2019年2月5日火曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉕

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉕



皆生大会の総括②バイク

ランが途中失格となってしまったため、大会当日最も長い時間を過ごしたバイク。その分、補給、暑さ対策など学びがたくさんあった。

まず、補給に関して。

ロングのレースに限らず、バイクの練習の時も補給は必須。2時間で50km~60km走る程度の練習なら特になくてもいいのかもしれないけれど、100kmを超えるロングライドを補給なしでやることは難しい。ハンガーノックになってしまってはレースを途中で断念しなければならなくなる。

一方で、補給しすぎると胃に来るのも確か。レースの途中で気持ち悪くなり、ペースを上げられなかったという人も多いと思う。

では、どの程度の量が適正量なのか。

これは、その人の体重と年齢、性別によっても変わってくるんだと思うんだけど、体重75kgの自分としては、30分にジェル1個というのが最適だった。

ジェルも色々な種類があるけれど、エネルギー補給系の場合は大体1袋120kcalくらいだと思う。1時間で2つとして240kcal。糖換算で34g。

僕はバイクに7時間かかったので、ちょうど14袋、1680kcal摂取したことになる。

この補給量は、実際に走っている際に消費しているエネルギーに比べるとかなり少ない。バイクによる消費カロリーは諸説あって正直よくわからないけれど、仮に1kmあたり15kcal消費したとしてもバイクパート全体では2100kcalは消費していた計算だ。

さらに、あの暑さとアップダウンが厳しいコースの状況を考えると、3000kcal程度は消費していたと思う。そうすると半分ちょっとしか補給できていないことになる。

しかし、エイドステーションでは毎回バナナやスイカ、レモンなどの果物を口にしていたこと。さらに、スポーツドリンクに含まれている糖質も計算すると、2000kcal以上は摂取できていたはず(このあたり、思い込みばかりなので正確性が欠けています。目安と思ってください)。

この摂取量、いやいや少なすぎるでしょうとおっしゃる方もたくさんいると思う。けれど、この摂取量で一度もハンガーノックにはならなかったし、バイクスタート時に液体の胃薬を飲んでいたとはいえ、一度も胃腸に不具合は起きなかった。

つまりは脂肪燃焼のサイクルがうまく回っていたのだと思うし、それを回すためにも
結局のところ、「低血糖にならない程度の補給」というのがちょうど良い量になるのだと思う。
あ、水分は取りすぎて困ることはありません。


水分補給に関して。

レース中の本文でも書いたけれど、この日のレース中、計算すると16L以上の水分を摂取したけれど、夜、宿に帰ってトイレに行くまで、一度もおしっこは出なかった。夜トイレに行った際も何とか濃い黄色いおしっこが少量出ただけ。

それだけ、体内の水分量が足りていなかったということだ。

ただ、普通の生活で1日に16Lもの水分を摂取することはない。だって、16Lだよ。ビールの350ml缶の24本入り箱、これを2箱分の量。こんな量、飲めるわけがない。

それでも水分補給が追い付いていなかったということは、いかに灼熱の皆生と言われるこのレースが過酷な暑さの中で行われているかの証拠だと思う。

これだけの水分を吸収する胃腸の負担も相当なはずで、それも考えると補給する糖質の量は上記、30分でジェル1個がちょうどよかった。


最後にレースペースについて。

レースペースは、本当、思った以上に伸びなかった。獲得標高が1500m前後という皆生のバイクコースは、思った以上にアップダウンが激しい。お話できた出場選手の中には、長崎の方がアップダウンが厳しいとお話されている方もいらっしゃったけど、じゃあ長崎はどんだけだよ?って感じ。

初ロングがバイクの短い皆生で良かったというべきなんだけど、それでもなぜあんなにペースが上がらなかったのか。

その理由の最大のものは練習不足なのはよくわかってます。でもそれだと反省と分析にならないので、言い訳と思われるのを承知で書いていくと、やはり暑さと交通規制がないことによる一時停止がある。

暑さはやばかった。これがあと5度低かったら(それでも最高気温31度)だいぶ楽になったんだと思うけど、36度は厳しい。ピーカンだったので直射日光と照り返しで魚焼きグリルの中みたいに上下から焼かれている感じだった。

