2019年1月17日木曜日

薪ストーブのメリットデメリット(3)薪ストーブで部屋を暖めるのは時間がかかる?

薪ストーブ歴10年の筆者が、住宅街で薪ストーブを使って分かったメリットとデメリットをお伝えするシリーズの第3弾。

今回は、薪ストーブで部屋を暖めるのは時間がかかるか?です。

結論から言いますと、めちゃくちゃ時間がかかります。


目次

1.薪ストーブで部屋を暖める仕組み
2.部屋を暖め始めるまでの時間
3.対流が生まれて部屋の空気が暖まる
4.まとめ:どういう使い方がいいか


1.薪ストーブで部屋を暖める仕組み

初めに薪ストーブで部屋を暖める仕組みについて述べてみます。

薪ストーブは、その名の通り、薪を燃やした熱を使って部屋を暖めます。なので、まずは何よりも先に薪に火をつける必要があります。

しかし、部屋を暖めるのに十分な太さの薪というのは、最初からすぐには火がつきません。最初は、木っ端と呼ばれる細い枝や割りばし等に火をつけて、その火が少し太い枝に燃え移り、さらに太薪に燃え移って・・・と段階を踏む必要があります。

そのため、まずは火をつける前に、炉内(薪ストーブの中)にキャンプファイヤーで使う櫓のように、火が燃え移っていくように木をくみ上げなければなりません。

慣れてくれば2、3分でできるのですが、この作業、特に初心者は時間がかかりますし、うまくいくとも限りません。

5分くらいかかって組み上げたところに火をつけてみたものの、2分後には消えてしまう。その後、もう一度やり直してみたけれどまたつかなくて・・・なんて経験をした方は、私だけではないはずです。

また、小さな炎がだんだんと育っていって、太薪に燃え移っていったとしても、その段階ではまだ部屋は全く暖まりません。

我が家は、勾配天井で最高点の高さが4.6mあるリビング16畳、ダイニング6畳、キッチン6畳の計28畳が最低単位になるのですが(普段はこのほかに、隣接する和室6畳と子供部屋×2の計12畳、さらに廊下、8畳、階段など計60畳ほどを一台の薪ストーブで暖めています)、この時点では、部屋の中の温度計はピクリともしません。。


2.部屋を暖め始めるまでの時間

太薪に火が付き、天板(ストーブの上の部分をこう言います)の温度が300度くらいになって初めてるのに部屋の中が少しずつ暖まり始めます。ストーブがいわゆる巡航運転に入ったタイミングです。ここまで早くて15分、通常なら20分、調子が悪いと30分かかります。最初に枝や薪をくみ上げる時間を考慮に入れれば、最短でも20分くらいはかかる計算です。

ストーブが部屋を暖め始めるまでに、最低20分―。
部屋が暖まるまでではありませんよ。部屋を暖め始めるまでにかかる時間が最低20分です。

これがエアコンや石油ストーブだと、スイッチを入れて2分くらいで最高出力で部屋を暖めてくれますよね。巡航スピードに至るまで30分かかかるなんてことはありません。筆者が学生の頃に住んでいた六畳のアパートの部屋は、20分もあればある程度暖かくなっていました。この点が薪ストーブの大きく不便なところです。

薪ストーブ愛好者にとっては、この不便さこそが魅力の一つでもあるのですが・・・。

とはいえ、年末年始の帰省から帰ってきた我が家の室温はたいてい5度~6度くらいです。火をつけて1時間たってもそれが7度~8度にしかならないので、さすがにその時は、薪ストーブだけではやっていられず、最初の1時間くらいはエアコン暖房を全力でかけています(汗)。


3.対流が生まれて部屋の空気が暖まる

さて、何度も言いますが、上記の時間は部屋の中が暖まり始めるまでの時間です。

このころから、ストーブの近くの空気が暖められて部屋の中に対流が生まれます。暖められた空気は上に行くので、最初はリビングの天井付近が暖まります。筆者の家では天井の一番高いところが4m以上あるので、床付近は全く暖まりません。

