオテープを貼りまくった効果が出ていたんだと思う。

これならいけるんじゃない?すごく前向きな気持ちになりながらも、慎重に慎重にと言い聞かせ、とりあえず最初の1kmはキロ7分で通過。海岸沿いから町場の方に曲がって大通りに向う。2km通過もキロ7分ペース。

特につらくない。これならいけそう。徐々にペースを上げていこうと思ったその時、それは突然来た―。


急に気持ちが悪くなる。吐き気がする。何より喉が渇いた。

なんでだ?ついさっき飲んだばっかりじゃないか。

しかし、心臓の音が急に大きく聞こえるようになる。早鐘のようにバクバクバクバクと言っている。とてもじゃないけど走っていられない。

なんだ?なんだ?なんだ?

急激な体の変化にパニックになる。さっき抜いて行った女性ランナーから抜き返される。
それでも体に力が入らない。

真っ白になった頭で最初に思い浮かんだのが、熱中症。

自分は今まで熱中症になった経験がないので、話に聞いた情報しかないが、どうやら間違いなさそう。とにかく喉が渇いた―。

交差点に立っているボランティアの方に次のエイドはどこにあるかを聞く。
あと1kmほど先だという。

遠い。

今の自分にとっては100m先でも遠いのに、1km。歩いたら10分以上かかる。
どうする?

でもここで座り込んでも何もできない。熱中症ならエイドで体を冷やさないと大変なことになるかもしれない。


仕方ない。とにかく歩く。一歩一歩足を進める。まさか、さっきまであれほど好調に進んでいたのに。ああ、とにかく喉が渇いた。


ひたすら、喉の渇きに耐え、バクバクいう心臓の音に不安を募らせながら歩いた。
今はタイムを気にする時ではない。何とかエイドステーションまでたどり着いて立て直さないといけない。

原因を考える―。考える・・・考える・・・塩だ。

ランパートに入った時に舐めた塩。レモンと一緒に大量に摂取してしまった塩。これが対内の塩分濃度を急激に狂わせたのに違いない。

それまで、バイクパートでは、大量の汗をかいて、その汗が走っているときの風で乾かされることで体温が下がっていた。そのため、36度を超える灼熱のレースでも熱中症にならずにすんでいた。

しかし、ランでは時速10kmも出るか出ないかのペースでしか走れない。そのため、熱の発散がうまくいかなくなった。

さらに、塩をなめすぎたため、体内の塩分濃度が上昇。当然体は均衡を保とうとして、体内の水分量の減少を抑えようとする。つまり、汗をかかなくなる。

良く、塩分の取りすぎはむくみにつながるという話を聞くと思う。これは、高くなった塩分濃度を何とか平準化しようと体が水分を貯めようとするからだ。

汗が出ない。さらに風に当たらない。こうした二つの原因から、体温が急激に上昇―。

その結果の熱中症症状だ。

この分析はほぼ正しいと思う。
レース後、循環器と高血圧を専門にしている医者の友人に、当時の状況と分析を伝えたところ、概ね同じ意見だった。

分析はできたが、対策は取れていない。

喉が乾いているということは、体内の水分量が足りていないということ。何か飲んで塩分濃度を下げ、汗が出るようにする。そして体温を下げる。

とにかく、体温を下げないことには何も始まらない。そのためには、エイドステーションに何とかしてたどり着かないと。

遠くにボランティアの人が何人か集まっているのが見えてきた。あれがエイドステーションか・・・。

見えているのになんだかよく見えない。まっすぐ歩いているはずなのに、進路右側にある家の壁にぶつかりそうになる。

あと200m。あと100m。

まさにふらふらの状態で、何とか何とか、エイドにたどり着いた。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月21日月曜日