下りやスピードがある程度ある平地は何とかなるんだけれど、時速10km前後になってしまう厳しい上りでは一気に暑さがこたえた。

さらに、下り切った先で起きる一時停止。これもペースが上がらない原因の一つだった。下りのメリットを得られないことと、気持ちが折れることこの上ない。
この点、初めて皆生大会に出場される方は参考になるかもしれません。

でもそれが皆生の魅力の一つでもあるのだから、最終結論としては自分の力が足りなかったということです。はい。


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2019年2月2日土曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉔

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉔



皆生大会の総括①スイム


レース翌日は朝6時前に目が覚めた。全身筋肉痛かと言えばそれほどでもない。オリンピックディスタンスのレースの翌日は、全身バキバキになっているのになぜだろう。
やはり、最高出力を抑えて巡航しているからか。

閉会式は朝10時から行われる。閉会式後はレセプションになって食事も出るらしい。しかし、レセプション終了後(たぶん11時くらい)に皆生を出ると、家に着くのは何時だ?片道12時間はかかるので23時!明日は朝から仕事なのにムリムリ。

ということで、残念ながら閉会式とレセプションは次回以降、きちんとゴールできたときのお楽しみにすることにして、早々に宿を発つことに決めた。

機材はすでに車に入っているので、トランジッションバック内の荷物を整理して車に積み込む。ウェットスーツやバイクジャージは前日の夜のうちに浴室で洗って干しておいた・・・が、乾いていない。さすがは1泊3000円の宿。
値段が安いから別に宿に不満はないんですけどね。

そして、朝6時半にホテルのフロントに鍵を置き(経営者の老夫婦はまだ夢の中?)、1000km先の山形を目指して出発した。

往路の途中で給油したこともあり、燃料計は4分の3くらいを示している。どっちみち1回は給油しなければならないのだから、高速に乗ってからでいいか、と考えていたが、これが大きな間違いだった。

途中のサービスエリアで寄ったガソリンスタンド。ガソリンの価格が皆生市内より1リットルあたり15円ほども高い!これなら最初に満タンにしておけばよかった・・・。

そんなことがありながらも、一日中、たった一人で運転するロングドライブ。考える時間だけはたっぷりあったので、色々とレースを総括した。

まずはスイム。コース幅があれほど広くて、しかも1往復という単純なコースの場合、まっすぐ進むことは非常に重要だ。往路と復路のタイムを比べた際に、後半のタイムの方がかなり良かったということは、いかに前半でロスをしていたかがわかる。

対策はヘッドアップをすることなんだけど、今まで適当に考えてきたこのヘッドアップ、どうやら今後はしっかりと練習の中でやらないといけないみたいだ。

確かに泳いでいるときのリズムが崩れるので、僕は嫌いなんだけど、要はヘッドアップをすることを前提としたリズムを作ることができればいい。それには数をこなすしかないか・・・。当たり前だけど、次回のスイムの練習からはヘッドアップをしながらの200m×5本とかをいれていこう。

それと、スイムでは集団の中で泳いで流れに乗ることもとても大事だ。友達が少ないのでいつも一人でスイムの練習をしているから、普段はなかなか実感できないけれど、以前、プールでスイムをするレースに出場したことがある。この時、自分よりちょっと速い人の後ろをついて泳いだんだけれど、そうすると前の人に引っ張られてすごく速く泳ぐことができた。

バイクでいう風よけというか、集団の後ろにいると力を使わなくていいように、スイムでもそういう働きがある。もちろん、集団の中にいれば他の選手と接触する危険性もあるのでいやな人もいるかもしれないけれど、多くの選手が作る水の流れに乗ることができるかできないかでは、大きくタイムが変わってくるんだと思う。

それには最低限の泳力が無いといけなくて、本文中にも書いたけれど、プールでは50mを1分のペースでずーっと泳ぎ続けられるくらいの泳力が必要だ。この泳力、僕は全くないので、少しづつ力をつけていきたい。