このために活躍するのがシーリングファンです。吹き抜けのある家によく見かけるシーリングファン。使い方のセオリーは、夏は下向きにして冬は上向きにするというものですが、筆者の家では真逆の使い方をしています。

リビングの天井付近にたまった暖かい空気を強制的に下に降ろして、床付近の冷たい空気と混ぜ合わせないと、とてもじゃないけれど部屋の中が暖まらないからです。

こうして対流が生まれた空気が徐々に部屋を暖め始めます。

帰省から帰って5度だった室温は、薪ストーブだけで暖めた場合、1時間を経過すると大体8度くらいにはなってくれます(泣)。まだまだ寒いです。


4.まとめ:どういう使い方がいいか

結局、室温が一般的な18度まで暖まるのにどのくらいかかるのか―。

我が家の場合ですと大体4時間くらいはかかります。もちろん、天井の高さや部屋の広さにもよりますが、4時間が1時間になることはありません。

一度暖まれば冷えにくい薪ストーブ。それは逆を言えば、「一度冷えると暖まりにくい」ことでもあります。

このため、薪ストーブを一人暮らしの方の家で、メインの暖房として使うのはおススメしません。エアコンや石油ストーブとの併用をお勧めします。
忙しくてほとんど家にいない―というご家庭も同様です。週末の楽しみにするのがいいかもしれません。

逆に、一日のうち、半分くらいの時間、家族の誰かが家にいる―という家の場合は、薪ストーブが大活躍します。1日24時間のうち、火を焚いている時間が長ければ長いほど、
薪ストーブのメリットが生かせますし、短ければ短いほど、短所が際立ってきます。


でも、一日中焚いているんだけど、薪ストーブで部屋暖かくならないよ―というお話をよく耳にします。

次回はそのあたり、薪の上手な燃焼方法についてお伝えします。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月16日水曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑯

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑯



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
バイクパートでは、長い上りに心が折れそうになりながらもコース中の最高到達点をクリア。バイクの残りは40kmだ―。


ラスト40km。

ただ、この時点で想定していたタイムより、かなり遅れている。当初の予定では、スイム3kmを1時間半で上がる(これはクリア)。
バイクをアベレージスピードで25kmでクリア。計算上は5時間半くらい。なので、バイクパート終了時点で、7時間の想定。午前7時のスタートに対し、午後2時にはランに移っているはずだった。

それが、残り40kmの時点で4時間45分経過。このままだと、想定より1時間くらい遅くなってしまう。

午後2時にランに移行できていれば、ハーフを2時間くらいなので、サブ4は無理にしても5時間あればゴールできるかな・・・と思っていた。どんなに遅くても6時間あればゴールはできるはず。そうすると、午後8時ごろに余裕をもってゴールしている計算だ。それが今のペースでは6時間かかった場合は午後9時。猶予は30分しかない。

結構やばい。やばいけど、残り40kmは天国と聞いていた。きっと下り基調になるはずだ。確かにスタートから20km位はほぼ平地だったし、そうすると残りアップダウンが多いのは残り20km。ここもそれほどではないはず・・・。

色々と頭の中はタイムの計算というか、妄想というかが繰り広げられる。これ以上のペースの遅れは許されないかもしれない。いや実際にはこれでも余裕があるはずなのだから、そこまで心配しなくてもいいはず。とはいえ、最後のランは人生初のフルマラソン。本当に5時間で走り切れるのか―?