薪ストーブのメリットとデメリット5

薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第5弾。

今回は、上手な薪の燃やし方についてです。

目次。
1.案外きちんと薪が燃えていない家が多い。
2.薪の燃焼について知ろう。
3.空気の通り道を意識しよう。
4.効率的な燃焼がトラブルを未然に防ぐ。


1.案外きちんと薪が燃えていない家が多い。

上手な薪の燃やし方を知る前に、まずは、自宅の薪の燃やし方が良いか悪いかを知りましょう。筆者はこれまで薪ストーブを使用しているお宅を数多く見てきましたが、薪ストーブ歴20年とかいう超ベテランの方でも、きちんと薪が燃えていない家は結構あってびっくりします。

今現在も薪ストーブを使っているという方はもちろん、薪ストーブを導入したいと考えていて、現在検討中の方も是非薪の上手な燃やし方を一緒に学んでいきましょう。

さて、現在薪ストーブを使っている方で、薪の燃やし方が上手なのか下手なのかを知る方法は簡単です。

ガラスが全くなく、全方位鋳物でできている30年以上前の古い薪ストーブならいざ知らず、現代の薪ストーブには炎を見るための耐熱ガラスがついています。きちんとしたメーカーの純正品(10万円以上の薪ストーブ)はもちろん、ホームセンターで1万~3万円くらいで売っている、二次燃焼機能がついていないストーブでもついています。

このガラスが真っ黒になっていて、炎がなかなか見えないという方、アウトです。さらに、1日使っただけでガラスが真っ黒になるという方は、煙突から出る可燃性ガスの臭いで近所の方とトラブルになる可能性が非常に高くなりますし、煙道火災の危険性も極めて高くなりますので、ぜひ注意してください。



2.薪の燃焼について知ろう。

では、どのように燃やしたら、薪はきちんと燃えてくれるのでしょうか。それをマスターするためには、まず薪が燃える仕組み、薪の燃焼について知る必要があります。

前回と一部重複しますが、薪は熱が加わるとまず薪の中の水分が蒸発します。乾燥が十分でない薪は、この時点でシューシューと音がします。さらに熱が加えられると、薪の中から可燃性ガスが噴出してきます。大量の煙が出るのはこの段階です。

新しい薪を入れた後、5分くらいした時に薪をよく見てください。薪の断面からガスバーナーのように、炎が噴き出しているところが見つけられるはずです。

この可燃性ガスは、非常に臭いです。山形弁?で「いぶ臭い」とも言いますが、何とも言えない臭いがします。キャンプファイヤーの炎を水をかけて消した後の臭いとか、火事の現場でよく嗅ぐ臭いです。

その後、水分や可燃性ガスが抜けたあとの薪は次第に燠になっていきます。いわゆる炭の状態ですね。この段階になると煙突からほとんど煙は出ません。最も効率よく燃えているのがこの状態です。


3.空気の通り道を意識しよう。

では、どのようにして燃やせばうまく燠ができて効率よく燃焼できるのでしょうか。下記に我が家の着火~安定燃焼までの流れを記します。

まず、着火ですが、我が家はベスタ―という着火剤を使っています。新聞紙を使っていた時代もあったのですが、こちらの方が灰が煙突から飛ぶこともないですし、何より安価です。これを2~3センチにちぎってケチケチと使っています。

この上に木端を置きます。よく使うのは薪を割った時に出る木端です。さらにその上に剪定した枝を長さをそろえて切っておいたものを5本~10本ほど並べます。この本数は、次に置く薪の太さが細ければ少なく、太ければ多くです。

その上に置く薪はバッテンで置くのが重要なポイントです。直角にクロスさせて置きます。それも手前側にハの字のすそ広がりが来るようにして、奥の方4分の1の長さのあたりで薪がクロスするように置きます。さらに、それぞれにクロスするように、ストーブの中が薪でいっぱいになってもう置けない・・・というまでひたすら薪を詰め込みます。

最初に組み上げる段階で、ここまでたくさん薪を入れない人がたくさんいます。太薪を2本くらいしか入れないとか。この場合、最初の太薪がきちんと燃焼してくれません。なぜか。それは、炉内の温度が上がらないからです。たくさんの薪を入れると、早い段階から炉内の温度が高温になります。そうすると、可燃性ガスにきちんと火が付きます。ボーボー燃えている状態ですね。可燃性ガスは、可燃性とか言うくせに温度が低いと全然燃えてくれません。一定以上の温度が必要となります。