逆に「そんなの余裕だよ」という人はスイムには苦手意識は持っていないはず。当然ヘッドアップもできるだろうし、まっすぐ泳ぐこともできると思う。


皆生大会の総括編、次回はバイクと補給についてです。


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2019年2月1日金曜日

薪ストーブのメリットとデメリット7 薪の種類

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第7弾。

今回は薪の種類についてです。

灯油を使う石油ストーブや、電気を使うエアコンは基本的に品質に差がありませんが、薪は木の種類によって大きく異なります。針葉樹は燃やしてはいけない、ナラの木が薪として最高・・・など、様々な情報がありますが、本当のところはどうなのか?をお伝えします。

1.広葉樹と針葉樹
2.売っている薪はどっち?
3.針葉樹を燃やしても大丈夫?
4.これだけはやめましょう


1.広葉樹と針葉樹

薪の種類の前に、木の種類について。大きな分け方としては広葉樹と針葉樹の二つがあります。

広葉樹とは読んで字のごとく、葉っぱが広い木です。針葉樹は葉っぱが針のような木です。なんのこと?と言われるかもしれませんが、葉っぱが広い木の代表は桜やナラ、ブナ、ケヤキなどで、春に新しい葉っぱができて、秋に紅葉し、その後落葉します(落ち葉になります)。街路樹や公園の木に使われることが多いです。

針葉樹の代表的なものには、マツやスギがあります。針のようにとがった葉っぱをしていて、一年中葉っぱがあります。冬でも葉っぱがついている木が簡単にいうと針葉樹です。
街路樹というより、主に建材として使われることがあります。杉板の壁とか、米松の床とか聞いたことがあるかもしれません。

この針葉樹と広葉樹、木としては別にどちらかが優れているわけではありませんが、薪としては明確な差があります。

結論から言うと、多くの人がご存知の通り広葉樹は薪に適していて、針葉樹は薪に向きません。


2.売っている薪はどっち?

うちの薪はどっちなんだろう?と思われた方、もし自宅の薪が業者から買ったものなら、その薪は100%広葉樹です。安心してください。まあ、お金をもらっているのに、針葉樹の薪なんか置いていった日にはクレームきますしね。

逆に、原木を玉切りして自分で薪を作った場合はこの限りではありません。木肌を見ただけで木の種類がわかる方なら問題ありませんが、何の木かわからないけれど薪にしているというケースもあると思います。

そんな時は薪を持ってみると大体わかります。もし、二の腕くらいの太さの薪を持った際に、ずっしりきたら広葉樹。軽くて2、3本持てるようなら針葉樹です。

また、建築会社にお知り合いがいて、建材の端材を貰えることもあると思います。こうした端材はほとんどが針葉樹になります。

あ、山形の人の場合、芋煮用の薪として秋に店頭に並んでいるのは、全て針葉樹です。

このように、針葉樹は色々なところで手に入るので重宝するのですが、ネットの記事や薪ストーブの本を読んでいると、「針葉樹は燃やしてはいけない」みたいなことが多く書かれています。また、薪ストーブの専門店でも「薪は広葉樹を燃やしましょう」などと指導されることが多くあります。


3.針葉樹を燃やしても大丈夫?

では、針葉樹は燃やしていけないのでしょうか?

いいえ、大丈夫です。

針葉樹を燃やすことには意見があるので、筆者の言うことが100%正解とは言いませんが、少なくとも10年以上、針葉樹の薪も気にすることなくガンガン燃やしていますが、うちの薪ストーブには一切不具合はありません。

ではなぜ、針葉樹は薪ストーブに適していないと言われるのでしょうか?

それは、広葉樹に比べて針葉樹は成長が早く、木の中の密度が低いので燃えやすく、ストーブの中が高温になりすぎることがあるためです。高温になりすぎると、薪ストーブ内部の部材に不具合が出ることがあります。

クリーンバーン方式のストーブの場合はバッフル板というのがあるのですが、これが歪んでしまったり、内部の耐火煉瓦が痛んだり。

また、針葉樹はタールが出やすい(煤が出やすい)傾向にあるので、煙突が詰まったり、それが燃えて煙道火災が起きたりする可能性があります。

こうしたことから、針葉樹は使わないようにしましょうという指導というかアドバイスが多いです。

あ、あと薪の火持ちも悪いです。

でも、燃やし方が悪ければ広葉樹だけを燃やしても煙突は詰まります。先日、筆者の知人で薪ストーブを使っている人が、バーモントキャスティングのアンコールというストーブを使っているのに1シーズンに1,2回は煙突掃除をしていると聞いてびっくりしました。通常、こうした数十万円するストーブの場合、煙突も内部の直径が18センチ以上あり、適切に使用していたら煙突が詰まることはありません。筆者の家は2年に1回の煙突掃除でも十分です。