このころの気温は36度。天気は業界用語でいうところのピーカン。雲がほとんどない快晴―というと聞こえがいいけれど、要は典型的な猛暑日だ。
文部科学省(でしたっけ?)が「屋外での運動を原則禁止すべき」として、外で行う部活動などが規制される気温になっている。

けれど、不思議と暑さを感じていない。いや、正確に言うと暑さに慣れてしまって、苦しいとかがなくなってしまっている。
実はかなり危険な状態だったのかもしれないけれど、そういう感覚しかなかった。

これは、その頃になるとエイドステーションでの補給、30分毎の補給、さらにエイドステーションまでの時間を逆算してボトルの水を肩や首筋にかけての体温調整など、諸々の作業が完全にルーティン化したためだと思う。

エイドステーションでは、コーラのボトルを一気飲み。さらにスイカを2切れ、レモンに塩をつけたものを2切れ口にする。バナナなどの固形物は胃の負担を考え避ける。そして持ってきたボトルにはスポーツドリンクを補給(約600ml)。大会のボトルには水を入れ(約450ml)、こちらは口直しと体にかける用。あれば氷も入れてもらう。

30分毎の補給は、お腹の状態などは完全に無視して時間になったら機械的に行う。前日に買っておいた補給食はすべて使用。さらにもらった粉飴の小分け袋を飲み下す。

これがまずい。本当にまずい!なんでこんな味をしているんだと思うくらいまずい。

いや、粉飴を使うのが初めてで、なおかつきちんと使い方を呼んでいなかったのが悪いだけで、メーカーさんには何の落ち度もないんですけどね。大会終了後、ちゃんと説明書きを読んだら、これはボトルに入れて水に溶いて飲むものだったのね。それをジェル状の原液のまま飲んだら、そりゃまずいはず。

そうしたことを繰り返しながら、終盤のコースを走っていく。

しかし―。

最後の折り返しを過ぎても、天国は訪れなかった。

そう。それまでのアップダウンと同じく、ひたすら上り下りが続く。上りは前半から中盤ほどの力を出せず、時速10km前後のスピードに。それでも何人も選手を抜いていける。下りは時速50km位まで上がるが、60kmに届かない。その前に次の上りが来てしまう。

さらに、一時停止と赤信号がうまいタイミングで現れる。そんなに回数が多いわけではなく、実際には3回とか4回くらいしか止められていないんだけど、とにかくペースが乱されるのがつらい。そしてペースは依然上がらない。

100km時点でのアベレージは時速22.5km。それがようやく時速23kmを超えるくらいまでしか回復しない。25kmとはいかないまでも24km位になってもらわないと・・・と思うが、またも目の前に上りが来る。

もうこれが最後の上りのはず・・・。と思って上り切り、下りを走っているけれど次に平地は訪れずまたも上り。そして不思議なことに上りで前の選手を抜いていける。正直上りはかなり苦手意識があって(体重75kmなので・・・)、逆に下りが早いはずなのに、自分より10kg以上軽そうな人たちを次々と抜ける。

良く見ると上りで左右にフラフラしている。ペダルを踏むたびに体が右に左に揺れている。一方、自分の方はそういうことはなく、どっしりと淡々とペダルを回している。この違いが上りで抜ける理由かもしれない。

皆さん、上りはフォームの良しあしが最終的には大きな差になるかもしれません。

そんなことを考えながら、約1時間ひたすら上り下りを繰り返すと、ようやく人家というか建物が遠くに見えてきた。ようやくアップダウン区間が終わったのだ。

残り15km。今は山沿いにいてトランジットは海岸。もう下りしかない(はず)。最後に少しでもペースを上げてランにつなげたい。ボトルに補給を終え、ダンシングしながら最終のエイドステーションを後にした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月15日火曜日

薪ストーブのメリットデメリット(2)薪ストーブで暖めた部屋は冷えない?

薪ストーブのメリットとデメリットについて語るシリーズ③


薪ストーブ歴10年以上の筆者が、薪ストーブのメリットとデメリットについて赤裸々に語るシリーズ。3回目の今回は、薪ストーブで暖めた部屋は冷えにくいか?です。



結論から言います。ズバリ、「冷えにくい」です。

なぜかー。

薪ストーブがどのように部屋を暖めるかは、様々な本や雑誌で書かれているので詳しくご存じの方も多いと思いますが、第一の特徴は高温になったストーブ本体からの「輻射熱」で温める点。