燃えないガスはどうなるかというと、煙突から外に逃げてしまいます。せっかく薪を燃料に炎という形で熱を取り出そうとしているのに、温度が低いせいで逃がすのは勿体ないです。さらに、このガスは臭いので、うまく燃えないまま煙突から出し続けると、ご近所さんの心象に非常に悪くなります。外で洗濯物乾かしていたら、洗濯物に確実に臭いが移りますしね。

さて、薪をクロスさせて置いていくのは、空気の通り道を作るためです。火は酸素が足りないと燃えてくれません。同じ向きに薪を並べてしまうと、薪と薪の間を空気が通らなくなってしまうので、うまく燃えません。そのためにクロスにして空気の通り道を確保してあげます。


4.効率的な燃焼がトラブルを未然に防ぐ。

最初に炉内にたくさんの薪を置くこと、それもそれぞれをクロスさせるように並べることが、効率的な燃焼の第一のポイントです。着火直後は必ず煙が出ます。煙には可燃性ガスが含まれるので臭いがします。

メーカー品の薪ストーブについている二次燃焼機能や触媒は、この煙を二次燃焼によって再度燃焼させて効率よく熱を生み出すと共に、煙を出さないことを目的につけられています。

しかし、そうした機能は「炉内が高温」にならないと本来の性能を発揮できません。炉内が高温になるには、最初にたくさんの薪を燃やす必要があります。

こうした燃やし方をすることで、正面のガラスはいつもきれいなままに保たれますし、ご近所さんとのトラブルも未然に防げます。

ちなみに、我が家のガラスは1シーズン一度も拭かなくても大丈夫です。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月20日日曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑱

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑱



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
当初見込んでいたペースでは全然走れず、予定の1時間遅れでバイクフィニッシュした。しかも、遅れと暑さはトランジットで致命的なミスを誘発した―。


当初予定よりも1時間遅れでバイクフィニッシュ。それでもバイクでは結構順位を上げていた。スイムを上がった時点では、後ろに20人くらいしかいなかったが、バイクパートで100人以上を抜くことができ、700位台まで到達(低レベルの話だけど・・・)。

広いトランジットエリアながら、迷うことなく自分のバイクラックを見つけることができた。バイクをラックにかけヘルメットを脱ぐ。バイクシューズからランシューズに履き替えて着替え用のテントへ。

なんといっても初めてのフルマラソン。頭をよぎるのは初めて出場したハーフで、18kmを過ぎた時点で左の膝が痛くなり、残り3kmを30分以上かけてゴールした苦い記憶。
そうならないように、キネシオテープで厳重にテーピングを施すことにしていた。

テープを貼るのは、足裏の豆対策とアーチを確保するための1枚。ちょうど土踏まずの位置に左右1枚ずつ貼る。次いでかかとからアキレス腱、ふくらはぎに伸びるように1枚。さらにアーチをしっかりとさせるために、8の字を描くように足の裏からアキレス腱の上、ふくらはぎにかけて貼った。アンクルバンドが邪魔になるので一度外す。

このほか、膝の痛みを予防するために、大腿四頭筋の内側と外側から、膝の皿に沿ってふくらはぎに到達するように2枚。足の表と裏のバランスを取るために、ひざ裏からおしりにかけて、大体二頭筋に1枚。

合わせて片足6枚ずつテーピングを施した。

テープは前日にキチンと長さをそろえて切っておいたもの。ただ、暑さで朦朧としてしまい、間違ったところに貼ってしまってはいけないと、テープにそれぞれ右の1枚目はr-1、2枚目はr-2などと番号をふっていった。

これが正解だった。普段なら、長さを見ただけで絶対に間違えないテーピング。なのに、どれがどこに貼るものだったのか、まったくわからない。なんだか、酒に酔っているのに自分は素面だと思い込んでいるような状態。正直、ここまで頭が働かなくなるとは思っていなかった。