また、内部が高温になりすぎるという点も対策は色々あります。簡単なのは、広葉樹と混ぜて使うことです。スターターとして火をつけた際に最初に針葉樹を使うことで早く炉内を暖めることができますので、その後広葉樹の薪に移行すれば部屋を暖めるのは早くなります。

他にも、針葉樹は灰が少ないので、灰の掃除をあまりやらなくて済むというメリットもあります。


4.これだけはやめましょう

針葉樹と広葉樹、筆者はどちらを燃やしても大丈夫と考えていますが、これだけはやめた方がいいということがあります。

それは、集成材を燃やすことです。

集成材とは、複数の木を接着剤を使って圧着させることで、強度と太さを出している木で、建材として多く使われています。公民館など公共の施設で、内部に30センチを超えるような太い柱があった場合はほとんどが集成材です。

こうした木を燃やすと、本来なら燃やしてはいけない接着剤も燃やすことになります。焼却施設で高温で処理するならいざ知らず、家庭の薪ストーブで燃焼するくらいの温度では、有害な物質が煙突から出てしまう危険性もあります。

同様にペンキなどで表面に色が塗られているような木もやめましょう。


今回は、針葉樹と広葉樹の違いについて書いてきましたが、ここまで読んだ方で「面倒くさい」と感じた人も多いと思います。薪ストーブの導入を検討している人で、こうした面倒くさを「面白い」と感じるなら薪ストーブを使っても大丈夫ですが、面倒と感じるならエアコンや石油ストーブを使った方がいいかもしれません。


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2019年1月31日木曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉓

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉓



前回までのあらすじ―。

準備2か月で出場した全日本トライアスロン皆生大会は、バイク→ランのトランジットで、アンクルバンドを外したまま置き忘れ、途中失格となった・・・。


スタート地点でアンクルバンドを発見した。

この計測器をつけてさえいればゴールできたはず。テーピングをまいたときに外していなかったらこんなことにはならなかった・・・。

たらればばかりが頭の中で繰り返される。それでも現実は途中失格。

トライアスロンにかかわらず仕事もそうだけれど、結果がすべて。どんな言い訳をしても、結果を出さなければ成果も得られない。きっとこの日は、たとえアンクルバンドを付け忘れていなかったとしても、何かしらの理由でゴールできなかったんだろう。

そう、自分に言い聞かせ、荷物をまとめた。


トランジッションバッグ3つを抱え、離れた駐車場に向う。バイクにまたがってみるとびっくりするくらいお尻が痛い。走っているうちはアドレナリンが出まくっていたのか全く感じなかったけれど、お尻も限界だったんだろう。

車に荷物を積み込み、一度宿に帰る。シャワーを浴びた後、アンクルバンドを返しにゴール地点の競技場に行った。

午後8時を過ぎ、日は落ちた。そんな中、ゴールの陸上競技場はライトアップされて輝いている。特にゴール地点はまぶしいくらいだ。

このまぶしさは、ライトの明かりによるまぶしさか、ゴールできる選手たちへの羨望からくるまぶしさか・・・。

本部に行き、事情を説明してアンクルバンドを渡すと、「お疲れ様でした!」と軽~く受け取られた。そうですよね~。ここに来る人たちは皆明るい表情をしてますもんね。真っ暗に沈んでいるのは僕の心だけであって、運営の方々も含め、今日一日をやり切ったという充実感があふれていた。

せっかくなので、ゴールした選手たちの写真を撮る。来年かはわからないけれど、必ずここにリベンジに来たい。そう心に刻みつけた。


ゴールできなかったとはいえ、せっかくだから運営サイドが準備したしつらえを楽しんで帰りたい。

競技場の外の何店も連なっている屋台をみていると、ラーメン店の前に「選手は無料」の文字が。貧乏性が全面に出て、早速1杯もらう。タイミングが良かったようで、並ぶことなく食べることができた。