第二がその輻射熱で暖められた空気が循環すること―つまり「対流」です。こちらは、暖かい空気が上に上がり、冷たい空気が下に下がることから自然に発生しますが、シーリングファンやサーキュレーターなどを使って人工的に起こすこともします。

エアコン暖房や石油ファンヒーターなどは、この対流によってのみ部屋を暖めます。エアコンは本体の中で作った暖かい空気をファンで送りだすことで、ファンヒーターは、灯油を燃やした熱で暖めた空気をファンで送り出すことで部屋を暖めます。

反射式の石油ストーブや、昔ながらのダルマストーブは、薪ストーブと同じように輻射熱で部屋を暖めますので、原理としては同じです。でもこれらのストーブと薪ストーブでは大きな違いがあります。

それは、「火力」です。

我が家を10年に渡り温め続けているストーブは、モルソーの1620クリーンバーンです。こちらは、大型、中型、小型の3種類に分けた場合、大型の中で一番小さいくらいのサイズですが、それでも、石油ファンヒーター4台~5台分くらいの火力があります。

薪ストーブ1台で家中が暖まるというのは、別に薪ストーブが石油ストーブに比べて高性能だからではなく、純粋に薪を燃やすことによって生まれる熱量が段違いに大きいことが理由です。

それでは、薪ストーブで暖められた部屋はなぜ冷えにくいのでしょうか?


その秘密は、薪ストーブから発せられる輻射熱です。

輻射熱・・・と言われても「何だかよくわからない」という方も多いと思います。簡単に言いますと、炎の近くに手をかざすと暖かいですよね。近すぎるとあちち!ってなりますよね。それです。

火が(火に限らず物体が)直接出す熱が、何かを媒介することなく伝わる熱のことを輻射熱といいます。科学的には赤外線と呼ばれるものです。

よく遠赤外線という言葉が使われますが、これは正確な科学用語とは違った意味で使われているようですが、イメージとしてはその遠赤外線です。

この赤外線は、熱源との間に空気があろうがなかろうが伝わってきます。太陽の熱が地球を暖めているのは、まさにこの輻射熱が届いているからです。

薪ストーブは、ストーブの中で薪が燃えた際に生まれる熱がストーブを暖め、高温になったストーブから発せられる輻射熱が部屋を暖めます。

しかし、薪ストーブが暖めているのは空気だけではありません。空気のほかに、部屋の壁や天井、柱など、家の構造材自体も温めているのです。ストーブの近くの床は、床暖房を入れているかのようにあたたかくなり、はだしでも気持ちいいくらいです。

「ストーブと距離が離れているのに暖まるの?」という疑問もあるかと思います。私自身も科学的に証明するほどの知識はありませんが・・・実感としては確実に暖まります。ストーブ近くの壁や柱は熱くなりますし、リビングの反対側にある壁も冷たさを感じません。

これが、石油ストーブやエアコン暖房との大きな違いです。

もちろん、エアコン暖房で温められた部屋でも、暖かくなった部屋の空気に触れることで壁や柱も暖まるのですが、それはあくまで表面が暖まっているだけです。表面的には暖まっても、芯の部分は冷たいままです。

これが、暖房を消した際に室温が下がる原因になります。冷たい壁や天井、柱で囲まれた部屋の中の空気を無理やり温めているので、熱源となるエアコンや石油ストーブが消えると冷えてしまうのです。

一方、薪ストーブで温められた部屋は、部屋の空気と一緒に壁や天井も一緒に暖まっています。このため、室温が下がりにくいのです。


ここまでお読みいただいた方は、「やっぱり薪ストーブユーザーだから薪ストーブのいいことしか書かないんじゃないか」と思われたかもしれません。

確かに部屋が冷えにくいというのも薪ストーブの大きな魅力の一つですが、薪ストーブは決して万能ではありません。石油ストーブやエアコンと比べて大きく劣っているところがあります。


その一つが「部屋が暖まるまで時間がかかる」ことです。

一度暖まってしまえば冷えにくいのですが、例えば年末年始に帰省して3日ほど家をあけて帰宅した時。冷え切った部屋を薪ストーブだけで暖めるのには、とんでもなく時間がかかります。

次回はそのあたり、部屋を暖めるのに必要な時間についてお伝えします。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月13日日曜日

薪ストーブのメリットデメリット(2)薪ストーブって一日どのくらい使うと暖かいの?