真夏の大会で、8時間以上ぶっ続けで動き続けるとこうなるということも非常に大きな発見。これからロングの大会に初めて出ようという人は、こういう状況も想定して準備をすることをお勧めします。

番号に沿って1枚1枚丁寧に張っていく。しかも、汗で取れてしまわないよう、しっかりと粘着スプレーを吹きつけながら作業した。僕は汗を大量にかく上、足が(足だけでなく全身が)毛深い方なので、テープが簡単にはがれてしまう。そこで、山形のスポーツ用品店の店頭ではなかなか売っていない粘着テープをアマゾンで購入し、持ってきていたのだ。

約10分かけてテーピング終了。念押しのためロングタイツもはく。これでほぼほぼはがれる心配はないだろう。最後にニプレス替わりに乳首にも5センチほどに切ったテープを貼りつける。

おっさんの乳首なんて汚い話ですみません。でも、女性と違って男性はブラをしているわけでないので、結構すれるんです。オリンピックディスタンスの10kmのランでも、何のケアもしていないとゴールの時に血だらけになっていたこともあるくらい。ワセリンをしっかり塗ってはいるものの、それだけでは心配で、張り付けた。

そしてもう一つの懸念が腰の痛み。これに備えるため、腰のサポーターも巻く。サポーターも汗でこすれたりしないよう、インナーウェアを着た上でという念の入れよう。

ずいぶんな重装備になってしまった。それもこれもすべて、初めての距離に対する不安や恐怖を追い払おうとして行ったもの。こうした準備自体は間違ってはいないことなんだけど、結果としてはこの作業が最悪の事態を引き起こすことになった。

全ての準備を終え、着替えテントの中に散乱していたキネシオののり紙やらバイクパンツやらを袋にいっしょくたにしまう。その時、薄い横幕ごしに隣の女子用テントから、「あと6時間もあるからゴールは楽勝よ」なんて声が聞こえてきた。どうやら同じくらいのタイムでランに移行しようとする選手らしい。「皆生のランはアップダウンがほとんどないからもう大丈夫よ」なんて声も聞こえる。

どうやら過去にも皆生の大会に出場していた人らしい。
そして、そうした経験に裏打ちされた人の言葉に、正直ほっとする。6時間あれば、普通は完走できると考える。ハーフは1時間50分くらいなのだから、2時間かかったとしても21kmを4時間。ずーっと歩いてもゴールできるペースだ。そう。大丈夫。大丈夫なはずなんだ。ずっと言い聞かせていたが、それでも経験のないことが本当にできるのか、不安が先に立ってしまう。

そうした不安が少しだけ軽くなり、長くも短いランパートへの一歩を踏み出した―。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月19日土曜日

薪ストーブのメリットデメリット(4)薪の燃焼について

薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第4弾。

今回は、薪の乾燥についてです。


目次
1.良い薪とは
2.薪の乾燥具合とは
2.なぜ薪が乾燥していないといけないの?
4.まとめ

1.良い薪とは

薪ストーブの燃料は言わずと知れた薪です。薪が燃えることで発生する熱を使って部屋を暖めます。ただし、薪には良い薪と悪い薪があります。ここが、石油ストーブやエアコン暖房との大きな違いです。だって、石油ストーブで使う灯油や、電力会社から送られてくる電気に、品質がいいとか悪いとかあります?

そりゃ、厳密には灯油には精製の具合であったり、電気も電圧が安定するしない・・・といった違いがあるかもしれませんが、基本的に今の日本で暮らしている限り、その品質のブレは考えなくておいいいものです。全国どこに行っても同じ品質のものが買えますし、それを前提に僕たちの生活は成り立っています。

しかし、薪には明らかな品質の違いがあります。この違いには、①木の種類による違いと②乾燥による違いがあります。

①の木の種類による違いについて詳細に説明すると、本が一冊書けるくらいかかるので、別の機会にご説明するとして、今回は薪の乾燥具合による品質の違いについてです。


2.薪の乾燥具合とは

一般に、含水率が20%を切る薪が良い薪とされています。
含水率とは、読んで字のごとし、薪の中に含まれている水分の量のことです。

含水率は、正確に測るならば、含水率計という機械を使う必要があります。金属の針を薪に軽く刺して薪の水分を測る機械なのですが、これも品質はピンキリで、3000円台のものから数万円するものもあります。