一日動いていたので胃が受け付けなくなっているかも・・・と思ったが、まったくそんなことはなくおいしくいただけた。普段は飲まないスープも(血圧が高めなので)全部飲んで完食。本当はもう一杯いきたかったけれどさすがに遠慮しました。

ゴール後に受け取るはずだったバスタオルとビール1缶は残念ながらもらえず。きっと話をすればもらえたんだろうけれど、言い出せずに競技場を後にした(なお、バスタオルは後日送られてきた)。

宿に帰って、自宅に電話をする。ゴールはできなかったけれど、無事に一日を終えたことを報告。その後、せっかくだからとコンビニでビールと鶏肉の弁当を買いにいく。それで一人、ホテルの部屋で反省会を行った。

しかし、不思議なことに全く酔わない。しかも全くおいしくない。

普通、これだけ動いて汗をかいた後のビールは至極の一杯になるんだけれど、何だか味を感じなかった。500mlのビールを1缶あけるのにも苦労した。

そして、翌日、1000kmを1日で帰らなければならないことを考え、早めに床についた。


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2019年1月30日水曜日

薪ストーブのメリットとデメリット7 薪の調達の仕方

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第6弾。

今回のお題は、薪ストーブユーザーならだれもが悩む薪の調達方法です。

1.薪を買う
2.原木を買う
3.薪を作る
4.支障木の処理


1.薪を買う

最も手軽で、最も簡単で、そして場合によっては薪棚に積むことさえしなくてもいい方法がこの薪を買うというやり方です。関東や関西の大都市圏の事情は詳しくはわかりませんが、たぶん、全国ほとんどの場所で薪の販売業者がいて(もしくは配達圏に入っていて)、購入することができると思います。

しかも、業者さんによっては、薪棚に積んでくれますので、頼んでさえおけば自分では薪の準備を何もしなくてもいいです。

しかし、前回もお話した通り、薪の値段は年々上がっていて、現在は1棚1万9000円が相場と考えていいと思います(2019年現在。薪の長さ30センチ×幅1.8m×高さ1.5mと計算)。正直、結構高いです。

とはいえ、関東など太平洋側の場合ですと、冬晴れの日が続きますので(うらやましい)、1シーズンに使う薪の量もそれほどではありません。1シーズンで3棚~4棚しか使わないのであれば、十分検討に値すると思います。


2.原木を買う

薪を買うよりも安価に済ませたい場合に行う方法が、この原木を買うという方法です。この場合、原木とは、薪になっていない切り倒された木のことを言います。

造園業者の方ですと、行政の依頼で街路樹を切り倒したり、公園や学校の木を切り倒す依頼を受けていることがあります。それ以外にも民家の邪魔になった木を切り倒すこともあります。こうした時に出る原木は、通常は産廃業者のところに運んで処理料を支払って燃やしてもらうことになります。

こうした原木を買う場合、造園業者さんにとってもメリットがありますので(ただし、行政の依頼で切り倒した木は、行政の財産になりますので勝手に売買してはいけません。あくまで民間から頼まれた場合のみ売買してください)、売ってもらえるかもしれません。

費用は薪を買う場合に比べて半分以下~4分の1にまで抑えることができます。

ちなみに、原木は買わなくてもタダで貰えることもあります。筆者はこのパターンですが、自宅の庭の手入れをお願いしている造園業者さんから毎シーズン、かなりの量の原木をもらっています。業者さんにとっても、我が家でもらう量の原木を産廃業者で燃やすと数万円の費用がかかるので、ウィンウィンの関係になっています。


3.薪を作る

ただ、この場合ですと、薪を自分で作らなければなりません。原木を玉切りして、それを割って乾燥させ、そして薪にする・・・。手間と時間がかかります。

さらに、薪を作るには少なくともチェーンソーと薪割り用の斧を買わないといけません。人によっては薪割り機を購入することもあるでしょう。初期費用は1シーズンで買う薪の価格の数倍に及ぶケースもあります。