薪ストーブのメリットとデメリットについて語るシリーズ②


雪深い山形で薪ストーブを使い始め、11シーズン目に突入したcloudです。

前回は薪ストーブの暖かさについて、暖かいことを忘れる暖かさと表現しました。
ただし、その暖かさを享受できるのは、一日最低10時間はストーブを焚いている場合と書きました。

今回の記事では、では、日中仕事に出ていて家にいない家庭で、果たして薪ストーブにメリットがあるかどうかについて、僕なりの考えを述べていきたいと思います。


最初に、一日どのくらいの時間、薪ストーブを使っているか。それをシミュレーションしたいと思います。
薪ストーブを入れたいから家をリフォームするとか、新築を考える小中高、学生はいないと思いますので、まずは、大人の方を対象にします。

一人暮らしの方もいると思いますが、夫婦と子どもなどご家族で使用するケースが多いと思いますので(一人暮らしの生活パターンはこちらに含まれると想定)、最も家に人がいない夫婦共働きのケースを想定します。

なお、専業主婦(主夫)の方が家にいる場合は、日中在宅しているので、前回述べた薪ストーブの暖かさは100%享受できます。今回は、朝と夜しか家に人がいない家庭をモデルケースとします。


前置きが長くなりました。
家で薪ストーブを使う時間がどのくらいあるかは、どのくらい自宅の中で活動しているか、その総時間数によって変動します。

これは想定でしかないのですが、夫婦どちらかが朝起きて、子どもがいれば子どもを学校に送りだし、いなければ夫婦二人が出社するまで、1時間~2時間が平均だと思います。

次に、夜帰宅して寝るまで、家の中で活動する時間は、おおよそ5時間~6時間はあるのではないでしょうか。夕方5時に帰宅し、夕食~入浴~団らん~就寝が夜11時として6時間。少し遅く、7時くらいに帰宅して11時就寝とすると4時間。

上記のケースですと、①最少が朝1時間、夜4時間の計5時間。
②最長が朝2時間の夜6時間で計8時間。

私のこれまでの10年を超える経験から言えば、①のケースですと薪ストーブだけで過ごすのは厳しいです。エアコン暖房や、石油ストーブとの併用をお勧めします。

一方、②のケースでは、多くの場合、薪ストーブ1台だけで冬を過ごすことは十分可能だと思います。


では、なぜ②の場合は薪ストーブ1台で暖かいのか―。それを検証します。

朝起きて、薪ストーブユーザーは最初にストーブに火を入れます。準備に約5分かかります。この5分を捻出できない方は、最初から薪ストーブはあきらめてください。エアコンならスイッチを押す1秒で暖かい風が出てきますから。薪ストーブは不便です。でもその不便さこそが魅力なのです。

火が付いたら朝食の準備など、朝の活動が始まるわけですが、大体最初の30分~1時間以内に追加の薪をくべます。そして、火をつけてから2時間後、家を出るときにもう2本くらい薪を追加して家を出ます。この薪が燃え尽きるまで、約2時間かかります。
そうすると、朝の時点で4時間薪ストーブを使っていた計算になります。

夕方、5時に帰宅すると、家の中はほんのり暖かいはずです。過去17年以内に建てられた家なら、真冬の山形でも室温が12度を下回ることは、ほぼないはずです。

その状況で夕方薪ストーブに再度点火します。これは夜寝るまで使うわけですが、6時間も使っていれば、当初12度だった室温は22度以上になっていると思います(我が家は時々26度以上になっています)。そして、寝る前に最後に薪をくべて寝れば、燃え尽きるまでに夜は8時間薪ストーブを使っている計算になります。朝と合わせれば12時間です。