筆者は、3000円台の含水率計を持っていますが、あまり役に立っていません。
だって、いちいち測るの面倒なんだもん。

含水率計を持っていない、もしくは筆者と同じで測るのが面倒という人も、心配しなくて大丈夫です。含水率20%を切るような良質の薪かどうか、簡単な見分け方がありますから。

それは、給薪の時に確認できます。

ストーブの中で燠ができて、そろそろ次の薪を足さないといけないな・・・というタイミングで、薪をストーブの中に入れ、10秒以内に薪に火が付いたらその薪はOKです。
きっと含水率も20%を切っているでしょう。

20秒かかったら何とかギリギリ合格点です。本来なら来シーズン使った方がいい薪ですが、なかなかそんなに大量の薪を準備できないですよね。このくらい乾燥していれば、まずは快適な薪ストーブライフが送れると思います。

40秒以上かからないと火がつかない。もしくは、窓を薄く開けて強烈に中に空気を入れないと火がつかない薪。これはダメな薪です。薪ストーブで燃やすには乾燥が足りていません。この段階の薪だと、割ってから2か月とか3か月くらいだと思います。もし、薪業者から買った薪が火がつくまで2分以上かかるようなら、文句を言っていいレベルです。

部屋が暖かくならないだけでなく、煙突にタールが付着する、煙がくさい等、様々な不具合が発生します。


3.なぜ薪が乾燥していないといけないの?

では、なぜ薪は乾燥していないといけないのでしょうか。

薪の燃焼の仕組みについては次回以降に詳しく説明しますが、まず、わかりやすいのは、
薪が燃えるには薪の中にある水分が蒸発する必要があるということです。

濡れた紙にはそのままでは火がつかないですよね。紙が乾いてから火が付きます。薪も一緒です。薪の中にある水分がなくなってから初めて火が付きます。

このため、薪の中の水分が多い(含水率が高い)薪の場合、薪に火がつくまで多くの時間と熱エネルギーを薪の水分を蒸発させるのに使われます。液体→気体の状態変化には多くの熱エネルギーが消費されますので、その分、薪が燃えて部屋を暖めるはずだったエネルギーが無駄に使われてしまうことになります。

合わせて、薪が燃えると煙が出ますが、きちんと燃焼しないとこの煙の中に、燃焼しきれなかった可燃性ガスやタール分などが入ってしまいます。可燃性ガスは、いぶくさい臭いがしますし、タールは煙突の中に付着して煙道火災の原因になります。

煙道火災は、軽いものなら煙突の中が燃えるだけですが、ひどくなると本当の火事につながります。何より、消防に通報されたら(もしくは自分で119番通報したら)、多くの消防車が来て大騒ぎになりますから、次から薪ストーブを使うことは世間体的に厳しくなりますよね。絶対にやらないように注意しないといけません。


4.まとめ

快適な薪ストーブライフを送るためには、一にも二にも乾燥した薪を使う必要があります。木の種類による差はそれに比べたら小さい話です。

含水率20%を切るような乾燥した薪を作るには、2年は乾燥させないといけないと一般的には言われています。

でも、毎年薪は業者から買っている人や、薪棚に限りがあるので、2年分の薪を確保しておくのは難しいケースも多いと思います。

さらには、いい薪を使っているのに、うまく燃やすことができずにいる家庭も少なくありません。

このため、次回は上手な薪の燃やし方について解説します。


ここまでお読みいただきありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月18日金曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑰

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑰



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
残り40kmは天国だと聞いていたバイクパート。しかし、いつまでたってもアップダウンが終わらない。しかしそれも残り15km。いよいよゴールが見えてきた―。