とはいえ、これも薪ストーブライフの醍醐味でもあります。薪を自分で作る薪ストーブユーザーは3回暖まるとも言われます。それは、薪を作るときに汗をかくほど暖まるのが1回、運ぶ時に暖まるのが2回、そして、冬に薪を焚いて3回。

なんといっても自分で割った薪は、それぞれに割った時の思い出もあるので(これ、結構覚えているものですよ。特になかなか割れなかった薪の場合は)、より深い満足感を得られます。

もし、こうした作業をするスペースがあり、薪割りをする気力体力があるようでしたら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。


4.支障木の処理

最後に、これはどこでもできるわけではありませんが、支障木の処理という方法があります。

これは、川が増水したときに水の流れを妨げるおそれがあるとして、河川敷に生えている木を切り倒すものです。

筆者の住んでいる山形県の場合、県や国交省がこうした支障木の処理を業者に頼んで行っていて、それをタダで貰うことができる場合があります。量が限られていたり、手間がかかったりしますが、タダに勝るものはありません(笑)。

さらに一歩進んで、この支障木を自分で切り倒してくれる人を募集している場合もあります。先日、地元の新聞で山形県は業者ではなく一般市民が支障木を処理している面積が全国で1位という記事を読みました。それだけ薪ストーブユーザーが多く、また、作業できる人も多いということだと思います。行政にとってもタダで河川敷の管理ができるのは大きな魅力ですし。

しかし、筆者はこの方法はあまりおススメしません。

理由は、高さ10m以上になったような木を切り倒すことは、素人には危険が大きすぎると考えるからです。

木を切り倒すのは大変です。切り倒す方向、順番など様々なことを勘案しないといけません。木が曲がっていた場合、曲がりのテンションがかかっている方を切ってしまうと、木がはねます。割り箸を折るときにパキッとなって曲がったところが折れますよね。あれです。これが直径30cm級の木で起きてしまうと、簡単に大けがをする危険性があります(これで亡くなっている人もいます)。

また、切り倒した木が隣の木によりかかってしまい切り倒せなかったり、じゃあそのよりかかられた木を切り倒そうとしたら、さらにその隣の木が邪魔になったり・・・とうまくいかない場合も多くあります。

なにより、幹の部分はいい薪になりますが、それだけではなく、きちんと枝も処理しないといけません。

薪ストーブを使うと、メインの太薪に火が回る前に小枝を使って徐々に火を大きくするので、枝は非常に重宝するのですが、いかんせん、処理に時間と手間がかかります。

一度やってみてください。1本の木の枝を処理するだけで、結構うんざりします。しかも、支障木の処理は一定の面積の木をすべて処理しないといけないので、最低でも10本~20本の木を切り倒す必要がありますので、枝の処理だけで10日とかかかるかもしれません。

以上、様々な方法がある薪の調達方法。

あなたは、どの方法で薪を集めますか?


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2019年1月29日火曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~㉒

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録㉒



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
人生初の熱中症を体験したラン。約1時間をロスしたものの、ようやく回復したが、今度はアンクルバンドが無いことに気づいて・・・。



アンクルバンドが無い―。

これまで、数多くのトライアスロンの大会に出ていて、こんな経験は初めてだ。

何でなくなっていたのか・・・。どこにいったのか・・・。

真っ白になった頭で考える。考える。考える・・・。


・・・あれだ!

バイクからランへのトランジットの時、足首に巻いたキネシオテープ。このテーピングのために、一時アンクルバンドを外した。

たぶんその時、テープの紙と一緒にまとめてトランジッションバッグに入れてしまったんだろう。皆生大会では、トランジットのタイムを測るためのランスタート地点での計測点が無かったことも、走り出した時に気づけなかった理由だ。

しかし、トライアスロンはすべてが自己責任。悪いのは自分だ。

ではどうしよう。

真っ白になった頭で、とりあえず足だけは動かしたまま考える。取りに戻るのはどうか。
いや、すでに10km来ている。これから10km戻ってトランジットまで行き、さらに今走っているところまで再び走りなおすと20km。そこからさらに32km。