こうした使い方をしていれば、朝起きたときの外気温がたとえ氷点下5度を下回っていたとしても、室温は12度以上をキープしていると思いますし(控えめに書いているだけで我が家では朝の室温が15度を下回ることは年に1、2回しかありません)、そうすると夜帰宅した時も暖かい状況からスタートできます。

特に冬の間、日中暖かい日差しが降り注ぐ関東や東北でも太平洋側なら、夕方までほとんど室温が下がらないと思います。


ここまで書いてきましたが、薪ストーブではなく、エアコン暖房や石油ストーブを使ってきた方ですと、朝家を出るときにたとえ20度以上あっても、夕方には10度以下に室温が下がってるよー。と言いたい方もたくさんいらっしゃると思います。
私も、アパート暮しだった独身時代、夜家に帰ってファンヒーターのスイッチを押すと室温が5度とか6度になっていることがザラでした。冷蔵庫の中の方が暖かいんじゃないかと思ったことも何度もあります。

なので、次回はこのあたり、何で薪ストーブを使っている家の室温は下がらないのか。
その点について書いていきたいと思います。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月12日土曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑮

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑮



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
バイクパートに移行し、50kmまでは順調な滑り出し。しかし、その後の長い上りに心が折れそうになりながらも登り切った。ようやく補給も行い、後半戦に突入したー。


バイクパートの後半はジェットコースターと呼ばれるコースが続く。要するに上り下りが繰り返されるコースということ。とはいえ、どの程度の上り下りなのかは行ってみないとわからない。ここまで、思ったようにペースを上げることができていないので、何とかここでペースアップを果たしたい。

とはいえ、通常、アップダウンがあるコースと平地のコースの場合、平地の方がペースが早くなるので、期待はできないが・・・。

小学校の算数の問題みたいだけれど、例えば、時速30kmのスピードで巡航できるとすると、15km進むのにかかる時間は30分。
これが、上り5km、平地5km、下り5kmのコースがあって、平地は同じ時速30kmのペースで走れるとして、上りは半分の時速15km、下りは倍の時速60kmで走れるとする。

一見、同じスピードで走れそうな気がするけれど、これが間違い。
上りの5kmを時速15kmで走ると20分かかる。平地の5kmは10分。この時点で30分かかっている。下りの5kmは5分で走り抜けられる計算になるが、計35分。

上り下りがあると、下りのスピードアップ分では、上りのロスを上回れない。

けれど、これが500mの下りの後に500mの上り、そして平地が500mとなると話が変わってくる。下りのスピードアップ分の勢いを使って上るので、上りのロスが減る。斜度にもよるけれど、500m下って時速60kmまで加速していた場合、上りは200m位まではだんだんスピードが落ちて平地の巡航速度くらいになり、上りの時速15にまで落ちるのは最後の100m位。ここはダンシングで頑張ればそこまでスピードが落ちることなくクリアできるので、平地と同じくらいの時間で通過できてしまう。

こうなることを期待して後半戦に入ったのだけれど、そうは問屋が降ろさなかった。皆生大会は、交通規制が敷かれていないことは前にも書いた。そのため、一時停止の標識や、信号機があると赤信号では止まらないといけない。

これが絶妙なポイントにある。

下りに入ってスピードが上がった勢いで、次の上りに入りたい時、下った先に一時停止の標識があることがある。そうすると、せっかく時速60kmまで加速したのに、急ブレーキをかけて一時停止。そして上りを時速0kmから進まないといけない。

また、同じく下りで加速してきたのに、わずか50m前で信号が赤になることも。
ロードバイク乗っている人ならわかると思うけど、これが悲しい。本当に悲しくなる。
時速60km→0kmを何度繰り返したことか。