ついに市街地が見えるところまできた。ここからは本当にアップダウンがなくなる。だって、バイクパートのゴールは海だもの。しかも若干とはいえ下り基調なはず。ここまで時速23kmちょっとでしかないアベレージスピードを少しでも上げていきたい。

そう思って進んだのだけれど、ここで思わぬ敵が待っていた。「ホント、マジかよ!」って思わず叫んでしまったくらいの敵。それは・・・向かい風。

ロードバイクに乗っている人ならわかる、自転車の最大の敵。向かい風。アゲインストとか色々言い方はあるけれど、とにかく進もうとする正面からくる風。

これがあると無いとではスピードが全く違う。

たぶんこの時吹いていたのは、秒速1~2mくらいの弱い向かい風のはず。それでも、炎天下を125km走ってきた身には非常に応える。スピードは平地にも関わらず、そして結構頑張っているにも関わらず、時速25km~26km。

バイクの序盤、何だかペースが速いと思っていた原因が分かった。これだったんだ。行きは気づかないくらいの追い風。そのため、時速25km位で走っているイメージなのに時速28km位のアベレージスピードになっていた。その時恩恵を受けた分をここで支払う形か。

ここでようやく諦めた。

皆生のバイクパートで天国は来ない。劇的にペースが上がるようなおいしいところもない。

当たり前と言えば当たり前のこと。とにかく自分の力、それも、その一瞬頑張って絞り出すような火事場の馬鹿力ではなく、アベレージとしてその時に出すことができる最大の力が試される場所―。それが皆生なんだ。それが、ロングというレースなんだ。

それを、スタートから約7時間かかったこのタイミングでようやく悟ることができた。たぶんこの後のランも、決して楽になることや望外にうまくいくことなんかないんだ。

そう思って気持ちを立て直した。現時刻は午後3時ちょっと前。残る距離は10km。そうすると、3時20分ごろにバイクアップの計算。ランを6時間で行けば何とかゴールには行けるはず。

そのためには、これ以上無駄に踏ん張ってバイクで足を使いすぎないよう、時速25km出てれば良しとしてペースを維持。とにかくアベレージでエネルギーを消費していくようにする。

気温は相変わらず下がらない。さっきバケツの水を思いっきりかけられたけど、10分も立たないうちにバイクジャージは乾いてしまった。汗が滴ることもない。暑いことは暑いけれど、補給とのバランスは保てているので十分このままいける。

そう思って、最後にもらった大会のボトルから水を一口飲む。その時、何を思ったのか、歯で吸い口を咥えてキャップを開けて中身を見てしまった。なぜこんなことをしたのかわからないが、見たら、中に黒い斑点がたくさんある・・・。

なんだこれ!・・・・・・カビか???

大会運営の方ごめんなさい。たぶん大会用のボトルは1万本は用意されていて、中には若干古いものもあったんだと思います。その中の一つがうまいこと洗われていなかっただけだと思います。皆さんのあの献身的な大会運営にケチをつけるつもりは全くありませんが、確かにこのボトルの中には黒い斑点がたくさんありました。

それが何かを突き詰めることはありませんでしたが、このボトルの水はもう飲めなくなってしまいました・・・。

残る5km。水分補給をできるところはもうない。でもゴールまで10分くらい。もう一本の自分が持ってきた方のボトルは先に空になっていた。しょうがない。10分くらいは水を飲まなくても行けるだろうと諦める。

そしたら、突然左足の太ももに痙攣が来た。

別に何があったわけでもない。でもビクビクっと動いた。電解質が足りていないのか?急ぎ、塩飴を一つほおばり、ガリガリっと噛み砕いて飲み下す。

うわ、一気にのどが渇いた。

でも飲めないから我慢。後少しだ。

川沿いの道を過ぎ、市街地に入る。選手の誘導の為道路はけっこう渋滞。橋を渡り、最後の住宅街に。狭い道路。直角コーナーが続く。

そしてようやく。・・・ようやくバイクゴールにたどり着いた。

この時点で3時20分。

大丈夫、あと6時間ある―。絶対ゴールできるはず!!




ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。