残り時間4時間半で?どう考えても無理な相談だ。

となると失格はやむを得ない。悔しいけれど、本当に悔しいけれど、ゴールしてもタイムは出ない。でもこのまま走ってゴールまで行くことはできる。

しかし、大会運営をする人たちにとっては、アンクルバンドは計測器でもあり、下手したらGPSで選手の現在位置を確認しながら、選手の安全を守ろうとしている道具。そうした努力を払って大会を続けている以上、まったく伝えないで走り続けるわけにはいかない。

そのため、次のエイドステーションでマーシャルを探して事情を説明した。さすがにマーシャルの方もびっくり。そんな人見たことないとか・・・。ですよね~。自分でも信じられないもん。

本部に確認を取るということで、しばし待つ。

その後伝えられた返答はその場で失格。その後のレース続行は認めないというもの。やはりというべきか、安全確認ができない状況で走らせるわけにはいかないということか。

このまま、ここで回収のバスを待つように言われるが、この日は最終的に36度の猛暑日になっていた日。DNFの選手が多く、救急車で搬送された人や回収された人が後を絶たず、バスが来るまで2時間くらいかかるという。

2時間も何もしないで待っている気になれず・・・。歩いて戻ってもいいか確認すると、それは大丈夫という話。しかし、レースは終わっているので、ゼッケンは外してほしいと言われた。

当然のことなので、その場でゼッケンを外し、10km先のメイン会場までとぼとぼと歩き始めた。

胸にこみ上げるのは、「何でこんなことになったんだ」という疑問と後悔。あの時、ちゃんとアンクルバンドをつけていれば。きちんと忘れ物チェックをしてから走り出せていていれば。

これまで、ゴールを目指して走ってきた道。ランの折り返しを過ぎれば、ゴールへと続くはずだった道。

そこを、スタート地点に向って進む自分がいる。なんだかんだで10万ものお金をかけて、1000kmも車を走らせて、ようやく来た皆生。時間と金をかけ、仕事を調整し、ようやく参加にこぎつけた初ロング。それが何の結果も出せない結果になった・・・。

これだけの無力感と挫折は、しばらく味わっていなかった。

悶々と考えながら進んでいたら、今度は曲がるべきところをまっすぐ行ってしまい、道を間違えた。携帯もないし、当然地図も持っていない。しかも初めての街。

お客様の見送りに出ていたディーラーの販売員の方に道を聞いて、ようやく、ずっとまっすぐに走っていたと思ったコースが、途中で曲がり角があったことを思い出す。それだけ頭が朦朧としていたことだ。

スタート地点が近づくにつれ、続々とゴールを果たして戻ってくる選手たちとすれ違う。
どの選手の表情も晴れやかだ。一日かけて猛暑の中走り抜けた自分に誇りを感じているようないい顔をしている。

本当は自分もそういう顔をしたかった。

次第に日が傾き始めた午後6時半すぎ。ようやくメイン会場のスタート地点にたどり着いた。バッグの中身をひっくり返してみると、出てきた。アンクルバンドだ。これを忘れてしまったために途中失格―。

たった2か月の準備で初めて挑んだロングの大会。準備不足は承知の上で参加した大会は、ゴールに値する努力を払っていなかったという現実を示される大会だった。


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人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月28日月曜日

薪ストーブのメリットとデメリット6 薪の値段は高い?

薪ストーブ歴10年の筆者が、雪国山形の住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第6弾。

今回のお題は、薪の値段は高いのか?安いのか?です。

目次
1.薪の値段を語る前に
2.薪の単位
3.薪の使用量
4.薪は高いのか安いのか?


1.薪の値段を語る前に

値段が高いか安いか。
これは、薪に限らずどんなものでもそうですが、その感じ方は「人による」としか言いようがありません。

年収1億円の人は安いと感じるかもしれませんし、年収500万の人は高いと感じるかもしれません。年収に関係なく、薪ストーブに価値を見出している人にとっては安いかもしれませんし、年収が10億円あったとしても薪ストーブに興味がない人にとって見れば、高いかもしれません。