それでも何とか、最後の折り返しを通過。

エイドステーションの方から、「ここからは最後天国だぞ」と言われて送り出された。

残り40kmちょっと。
想定よりは遅れているが、完走が危ぶまれるようなペースには一度もなっていない。ある意味順調に距離を積んでいる状態だ。

このまま何事もなくバイクフィニッシュを迎えたい。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

人生、曇り時々晴れがいい。




2019年1月9日水曜日

皆生大会惨敗の記録~初心者がロングの大会で失敗しないために~⑭

初めて出場したロングのレース「全日本トライアスロン皆生大会」の失敗をたどる記録⑭



前回までのあらすじ―。

ふとしたことから思い立った全日本トライアスロン皆生大会出場。奇跡的に抽選に受かり、わずか練習2か月で挑んだ大会。山形から1000kmを車にバイク他一式を積み込んで自走して会場入りした大会は、最高気温36度を超える灼熱のレースだった。
バイクパートに移行し、50kmまでは順調な滑り出し。しかし、その後の長い上りに心が折れそうになりながらも登り切った。しかし、距離はまだ半分残っている。



あと200mで下り―。

その声に鼓舞され、力を振り絞る。・・・しかしこれ、今思うと振り絞る力が残っていたということだ。その直前まではいつ足を止めて歩くかを考えていたというのに、現金なもので、間もなく終わりと聞くと頑張れる。要は気持ちの持ちようで頑張れるときとがんばれないときがあるということ。

これは、仕事や人生の色々なところでも出てくることだと思う。終わらない仕事やタスクの数々。毛できないと思ったことでも、何かのきっかけでもっと頑張れるようになる。

別に精神論を言いたいわけではなく、結局のところ、モチベーションを上げる「仕組み」をどう自分の中で作るかということなんだと思う。自分の力で、自分の心でモチベーションを上げていくのは難しい。けれど、例えば友人に「○○○○」をやると宣言することで、「途中で挫折すると恥ずかしい」という状況を作る。これも、一つモチベーションを上げる方法だといえる。こういうことを一つ一つ積み重ねていくことが、様々な壁を乗り越える力になるんだと思う。

この時も、確かに壁を一つ越えたと実感できる瞬間だった。残りの200mを走り切り、下りに入る。それまで、下手をすると時速10kmを下回るようなスピードで走っていたのと違い、40km以上にスピードが上がると、風を受けて気持ちがいい上に、汗が乾き体温が下がる。

そうすると、それまでぼんやりしていた頭がすっきりしてきて、色々なことに目が向けられるようになる。まず、アベレージスピードが上りに入る前は、28kmほどだったのが、22km前後に落ちている。これは下りが続けば回復できるはずだけれど、結構ペースが落ちていた。

また、残りの距離が約半分。70kmほど残っている。補給のリズムがずれているので、次の補給時間から立て直しが必要だ。それと、下りながら回している足に少しずつ力が戻ってきた感じがする。疲れから一気に足が止まった50km過ぎの落ち込みから、脂肪燃焼+補給した糖質の消費エネルギーで体を動かすサイクルがうまく回り始めたことが要因だろう。ここが一つの壁を乗り越えたということだ。

思ったよりも短い下りが終わり、小さいアップダウンが続く。水はボトルに入っていない。水分補給ができないのが痛いが、スピードが出ている分、暑さをあまり感じなくなっていて我慢できる。

そうして走ること15分あまり。ようやく、ようやくエイドステーションが見えてきた。

ここでは、これまでのような軽い補給ではなく、一度しっかりと立て直すことにする。
まず、カラカラに乾いていたのどを潤す。渡されたボトルのふたを開けてまずはコーラを一気飲み。さらにスポーツドリンクを一本飲んだ。

ぷは~~~!生き返る!!