なので、ここで言えることは事実のみです。それを高いと感じるか、安いと感じるかは皆さん次第です。


2.薪の単位

さて、薪の値段を言う前に、まず、薪はどのような単位で販売されているかをご説明します。通常、薪の販売で良く使われる単位は「棚」と「束」です。

このほかに、薪10kgとか20kgとか、重さで販売されているところもありますが、こちらはイメージが付きやすいと思いますので、棚と束について説明します。

このうち、束は70cmの針金で縛った薪の量です。針金で作った円の直径は22cmになります。山形をはじめ、秋に芋煮会をする東北地方では、ホームセンターやスーパーで販売している薪の量がちょうど一束くらいです。

薪の長さや業者さんにもよりますが、大体1束で500円前後で販売されています。

一方、棚は各地で量が違うことがあります。一般的なのは幅1.8m、高さ1.5mの空間に並べた薪の量です。薪の長さは色々ですが、30cmから45cmのものが主流です。

こちらは、筆者が薪ストーブを使い始めた10年前は、30cmの薪で1棚1万5000円でした。税別の所もあれば、税込のところもありました。

しかし、年々薪の価格は高騰していまして、現在では、1万8000円~2万円が相場になっています。


3.薪の使用量

価格がわかったといっても、「じゃあ、冬の間どのくらい使うの?」となりますよね。

薪の使用量については、どのくらいの時間使うかや、使用する期間、使っている薪ストーブの大きさ、家の断熱性能、家の大きさによって大きく異なるので、一概には言えません。

ただ、これから薪ストーブを導入しようと考えている方向けに、筆者の自宅の使用量をご説明します。ここを基準にご自身の自宅や生活スタイルから使用量をシミュレーションしてみてください。

筆者の自宅は、10年以上前に新築で建てまして、生活空間の建坪は40坪です。家の断熱性能は、2008年の竣工で断熱材はグラスウール16k。Q値はきちんと計算できていませんが、大体1.9くらいです。

このうち、ほぼ物置と化している筆者の書斎を除く家中を一台の薪ストーブで暖めています。34坪、68畳分の広さです。さらに、リビングダイニングは勾配天井になっていて、最も高いところは4.6mあります。かなりの大空間です。

このため、真冬日になる日も多い1月下旬から2月にかけては、薪ストーブは常に全力で働いています。

また、使用時間も朝6時に着火、最後に給薪するのは夜の11時~12時ごろです。昔は寝る直前にも朝暖かいようにと薪を入れてから寝ていたのですが、さすがに使用量が半端ないので最近は自粛しています。

使用する期間は、10月中旬から4月下旬まで。約6か月間です。

室温はストーブの置いてあるリビングで大体24度。リビングから最も遠い寝室で18度くらいです。これが、朝起きたときにはリビングで16度~18度、寝室で10度から12度くらいになっています。

こうした条件で朝から晩まで薪ストーブを使用していて、最初の頃は1シーズンに15棚くらい使っていました。それがだんだん薪の効率的な燃やし方や、一度暖めた部屋の温度を保つ方法などを学んできて、現在は12棚くらいです。

なお、我が家で使用している薪は35cmです。

今年から、妻が日中働きに出るようになったので(午前中のみのパート)、午前中燃やさなかった場合の量については、今シーズン終わってからご報告します。



4.薪は高いのか安いのか?

1シーズンに使用している薪の価格は、例えば12棚で現在の相場の平均1万9000円で計算すると、22万8000円です。
6か月間使うので、月の平均を出すと月3万8000円になります。

とはいえ、筆者は薪のほとんどを自分で作っているので、ほとんど出費はありません。


この価格、高いでしょうか?安いでしょうか?
たぶん、1日18時間エアコンで全館暖房した場合、電気代はもっとかかかもしれません。また、石油ストーブを使用して家中を同じ条件で暖めた場合、灯油の使用量は1シーズン2000Lくらいでしょうか。今の灯油の価格なら薪の方が高いかもしれません。

また、筆者は薪ストーブだけを使用していますが、薪ストーブと石油ストーブの併用、エアコンとの併用で薪の使用量を減らすことは十分に可能です。

平均的なサラリーマンである筆者の給料では、1シーズンに使う薪をすべて買ったとすると、薪は高いです。自分で作っているから何とかやれていますが・・・。ただ、他の暖房と比べて「割高ではない」と感じています。

皆さんはどう感じるでしょうか。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

人生、曇り時々晴れがいい。