飲んだ瞬間全身から汗が噴き出してくる。もう体中の毛穴という毛穴が開きまくっているので、汗の出方が半端ない。レース中にもらえるボトルを水で満タンにすると、持参してきたボトルには、クエン酸入りのドリンクの粉末を溶かす。これ、本当は1リットルの水に溶かすものなんだけど、600mlのボトルに入れて濃いめのドリンクにする。もう一本の水と一緒に使えばちょうどいいだろう。

また、エイドステーションに置いてあった、レモンに塩をつけてほおばる。これが不思議なもので、いつもならレモンにかじりつくなんて酸っぱくてできないのに、全然酸っぱくない。八朔とか、ちょっと酸っぱい柑橘系の果物を食べているくらいにしか感じない。

やはり、体が必要なものを欲しているということなんだろうか。

最後に頭に氷水を賭けてもらう。全身にかけてもらってもいいんだけど、バイクシューズが濡れると足の裏の皮がふやけてしまい、ランで豆ができるのを避けるために全身は濡らさないように気を付けていた。

補給のジェル、そして会場にあったスイカがうまい。こちらもいくつかほおばり、バナナをほおばったら、お腹がタプタプになった。大丈夫か?

何はともあれ、このエイドステーションでしっかりと補給できた。バイクパート後半、ここから正念場だ。


ここまでお読みいただきありがとうございます!

人生、曇り時々晴れがいい。

2019年1月8日火曜日

薪ストーブのメリットデメリット(1)薪ストーブって暖かいの?

薪ストーブ。


ゆらめく炎とエアコンとは質の違う暖かさ。

家を新築するとき、または、リフォームするときに自宅に薪ストーブを導入したいと考える方が多いと思います。

一方で、薪の調達方法はどうする?本当に暖かいの?費用はどのくらいかかるの?外出するときに火がついたままで危なくないの?などと疑問や不安に思い、色々と調べている方もたくさんいるのではないでしょうか。

このブログでは、薪ストーブ歴11年の筆者が、これまでの薪ストーブライフを元に、薪ストーブ導入のメリット、デメリット、苦労や楽しさについて赤裸々に語っていきます。

これから薪ストーブを導入しようという人、また、設置したけれど上手に使えていない人にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

記念すべき第一回目の今回は、薪ストーブは本当に暖かいの?です。


結論から言いますと薪ストーブは暖かいです。

よくエアコンや石油ヒーターとは違う暖かさがあると言われていますが、どういうこと?と思われている方も多いと思います。どういう暖かさか?

それは、暖かいことに気づかない暖かさ。言い換えれば、外が寒いことを忘れる暖かさです。

何だかそれこそどういうこと?と言われてしまいそうですが、実際薪ストーブユーザーなら共感できるのではないでしょうか。

我が家では、夜寝る前の室温は大体24度くらいになっています。これは、山形だと5月半ば、もしくは9月下旬の最高気温と同じです。上着を脱いでYシャツ一枚でちょうどいい気温。

この季節に外にいて、皆さん、暖かいって実感していますか?
何かの暖房器具で暖められている・・・この場合は太陽に暖めらえているとか感じますか?意識していないですよね。

そういう気温だから、そういう季節だから、自然とそういう服装になりますよね。
それは、どこに行ってもその気温だからです。

我が家では、冬になると家の中の扉という扉はすべて開け放ちます。家中を1台の薪ストーブで暖めています。家中が暖かいので、外に出るときにびっくりします。あれ、きょうってこんなに寒かったんだって。

エアコンや石油ヒーターは、部屋を暖めているな・・・って感じる暖かさですが、薪ストーブは薪ストーブで部屋を暖めているとは感じない。それくらい家の「空気」だけでなく、「床」や「壁」、「天井」、すべてが暖かくなる。そういう暖かさがあります。

ただ、こうした暖かさを享受するには、一つ、大きな条件があります。

それは、一日中薪ストーブを焚いていること。

少なくとも10時間くらいは薪ストーブを連続して使っていないと、こういう暖かさにはなりません。

いやいや、日中は仕事に出てるからそんなに長い間連続して薪ストーブ使っていられないよ・・・。という方も多いですよね。

次回は、そのあたり、生活リズムに合った薪ストーブの使い方をした場合に、どのくらい暖かいのか―について書いていきます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


人生、曇り時々晴れがいい。